社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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全員が運命を理解した中で繰り広げられるいやらし系ラブコメ… 『サクラサクラ』 もりしげ

サクラサクラ

サクラサクラ もりしげ

「非ジャンプ漫画を読みたい症候群」のために買ってしまった作品の3つ目です

週刊チャンピオンのマンガだと思ってたんですが、よく見たら別冊チャンピオンだそうな
ひょっとして月刊なのか


昨日の『死神様と4人の彼女』と『かつて神だった獣たちへ』とともに、一気に3作品注文してしまった最後がこれです

コメント欄にて一度勧められていた『かつて神だった獣たちへ』はともかくとして、あとの2つは検索してレビュー記事とか見ただけの
ある意味博打的に買った作品でした

負けた…とは思わないで済んだのはラッキーと言いましょうか
それでもどっちのほうが好きかといえば、この『サクラサクラ』の方です


これもラブコメというジャンルに属する作品ですが、やはり通常のラブコメとは異なる特徴を持っています


付き合うとか付き合わないとかという話がほとんど意味を持っていないのです



舞台は近未来の日本
出生率が極限まで低下して子どもが全く生まれてこなくなった世界で、主人公たちは「最後の世代」と呼ばれていました

そこで彼らに「子作り」をさせるために用意された学校
主人公と彼を取り巻くことになる2人のヒロインがその学校にそれぞれ転入してくるところから物語は始まります

これだけならまあまだ普通と言える範囲なんですが
特徴的なのは、自分たちに期待されているそうした使命を主人公含めヒロインたちも全員が認識しており、
その上ヒロインたちは「こいつが相手なら…」とみんな思っちゃってることなんです

現在6巻までコミックスは発売されていますが、それまでに登場している3人のメインヒロインたちはみんな
主人公に少なからぬ好意を抱いており、すっかり「受け入れ」状態
しかも、彼女たちは互いのそんな気持ちを互いに理解さえしています

主人公もまた彼女たちのそんな気持ちをそれなりに知っており、その気になれば大乱交スマッシュブラザーズ
4人対戦でやっちゃうことも容易な状態で

そして、彼らを見守る大人たちはそういう無礼講をむしろ望むところとしているという


世に言う「それなんてエロゲ?」という状態を見事なまでに作り上げている作品なのです



そういう環境で展開される物語は、何だか妙に居心地のいい空気を纏っています

主人公は3人のヒロインたちのうち、ある1人を特別視しており、「初めては君とがいい」とはっきり宣言までしていました
残る2人は彼のそんな気持ちを尊重しつつ、たまに(頻繁に?)体を張ったイベントとかパフォーマンスとかアピールを繰り広げて
ドタバタ騒ぎをしながらそれぞれの絆を深めていったりしているんです

4人の生徒である彼らに対して、2人しかいない教師陣はそんな彼らを咎めることはしません
それは、「どんどん仲良くなって少子化を食い止めて欲しい」という大人の事情とは別に
「今しか経験できないことを存分に味わって欲しい」という親心にも似た感情からでした

いずれ、事態が極限状況になれば彼らの意思にかかわらず何らかの強制的な措置が取られたりする可能性を
先生たちは知っているのです


そんな風にして、自分たちも周りからもほとんどすべてを認められ、受け止められている箱庭のような学校生活で繰り広げられるドタバタ騒ぎ

1人の主人公に対して3人のヒロインたちがいて、みんな互いに好意を持っていて、その好意の行く先を周囲は望んでいて
そして自分たちは、全員が「その行く先」に辿り着くことをうっすらと望み、その意味を理解している


おそらくは束の間の安寧なのだろうとは読んでいてもわかるのですが、その穏やかで騒がしい日々を
ずっと読んでいたいとそんな風に思わされてしまいました


コミックスで言えば、特に3巻4巻あたりの空気が一番好きです

3人目のヒロインが現れて、2人に比べて一歩出遅れていることを自覚する彼女を中心に色んな騒ぎが引き起こされること
その度に彼女の飾らない愛情が披瀝され、それを見た2人も自身の本心と向き合ったりするという

