社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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人を捨てた兵士たちの運命と魂の行方は… 『かつて神だった獣たちへ』めいびい

かつて神だった獣たちへ

かつて神だった獣たちへ めいびい

ちょっと悩んだところはあったんですが、買っちゃうことにしました

『結婚指輪物語』を描くめいびい先生のダーク系ファンタジー作品

ダーク系とは言っても、策略や謀略に満ちていたりするのではなく、雰囲気の暗さとしてのダークですね
どことなく、D.Gray-manに感じが似ている気がしないこともないような
とにかく重々しい、重苦しい雰囲気にあふれている作品です


それは、メインヒロインである少女が激情にまみれた表情をしているこの表紙からも何となく窺えるでしょう

ヒロインと主人公の関係は、憎み・憎まれるもの
少女の父を殺したのが主人公であり、復讐のため彼の元を少女が訪れるところから物語は始まります


ではこの作品の何が面白いのかというと、鎮魂です

雰囲気のダークさとセットになったこの作品の面白さは、戦争を戦った兵たちへの鎮魂にあるのです

かつて「神」と呼ばれるほどの強大な力を持って戦争を終結へと導きながら、
終戦後には「獣」と呼ばれて蔑まれたり疎まれたりするようになった兵たち

神に擬えられた巨大な力によって思考が荒廃してしまった者
ただ1つの望みだけを至上として、ある意味で純粋に生きようとした者

決して望んで手にしたわけではなかった力の前に、本当に望んでいたものが手にできなくなってしまった彼らは
作中では確かに滅ぼされるべき存在でありながら、同時に大きなやるせなさまでも纏っています

命はたしかに未だあるとはいえ、欲しかったもの・居たかった場所・会いたかった人を取り戻せなくなった彼らは
魂が死んでいると言うことができるのでしょう

戦争は終わったのに、自分たちの「決着」は訪れないままとなった彼らへの幕引きを使命とする主人公ハンク隊長
隊長の責務として部隊員への「決着」をつけてまわろうとする彼の行為は、彼らのやるせなさ・満たされなさへの鎮魂となっていました



だから父を殺した主人公とともに少女が旅をすることを決意する
殺したかった仇とともに歩いて行くことにした少女の胸の内
そこにあったのは、「なぜ父は殺されなければならなかったのか」という真実への渇望です

父は何を求めて戦っていたのか、終戦を迎えて何を望んだのか、死に際して何を語ったのか


部隊員1人1人と「決着」をつけてまわろうとするハンク隊長の旅は、まるで鎮魂歌を聴いているかのようでした
出来上がった調べが奏でられるのではなく、調べがまさに紡がれようとしているその様子を
1つ1つ丁寧に描かれているように感じられる
そんな作品です


この1巻で、世界観と基本的な物語の構造については示されていると思います
とすると次には、ひと通り示された世界観の深化と、1巻だけでも貼られまくっている伏線の連関と回収が必要です

ラストに登場したケインとかいう千年伯爵元副隊長がどうやら重大な鍵を握っているようですが…


試し読みはこちらからどうぞ


もう3巻出てます
新たなメインキャラと帯のキャッチが示す物語の確かな深さ… 『かつて神だった獣たちへ』第3巻




 




COMMENT▼

No Subject

アレ?難色示してたから買ってないと思ってたのに…ふふ、ようこそコチラの世界へw

鎮魂はこの漫画を端的に表す最も適した言葉ですね。そう、まさしく鎮魂の書なんです。
ちょっとしたコメ(ラブコメ?)にて進む日常が、重く圧し掛かる旅の目的を後押ししています。
記事内から一点、私はこの漫画の主人公はハンク隊長ではなくシャールだと思います。
あるいはダブル主人公。

黄昏乙女ではホラーを、結婚指輪ではライトファンタジーを、そしてダークファンタジーも描ける
めいびい先生(二人組み)達は私が大好きな漫画家の一人です。

これもしかしたらネタバレ的な考察かな?とか思いますが…
タイトルと表紙のシャールから考え付くラストがあります。
抱えた思いは憎しみではなく悲痛な決意。そーんな表情に見えてしまうんですよね…
外れて欲しい考察です。

Re: No Subject

何かこのところ、もっとマンガを読みたい衝動が強くありまして。
それも何だか非ジャンプ系のマンガを読みたい感じになって、勢いのまま密林で3作品をポチってしまいました。

これはその1つで注文したものです。五分五分くらいで迷っていたんですが、せっかくこんな気持ちになったのなら買ってしまえーと思いまして。

で、読んだ結果「買ってよかったなー」と思いましたので、ありがとうございました。


主人公はやっぱりシャールですかね。
確かにハンク隊長は主人公にしては存在感が灰色みたいな感じだな、と思っていたんですが。

ラグエルさんが想像されているラストとは、もしかして…
何か俺も想像できてしまったかもしれませんが、ありえそうですね…

後の2作品なんですか?

私が知らない作品かも知れないので教えて下さいな~

Re: 後の2作品なんですか?

そのうち記事にしますよー。

でも1つはチャンピオン作品なのできっとご存知かと。

遠慮というか配慮?

非ジャンプ系で薦められるもの何かな~とザッと本棚を眺めてみました。
軽く20数作品wwwいや止めて置きますからご安心下さいな。
ただまだこんなにあったんだなぁと思っただけです。
まあ一作は超絶に自信あるのですがね。良い試し読みがなくて踏み止まってるのです。
「ヒント!昆虫図鑑っ!w」

Re: 遠慮というか配慮?

そんなにありますか。
とりあえず小出しでお願いしますw

漫画読みたい衝動はまだ続いているようなので、そろそろまたなんかポチっちゃうかもしれません。

じゃあハイw

Re: じゃあハイw

昆虫というから、吾峠先生の文殊史郎兄弟的なアレかと思ってたんですが違うんですね(;^ω^)

ゴメンナサイ。
興味は持てそうな気はしたんですが、ちょっと今日は時間なくなってる感じなので、また後日ちゃんと見ますね。

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