社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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これぞジャンプシステムか?編集長の言葉が示す「面白いマンガ」とは


…何か大仰なタイトルになってしまった(;^ω^)


昔のジャンプを見返していて、なかなかに注目したくなるものを見つけてしまいました

当時の新人さんが参加したパーティーか授賞式かなんかで、当時の編集長から直々に言われた一言だとか


それがこれ




 












200825編集長が語る極意

間口は広く
敷居は低く
奥行は深く



2008年の第25号に掲載されていた、そのイベントのレポ漫画の1コマに
こんなものが載っていたのです

目に入った瞬間に手が止まってしまいました


おそらく編集長としては、新人さんに対するアドバイスというか要望というか
期待も込めた上での言葉だったのでしょう

しかし、ここにはどうにも看過できないものが潜んでいる気がしてならないのです


結論から言ってしまえば、まるでジャンプシステムの象徴のような感じなのですよ

きっと言ったご本人は意識していないかもしれませんが、「ジャンプの考える面白いマンガ」とは
こういうものだというのがこれではないか

「ジャンプの考える面白いマンガ」を作るには、このことにもっと注意を払わなければいけないのではないか

そんな感じがするのです


1つずつ考えてみましょう


間口は広く



「間口」の意味をググってみると、「建物や家屋を正面から見た時の幅、表口」といった意味が出てきました

「入口」に近いイメージを持っていたんですが、少し違うのかな?

言い換えると、幅を広くということになるんでしょうか


漫画作りにおける幅、とは作者の幅を指すこともあるでしょうが
この編集長の言葉は作品そのものを対象としている気がします

作品の幅、といったらわかりやすく考えると、読者が「お?」と気になってしまうような「取っ掛かり」のことなんでしょうか

いろんなことに興味を持っている多くの読者に対して、いかにたくさんの人の目にとまるか
作品のどんな些細なところであっても、どういった部分に興味を持ってもらうのか

この範囲を広くすることが、「間口を広く」することに該当するのではないでしょうか

例えばバトルマンガであるとか、ハーレム的なラブコメであるとか
特殊能力バリバリの厨ニ系だとか

思いつくままに挙げてみたこれらは、全部を組合せて1つの作品を作ることも出来ますが
それをすることが「間口を広く」ということになるんでしょうか

ジャンプのテンプレ的読切で見たことがある気がしますね



敷居は低く



言い換えると、ハードルを低くするということですかね

庶民が高級ホテルとかに入ろうとするのは「敷居が高い」みたいな言い方をしますが、おそらくは
意味合いとしては同じものだと思います

つまり、作品を読もうとする「敷居を低く」すること

読みやすさではなく、読み始めやすさ、とでも言えばいいでしょうか


複雑な設定があるのでもなく
複雑な人間関係があるのでもなく
複雑な事情や背景があるのでもなく

わかりやすいシンプルな目的やお目当てがあったりすること

たとえば
第1話からキャラが5人も10人も出てきたりするのではなく、3人くらいで動かしていく
人数が増えれば当然その中の人間関係も難しくなりますが、3人くらいならまだ理解できる
政治的な思惑だとか隠しておきたい事情などを説明するのではなく、単純な原因や目的がある

こういうことでしょうかね


主人公と相棒とヒロインと悪役がいて、主人公が悪役をぶっ飛ばすまでの1話目で
主人公と相棒は当然互いをすっかり理解していて、出会ったばかりのヒロインとは仲が悪くて
誰かが抱える事情は、暗い過去がどうとか妹がどうとかわかりやすいもので

…みたいなw

見事にジャンプっぽいなw


1話目を読んでほとんど理解できなかったような作品の2話目を読もうとする人は
物好きな俺たちくらい

大体の人は初めに敷居の高さを感じてしまえば、もうそれ以上に踏み込んでいこうとはしないのでしょう


奥行きは深く



これは3つの中でも比較的イメージしやすいでしょう

作品の奥行きとは、すなわち世界観の深さのことを指すものと思われます
レビューの中でも結構な頻度で「世界観が浅い」みたいな批判をすることがありますが
そこでの浅さはそのまま話の薄さに繋がってしまうからですね

その薄っぺらさを感じさせてしまえば、どんなに感動的なシーンを描いたところで
読者な冷めた目で見ることになります
深さがないということは、盛り上がりもないからです



総じて考えると




読者の取っ掛かりを広く持って、

読者が実際に読み始めようとするハードルは低くして、

読んでみた結果割りと深い世界観を持っている


そんな作品は確かに面白そうな気がします


でも、この3要素全てを満たしていなくても面白い作品だってきっとあるんですよね

それはどう考えたらいいかなーと思った時に、ふと浮かんできたのが
これはジャンプが面白いと考えるマンガのことなのかもしれないということでした

濱田浩輔先生の言葉を借りれば、「噛んだ瞬間に味の出るマンガ」が
この3要素に当てはまるのかもしれないと思ったのです


バイバイジャンプののち、アフタヌーンで濱田先生が連載を開始した『はねバド!』は
「噛めば噛むほど味が出るマンガを描きたい」という信念のもとで描かれている作品です

そこでは、第1話、第1巻から実に10人以上のキャラが次から次に登場してきて
正直はじめは誰が誰やらわからないまま読み進めていました

編集長の言葉で言えば、圧倒的に「敷居は高かった」のです



あるいは、ジャンプ本誌に掲載される読切の中でたまに出てくる「ジャンプっぽくない作品」
作者がやたら尖った資質を秘めていたり、想像したことのないような要素の組合せによって
異質な仕上がりになっていたりするものがありますが、あれらは「間口が狭い」作品なのでしょう