ある意味ラブコメの王道手法が使われているのですが、これが彼らの行末を望む箱庭としての学校の中で実によく映えるのです

まもなく散ることが分かっている花びらのように
美を体現した瞬間に消えてしまう花火のように

近く失われてしまいそうな平和と日常が、そこで展開される出来事を余計に輝かせているのです



そんな「眩しい学校生活」を、こんなにも綺麗な絵柄で読めるという事実

実はこの作品を知った時に最初に思ったのは、正直なところ「チャンピオンの割にえらく絵が綺麗だな」ということでした
おそらく異論があるかと思われますが、チャンピオン作品って画力的にはもう少し、な作品ばかりかなという勝手なイメージがありまして、
『実は私は』に挟まってきたコミックスの宣伝チラシを見ていて一番画力の高かったこの作品がやたらと気になってしまったんです


検索してみたら、何やらSFラブコメとか言ってエロゲ状態の話が展開しているというので、勢いにまかせて注文してしまいました

結果は意外と当たりというか


上述したような作品の空気を結構気に入ってしまいました

それに加えて、「高い画力を活かしたシーン」もよく描かれており、作者の意識の高さが実感できます


カラーページで水着やら下着やらが無駄に大ゴマで描かれて、お風呂に入れば乳首券の大量発行という
さらにチャンピオンらしいと言うのか、○○○とか○○○○とか直接的なセリフまで普通に登場したりして
いやらしさとしては結構露骨なところがあるのが玉にキズ…というか

特にコミックス5巻6巻からの最近の流れは、そうした露骨さが過剰になっているような気もしています
空気感としては3巻4巻くらいがちょうどよかったなーというか


たぶん原因は世界の小ささなんですよね

設定上、登場人物が限られてしまうものですから既存キャラたちだけで何かしようとすると
どうしても特定の方向に偏ってしまうのでしょう

たった4人だけの学校で「部活動をしようよ!」なんて主人公が言い出して、すったもんだの挙句に「どんな部活が楽しいかを研究する部」として
「部活動研究会」なんてものが決まった時には、これで少しでも幅が広がったら割と面白そう…とか思ったんですが

その後の展開を見るとあんまり活かされている気がしないというか…
その要素があってもなくても全然変わらない感じにしかなっていないため、結局話の幅の狭さは変わっていないように思えます


とは言え、このダイレクト系いやらしラブコメディがこれからどんな過程を経て
深刻な展開へと流れていくのか

あるいは、人気のある限り仮初の日常を続けていくのか

読者として彼らの行く先を見てみたいと思います











[タグ] ラブコメ




COMMENT▼

ご指摘通り知ってますw

まさかのもりしげ先生。正直ビックリ、確かに絵はチャンピオンとしては綺麗な方ですが…
こいつだけは薦めても絶対無いと思ってましたし、私も持っていません。
別冊~は月刊ですよ。週間と月刊で住み分けてる感じの雑誌です。

「いやらしさとしては結構露骨なところがあるのが玉にキズ」

記事で仰られていたこの部分です。エロゲをそのままコミカライズしたかの様な漫画ですので
(シナリオにドラマ性はあるのでエロゲ。エロ目的の成人コミックとは別)
受け付けないだろうなと…
ある同業者の方は「不安定なのに何故か引き込む異色の漫画家」と評されました。
この作品はどう転がるのか…別の連載で死かんとかやらかしてるからなもりしげ先生…
あれは正直引いた。

チャンピオンで絵が上手い作家挙げてみる

第一人者「葉月京」先生。中身は完全にエロコミw
http://www.akitashoten.co.jp/comics/4253152317

「安部真弘」先生。アニメ化も果たしてる侵略イカ娘。線がキレイです。作品は日常系。
http://www.akitashoten.co.jp/comics/4253214207

「櫻井あつひと」先生。最近のヒロインかなり可愛いw実は落ち着いたら薦める気だった。
http://www.akitashoten.co.jp/comics/4253224911

