完結したことを本誌で読んだ月曜以来、何となく書いておきたいと思いながら
上手いことまとまらなかったことで後回しにしていましたが
やっぱり何とか書いてみたいと思います
書きたい内容がまとまってないことは相変わらずなんですが、
それでも書かないでいるよりはマシだろうということで…
山本亮平先生に対して俺が大きな期待を抱いていることは、以下の記事を見ていただければお分かりになるでしょう
【画像あり】永遠のテーマの追求が面白さの核となる…『E-Robot』山本亮平
エロの追求にこれからも大いに期待! 『E-Robot』山本亮平 2014年ジャンプ第9号
信念でもぎ取った連載に期待感大! 『E-ROBOT』 山本亮平 2014年週刊少年ジャンプ52号
打ち切りの理由
やはり最初に考えなければならないのは、全11話という短い期間での連載終了となってしまった事実の分析でしょう
意味不明、理解不能を体現したあの塩マンガでさえ18話も続いたのに、なぜE-ROBOTは11話だったのか
色々と言われる中の1つには、話の内容がエロよりもコメディ向けだったということがあるようです
美少女ロボットが突然やって来て、エロの力で世界平和を目指すなんて設定で始まったわけですから
なるほど、その荒唐無稽さは確かにコメディ向けでしょう
2つ目に、山本先生の絵柄がエロ向けではないという意見もあったようです
エロというより、こちらもコメディのほうが向いているという印象だったとか
俺としては言われてみればそうかもしれない…という感じではあるのですが、今ひとつ釈然としないのが正直なところ
おそらくそれは、本作品の捉え方によるものなのでしょう
数多ある普通の作品の1つとして普通に認識すれば、たぶんきっとそうなんです
トンデモ上等な設定は明らかにギャグに寄っていて、丸みが強調された絵柄はエロではなくデフォルメに近いもの
だから「これはこれ」として見たら、きっとそういう評価が浮かんでくるのは妥当なことで
同時に、11話での終了というのも、さにあらんという感じなのでしょう
山本先生の原点
しかし
しかしですよ
こちらをお読みください
少年マンガのど真ん中青春ヒーロー物語! 『SUPER hERO』 山本亮平
トレジャー新人漫画賞第66回に投稿して、古味直志先生からの評価を受けて佳作受賞となった山本先生のこの作品
これが山本先生の原点であるわけですが、これを読めば山本先生の持つ大いなる将来性に期待を抱かざるをえないことがよくわかるでしょう
こんなにも爽やかで
こんなにも青春で
そんな清々しい物語の中に、必然性を持って存在している「エロ」という要素
この作人における「エロ』という要素は、確かに明確な役割を持っており、なくてはならないものでした
『E-ROBOT』におけるエロも、なくてはならないものという位置づけではありますが
それはむしろ作品における目的のためでした
対して受賞作『SUPER hERO』においては、エロは手段だったのです
青春の爽やかさを、初めて恋した相手に対する感情の昂ぶりを、出会いのきっかけを、
表現するための手段だったのです
だからこそ効果的に機能して、少年少女の持つ当然の感情と欲求の具現あるいは象徴としての「エロ」が
見事なまでに全面に出てくることができていたのでした
山本亮平先生のテーマ
受賞作でこんなにも清々しい作品を描いてくれた山本先生
しかし、山本先生の抱いている「信念」は、もっともっとシンプルなものでした
如何にしてエロ
如何にしておっぱい
NEXTでの紹介ページで、担当編集との打合せは9割がおっぱいの話だと暴露されていた山本先生
自身の読切を「親に隠れて読みましょう」と説明するあたり、もう完全に筋金入りです
つまり、山本先生にとって「エロ」は目的なんですね
だからこそ、それを追求したその先を信じて、俺は山本先生へ抱く期待をさらに大きく膨らませるようになったわけです
そして、何度かの読切掲載を経てついに同名作品で連載を勝ち取った『E-ROBOT』
山本先生が持つテーマに対するひとまずの集大成として、楽しみにしていました
ここが、普通の読者と俺との明らかな違いなんでしょうね
「これはこれ」として評価しようとする一般読者に対して、俺の場合は
「山本先生のテーマ追求過程における一段階」として見てしまうのです
だから、エロよりコメディ寄りだと言われても「今がそうだというだけ」との認識にしかならず
「まだまだ山本先生の本気はこれからこれから」と信じて疑っておりません
「ひとまずの集大成」としてのこの連載作品があまりにも拙ければその限りではなかったでしょうが、
画力も大幅に向上させ、エロを使ったギャグもキレキレだったことを考えれば失望など出来ようはずはありません