ただその代わりに、その狭い間口に引っかかりを感じて読み始めようとする人にとっては
引っ掛かりを感じて興味をもった時点で「その方向」に適性があるということで「敷居は低い」かもしれません



…なんてことを考えてくると、やはりこの3要素をすべて満たそうとすることは
ジャンプっぽい作品を作ることと同義ということになるんでしょうか

アンケの試験的変更といい、たまに尖りまくった作品が掲載されることといい
最近のジャンプが必ずしもこの3要素を信奉しているとは思いませんが、それでも新人さんたちの中には
いろいろな形でこの3要素の成立とバランスに苦慮している人も多いことでしょう

まあ、必ず3つとも、ということはないと思いますよね
世界観の浅いことはどうしても気になってしまいますが、間口や敷居はどっちかだけでも…ということを
思ったり思わなかったり


COMMENT▼

No Subject

間口、敷居、奥行き。この中で尤も重要な要素は奥行きだと私は思ってます。
どれだけ間口が広かろうと敷居が低かろうと奥行きが無ければ一過性の作品に帰着します。
逆に奥行きさえあれば、私やrexelさんの様なコアな漫画好きが囃し立てて
知名度が上がり読者が増えます。ネット社会の今ならそれこそ爆発的に増えます。

ただ、ジャンプ連載となると話が違ってきます。最初から伸びないと打ち切りになるからです。
その場合に重要なのは間口と敷居。
普遍的な題材の中に個性を少し加えて「おっ?」と思わせる。
その個性を残したまま普遍的な展開をする。
この普遍性が、前日の記事でも言った「広がりによって生まれた基準」に他なりません。

「火の丸相撲」を例に挙げてみます。
個性:強い主人公に身長に恵まれなかった不遇を加え、規定を覆すと明確な目的を掲げさせる。
普遍性:展開を早くしてとにかく描きたいもの魅せたいもの伝えたいものを示す。
そして、今は奥行きを出そうとしている段階です。
「俺はこんな漫画を描くぞっ!」と矢継ぎ早に曝け出すのがジャンプ誌で生き残る秘訣。
ワンピースもそうです。最初はとにかくシンプルに進め、奥行きを広げだしたのは後からです。

結論として、編集長が仰ったことは当時のジャンプ編集部の方針と捉えていいと思います。
現状は模索しているところかなと。

No Subject

尖った作品と聞いてジョジョとハンターを思い浮かべました

今だと何だろう・・・暗殺とか?
案外こち亀もですかねw

尖り+閑話(下らない話)

通りすがりの妄想屋→某妄想屋→妄想屋…次は「もや」かな?w

ジョジョというか荒木先生の作品は「尖った名作」の見本ですね。
富樫先生も尖っていますが個人的には尖りすぎ。作品ではなく作者の方が。
銀魂も尖っていると言えます。大概の漫画家は扱い切れない題材だと思います。
雑誌や時期は異なりますが「ARMS」なんかも尖っていますね。
で、忘れてはいけないのが「寄生獣」です。
その尖り方といったら映画監督が惚れ込んで使うほど!(ターミネーターのT1000。監督自ら明言)
「悪魔狩り」「エルフェンリート」「魔王~ジュブナイルリミックス~」「ヘルシング」「アラクニド」
「イートマン」「トライガン」「ピコピコ少年」「魔方陣グルグル」「エルフを狩るモノたち」
きまぐれオレンジロードやらんま1/2とかもまあ尖っている側かな?
上げだしたらキリねぇなwww

で、ついでに言うけれど私が「恐らく初めて、漫画で衝撃を受けたセリフ」
「タキオンフィンク」著:樹崎聖
「お前(みたいなクズ)が「人間」だって言うなら俺は化け物でいい!」

@ラグエルさん

流石にそこまで略すのはちょっと・・・w

>尖った作品
出来ればジャンプで・・・(^^;
いやARMS好きですけどね?スプリガンも好きですけどね?
グルグルもらんまも知ってますけどね?

あ、進撃の巨人とか(ジャンプじゃねえ

Re: No Subject

皆様コメントありがとうございます。
というか、色々と考えこんでくれたようで、恐縮です。

いや、それを狙って書いた記事ではあるんですが。


アンケの変更だとかNEXTの刊行ペースに内容の変更だとか
ここ最近のジャンプの変化を総じてどう考えようかと思っていた時に
この1コマがヒントになって浮かんできたことを記事にしてみました。

この内容がほんとにジャンプシステムを象徴しているものだとしたら
変化しつつあるような気がする現在のジャンプにおいては、この3要素のいずれかが変化している
ことになりますね。

あるいは要素が増えているか減っているか。

磯兵衛の連載も案外その変化の範疇にあったりして。

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