忘れてた「あずまゆき」先生。絵柄で言ったらダントツ1位かも。ただ作品はパッとしない。
http://www.akitashoten.co.jp/comics/4253256562
http://blog.livedoor.jp/evidevi-anime/archives/39470914.html

ざっと調べてこんなところかな。異論は受け付けてやってもいい(上から目線)

Re: ご指摘通り知ってますw

違う意味でラグエルさん驚くかもなあと思いつつ、記事書いておりました。
しっかり驚いてもらったようで(;^ω^)

勧められていたら多分買わなかったでしょうね。自分で「お?」とか思ったからこそ買う決断ができたのだと思います。

ただまあ、読んでみて何か雰囲気は好きかなと思ったので後悔はしておりません。今のところですが。

これからの展開によっては、コミックス全巻を棚から取り出さなければならない可能性もあるかもしれません。いや流石にしかんまでされるのは俺も勘弁…

身体的にも精神的にもグチャグチャな傷を負ったりするような鬱展開があったりした日には、もう俺の手にはおえないことになるでしょう…

Re: チャンピオンで絵が上手い作家挙げてみる

いけね、こっちの返信を忘れてました。


確かに皆さんなかなかの上手さですねえ。
あずまゆき先生は、挙げられてる絵を見るとマンガというよりアニメ絵の感じですな。

この中ではやはり辻浦さんが一番気になりますかね。
覚えとくだけ覚えとこう…

No Subject

別冊チャンピオンとなれば『みつどもえ』を是が非でも推したいtaraです(^^)

別チャンは『みつどもえ』が週チャンから移籍して以降購読するようになりました。
そんなわけで『サクラサクラ』は序盤を読んでないのですが、絵は綺麗ですし設定も惹かれるものがありますね。ただ、エロがどぎついというか生々しいのはちょっと…という点は自分も同感です(^^;)
花坂達の行く末は気になるので、最後まで追い掛けようとは思っていますが…

花右京メイド隊

taraさんなら知っているであろうもりしげ先生の幾つか前の作品。
これも終盤「前」までは凄い好きでした。ただ終盤の超展開について行けなかった。
あの置いてきぼり感はこれまで味わったことないレベルでしたよ。

もりしげ先生から懐かしいチャンピオン作品読み返したくなって引っ張り出しました。
「京四郎」
「ゲッチューまごころ便」
taraさん知ってます?

No Subject

横レスになりますが失礼します<(_ _)>

>ラグエルさん
『花右京メイド隊』はアニメしか観ておりません(^^;)
もりしげ先生の名前を別チャンで見つけた時は「花右京の…!」とすごくノスタルジックな気持ちになりましたけどw

>「京四郎」
>「ゲッチューまごころ便」
自分がチャンピオンを購読し始めたのって『ムテムス』の頃からなので、この辺りの作品はタイトルを知ってるくらいですね~
『ゲッチューまごころ便』は、『みつどもえ』のサブタイ元ネタにもなっていたのが印象的…(^^)

京四郎とゲュー

公式略称ですゲューがw

どっちも名作ですよ。多分もうどっちも絶版と思われますが。
作者も新作何年も発表してないので恐らく筆を置いてしまわれたのでしょう。
ゲューは一昨年だったか数年ぶりに読切でWCに載りましたけどね、特別企画だかで。

Re: No Subject

おお…
全然わからん話題で盛り上がっている…w


『みつどもえ』ですか。
名前だけしか知らないな…。

まだ「非ジャンプ漫画を読みたい症候群」は収まってはなさそうなので、候補に入れておこうかなあ。

No Subject

わぁ、候補入り嬉しいです♪>みつどもえ

絵柄の変遷が割と極端な作品(特に序盤)なので、絵を重視されるのであれば第3巻辺りから入るのもアリかもですv(原則1話完結ですので^^;)

Re: No Subject

3巻からですか。
途中から入るというのは何だか妙な感じがしますが、買うとなった時には覚えておきますね。

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