きっとこの連載で多くのものを得ただろう山本先生の次の作品は、NEXT STAGEへと移行しているでしょう
それでもあえて問題点を挙げるなら
美少女ロボットという設定から登場してくる「ERO兵装」でしょうか…
ある意味本作の根幹をなすものであり、エロいシーンを挿入するにも展開に合わせて便利機能を出すにも
両方使える都合のいい機能でしたが
これが生み出していた効果が、本来意図されたものと違う所に向かっていたのではないかと思います
この設定を構想した当初は、兵装によっていろいろなエロシーン・微エロシーンを自在に描くことができるということで
付与されたものだと思うのですが
どちらかといえば、ちょっと上手い下ネタくらいの感じだったような気がするんですよね
山本先生が期待したほどのエロさは「ERO兵装」にはなかったことは、おそらく読者の誰もが頷くところでしょう
ではそれはなぜか
単純に、一発ギャグのようなネタが滑っただけで済ませるものではないと思うんです
たぶん作者が意図したほどに振るわなかった理由がある
それが最終話にて語られたこれ

誰かと一緒だから、強いんだ
「大切に扱えば、心と心の強い絆になる」とともに、エロについての山本先生の結論だと思われるこの考え方
実は「ERO兵装」にはこれが欠けていたんだと思うんです
どうにかして見せて、あるいは見えそうな状態にして、そこまで
魅せようとするアイと、魅せられようとしている相手との間に、関係性がなかったんです
モブや悪役相手なら言うまでもありませんが、主人公のユウキ相手であっても
アイがユウキに対して信頼を寄せる根拠となる描写が少ないことや、
自分を発明した博士の息子という以外の接点がないことで
主人公に対してヒロインがエロいことを発動させたというのに、今ひとつ
湧き上がってくるものがないという事態になっていたのです
エロさにおける関係性の重要さは、たとえば知らない女子高生よりもクラスメイトの着替えを見るほうが興奮する
と言えばわかりやすくなるでしょうか
つまり、より自分自身により近いほうがエロさを感じるということです
中には逆に遠いほうがエロいという方もいるかもしれませんが
あるいはコスプレを考えてみましょう
医者と患者だとか
教師と生徒だとか
社長と秘書だとか
パンチラでも抱きつきでも、どちらがどちらにしたものなのかが変わるとその行為の持つ意味もエロさも変わってくることは
経験豊富な諸兄であればよくわかるでしょう
そこへ行くと受賞作は秀逸でした
エロを手段として構成した受賞作
そこでは、ともに初めて恋に落ちた少年少女2人が「見せたい相手」と「見たい相手」であると考えることで
確かな関係性が作られ、初々しさという最上のスパイスが効いていたのです
『E-ROBOT』は何を残したか
では、山本先生のテーマ追求において本作はどのような位置づけとできるのでしょうか
読切から何度もリメイクして、ようやく初の連載となって、色々なものを得たであろう山本先生
本作が実際にどんなものを山本先生にもたらしたのかはこれからの作品を読んでみないことにはわかりません
しかし、エロさとギャグの両立というか、振り幅の加減の難しさはよく感じたのではないかと思います
本来エロ設定として使うはずだったであろう「ERO兵装」のギャグ化や
エロに向かないと言われるタッチ
エロを描くのに高い画力が必須であることは山本先生も自覚していて、だからこそ読切掲載から連載決定にあたっても
大幅な画力向上を見せてくれたわけですが、今度は画力に加えて「画風」まで意識しなければならないとすると
生半可な修練では結果が見えてこないものとなるでしょう
エロとギャグの振り幅も、実際にはどの程度の加減なら良いのかということは俺にもよくわかりません
それでも、山本先生が次に登場してくる時は何らかの答えを見つけ出していることでしょう
まずはコミックスの描きおろしを楽しみにしつつ、次回作に変わらない期待を寄せて
『E-ROBOT』の終了を考える本記事を終わりたいと思います
絵柄がエロに向いていないとは私は思いません。要精進ではあるが充分素養はある絵柄です。
ですが問題は中身。エロ兵装とエロが同じ高さにあって結果どっちもぼやけてしまっているのです。
エロ兵装は緩急の急、エロはじっくり緩急の緩で区分けすれば際立たせる事が出来ます。
あかりの入浴シーンとか出して下乳出した絵を描く、アイが転寝していて寝返りを打つとか…
そっちのエロをしっかりイメージ付けすると、エロ兵装時にリンクしてエロく感じるのです。
トラブルもそうです。エロハプ以外にまったりしたエロを入れてます。だからエロハプが際立つ。
まあトラブルの場合は絵も内容も洗練されてるせいでもありますけどwww
そこがイマイチ読者受けしなかった理由でしょう。