社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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危うさをも孕んだ急転直下型ラブコメ… 『渡くんの××が崩壊寸前』 鳴見なる

渡くんの××が崩壊寸前

渡くんの××が崩壊寸前 鳴見なる

HAHAHAHA
買っちまったぜー

『ラーメン大好き小泉さん』の鳴見なる先生が描くサイコでダークなテイストも含んだラブコメ

いや、この1巻を見た限りではコメディ部分はそれほどないように思えましたが、公式ではラブコメというジャンルとして認識されているようです
それも、急転直下ラブコメと銘打たれています

確かにその通り、1巻だというのに物語は転がりまくっていました


小学生の幼い妹を中心として回っている高校生渡くんの日常
両親の他界によって親戚を転々とする中でひとまず落ち着いた叔母の邸宅

両親が生きていた頃、かつて営んでいた家庭菜園を思い出した妹の望みによって、庭を借りて作った畑
昔の畑をなぜかめちゃくちゃに荒らして姿を消した元幼馴染の少女との再会

学校に行けば、同じ委員会メンバーとしてそれなりに親しくしているアイドル的存在の美少女

…何かラブコメの構図的には王道の三角関係で、しかも、元幼馴染の金髪系美少女と黒髪系アイドル的存在という
ヒロイン2人も典型的な見てくれとなっていて、そうした意味ではラブコメとしては安心して読めそうな感じもあったんですが


しかし、同時にこの作品が持っているのはサイコでダークな雰囲気


それを形成しているのが、転がる物語の端々で重ねられるいくつもの伏線です


兄のことを嫌いだと言いながら、その子どもである渡くんと妹を引き取った叔母の多摩代さん
部屋で兄の写真がいっぱいのPC画面を見つめながら、呪詛のように「嫌い」「嫌い」とつぶやく姿は、
明らかに穏やかならざる真意を孕むものでした


かつて畑を荒らした元幼馴染の少女・紗月
妹が望んだ畑の前に突然現れたかと思えば、渡くんに自ら唇を重ねて押し倒すという荒業をやってのけました
その行動の意味も、また、謝りたいとは言いつつもかつての畑荒らしの理由を語ろうとはしない様子は
どこか信用のできないような危うさを感じさせています


そして、小学生の妹・鈴
4年生になってもなお兄に頼りっきりで、着替えさえ1人でしようとしないのを
怒りながらもしぶしぶ手伝う渡くんは、周囲からすっかりシスコンのイメージを持たれてしまいました
しかし、100点のテストを隠して30点のテストを机の上に置きっぱなしにするような計画性を見ると
兄の前でダメダメな姿を見せているのはどういうつもりなのかと不安さえ覚えてしまうのです


それは、伏線の形をとって渡くんの日常をじわじわと奪い去っていくものであり、その最初の発露が
1巻ラストで禁断の真実に触れかけた渡くんが動揺のあまり泣きそうになってしまうという、およそ主人公らしからぬ場面でした



悪意、とは言えないまでも通常とは異なる意図を含むようなそれぞれの言動
その真意が見えないことは、ただ純粋に妹と妹の望んだ畑を守ろうとする渡くんを追い詰めていくこととなります

この過程こそが、タイトルの意味であるのでしょう

つまり、次巻以降もいろいろな形をとって渡くんが悩み、困る事態が次々起こるということですね
その度に伏線を増やしつつ、あるいは渡くんが困り果てたりしながら話が転がっていくのでしょう

ただし本当に崩壊してしまっては、渡くん自身が立ちいかなくなり、物語も破綻してしまうことになります
だからこその「崩壊寸前」というタイトルなのだと思いますが

ここに暗示があるんですね
崩壊寸前に陥らせながらも崩壊にまで至らないのは、その裏側に実は温かいものがあるからではないかと

たとえば、兄を嫌いと連呼して日に日に兄に似てくる渡くんをも嫌いと言った多摩代さん
そこにあるのは、渡りくんと鈴の兄妹の「もう1つの姿」ではないでしょうか

多摩代さんたち2人の兄妹も、渡くんと鈴と同様の境遇にあったものの
鈴と違って多摩代さんは兄に置いて行かれてしまったのだとしたら

兄と離れた寂しさがいつしか嫌悪に変わり、そこに兄の子どもたちが似た境遇で自分の前に現れたとしたら
「自分と同じ目に遭えばいい」と思う感情と、「自分のようにはならないで欲しい」と願う心とが
同時に存在しているのではないか

その表れが、ぶっきらぼうな物言いと庭を貸してくれる好意なのではないか…と


そう考えると、100点のテストを隠して30点のテストを見つかる所に置いていた鈴の気持ちも想像できます

すなわち、置いて行かれたくないんですね

「しっかりしてるから、1人でも大丈夫だな」と思われてしまえば、兄が自分を置いてどこかへ行ってしまうかもしれない
そう考えているのだとしたら説明がつきます

「1人じゃ全然何もできない、だからずっとお兄ちゃんがいてくれないといけないんだ」ということを示すために
ダメっ子を演じざるをえないのではないか…と



…そんな伏線の正体を想像すると、崩壊寸前となってもきっと崩壊にまでは至らないだろうという希望が湧いてくるのですが
しかし、「そう思わせておいて…」という怖さを感じさせる雰囲気があるのが鳴見先生の巧妙なところですね


危うさをも孕んだ急転直下のラブコメ
楽しみに…というより恐る恐る次巻を待つこととしましょう


※2巻ようやく発売されました
急転直下ラブコメはどんどんヤバさを増していく… 『渡くんのxxが崩壊寸前』第2巻







 




COMMENT▼

もう、ゴールしてもいいよね…

HAHAHAHA 買うと思ってたぜーw
あ、タイトルは気にしないで下さい。ふと思い出し動画観て涙腺崩壊させた直後なだけですwww

展開速度から完結までは早いと思われる本作ですが、既に名作と云えそうな気配があります。
ヒロイン勢も可愛くてスタイル良くてエロかったり美しかったりしますしね。
まあrexelさんの好みだと鈴白か子供の頃の紗月か年齢的に合法な多摩代がHITしたと思ってますがw
(↑本当は紫だと思ってますw因みに私は静間さん←ニッチすぎ)
ラブ、コメディ、ダーク、サイコが複雑に絡み合いながらも破綻せず一本に繋がっている、
小泉さんでは上手い漫画家の認識でしたがこの作品で天才漫画家の一人だと認識を改めました。
だいまおーさんも是非逝っときましょうっ!

ああ…私の××が崩壊寸前だわ…

ごめんなさい

先に謝っておきます。

タイトルを読んで、頭の中に最初に浮かんだ××は、「腹筋」でした。

そんな、笑い転げられるような日々が来るといいんですけどね。

Re: もう、ゴールしてもいいよね…

皆様コメントありがとうございます。

まあこれは買っちゃいましたね…
ヒロインたちも可愛いし。

でも1巻を読んだ限りでは、俺も静間さん派です。
紫ちゃんは、典型的な学校のマドンナ系ヒロインという以外どんな娘なのかまだよくわからないので。

2巻では、読者の××を崩壊させてくれる時は来るのでしょうか。


そしてmickさん。
ニセコイ専用機のはずがこんなところにいらっしゃるとはw

その第一印象は無理もないと思いますよw
このニヤけた笑顔の表紙には俺も騙されましたから。
この笑顔のどこにサイコダークな話の予感を嗅ぎ取ればいいのか(;^ω^)

そして中身を読んでからこの表紙をもっかい見ると、何か違う表情のように見えてくる…という。
エンディングではどんな表情をしているでしょうかねえ…

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