社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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食戟のソーマ タクミ敗北による創真対美作の因縁がマイナスに作用する可能性

食戟のソーマ79話



感想記事の中に書こうとして、ちょっと長くなりそうな気がしたために
別記事にしてみたんですけれども


今週の展開によって生まれた創真対美作という対戦カードへの期待
しかしそこには、実はマイナスの作用もあるのではないかという気がしたのです



[タグ] 食戟のソーマ









期待と因縁の前提



選抜本戦1回戦
最終試合は美作昴の勝利という結果を迎えるに至りました

あらかじめ決められていたテーマに対する自分の作戦を全て読まれた上で
同じ品を自分よりも工夫を凝らした形で見せつけるという屈辱的な敗北

予定していた策を途中で変更し、起死回生の一手かと思われたアイデアすらも
先読みの上で手を打たれていたというこれ以上ないプライドの崩壊

暴虐的なまでに対戦相手を叩きのめす手段を採った美作という男
これほどの悪役描写には、美作を作中悪として描こうとする作者の意図があるものと思われます

それによって何を生み出そうとしているかといえば、単純に考えれば
「そんな悪役に主人公が勝つことによる爽快なカタルシス」であるのでしょう

無惨に負けてしまったタクミは、主人公創真が最初に認めたライバルキャラであり
勝負と決着を互いに望む関係であることが試合前にも描かれていました

そんなタクミが、こんな形で惨敗してしまったことは
もちろん創真に「それなりの感情」を抱かせるに充分なものであるはずです

それは、創真が美作に負けられない理由が1つ増えたと言えるのであり
否応にも2人の勝負に関する期待を膨らませる効果を持ちます

それでなくとも、叡山との因縁によりこの「選抜」では負けられない創真
美作が叡山配下であるらしいことを加えると、その因縁がさらに深まった形となったわけです

それは、ある意味では王道の展開であるのかもしれません

主人公のライバルキャラだった奴がカマセとなって新たな敵の実力が強調され
同時にそのライバルキャラの倒され方があまりにもあんまりだったことで
主人公が一層奮起憤慨する…という

バトルマンガでよく用いられる手法ですね



王道が逆効果となる可能性



前置きというか前提のお話が長くなりましたが、ここからが本題です

バトルマンガでよく用いられるこの手法は、そうした悪役キャラを主人公が倒すことで
読者の中にカタルシスを生ませることを企図したものです

王道と言われるほどにこれまでよく使われてきた方法であり、
また、何度使われてもやっぱり読者はそのカタルシスに強い印象と爽快感を抱いてしまうことから
演出方法として作家が会得しておくべき方法の1つともなっているでしょう


しかし、この作品でのこの流れに限っては、この王道の方法は悪手のような気もします


なぜかといえば


勝負に興味が持てなくなるからなんですよ


こうなってしまうと、もし創真と美作との対戦が実際に訪れたとして
主人公が負けることはないという主人公特権と
こんな屑に主人公が負けるマンガなぞ読みたくないという感情によって
最初から主人公の勝ち以外想定せずに読んでしまうんですよね

そうすると、料理対決がメインでもあるこのマンガ
どんなテーマでどんな品でどんな工夫で…というところが全くどうでもよくなって
「いかに主人公が爽快に勝ってくれるか」のみに興味が絞られてしまうのです

そこにあるのは、創真と美作の実力差を問うのではなく
いかに創真がタクミの無念を晴らすか、という料理対決の本質を失ったもの

ご丁寧なことに、今週創真の登場コマは極端に少なくたったの2コマです

土壇場でタクミが閃いた策が、美作によって先手を打たれていたことが発覚して以降は
1コマも登場してきません

これもまた、タクミの敗北によって生まれた因縁に気がついた読者が、創真がこの結果にどう思うのかを
気にすることを予測した上でわざと描いていないとも思えるのです


調理技術、発想、テーマとなる具材やメニュー、それらに対してどちらがより深く、より幅広いかを試すのではなく
主人公はどうやって悪役を圧倒的に負かすのか

単純だからこそ絶大な効果と印象を伴っていた美作の悪役演出は、料理対決を軸とするこの作品においては
そのウリとなっている部分を空洞化させてしまう可能性があるのではないかと感じるのです



でも作者がそれを分かってやってる可能性も



今週生まれた創真対美作の因縁にはこうしたマイナス作用の可能性があると考えられるわけですが
さらに、作者がそれをわかっててあえてやってる可能性も同時に存在します


それは、「選抜」という結構長めのシリーズにおけるバランス取りという意味における「寄り道」です

互いの実力の深さを広さをぶつけ合う「このマンガらしい勝負」は、予選も含めてひたすら描かれてきました
それゆえに、そうしたガチな対戦ではなく、勝敗がわかっているようなある種娯楽的とも言えるカードを
途中であえて挟むことで話のバランスを取ろうとしているのではないかと考えられるのです


マンガのエンターテインメント性を鑑みれば、そうした構成は当然作劇としてありえるものであり
すべては作者がどのように物語を創りあげていこうとするかに掛かっているだけの話です

だとすれば、そうした方針での対戦カードが途中で1戦だけでも行われることは
このマンガにおいても当然あり得るものといえるでしょう

そうした話を展開させることが極端に不自然な作品というわけでもないからですね

ただ、もしそうであった場合
噛ませ扱いにされたタクミがえらく不憫なことになってしまうわけですが…




わかってやっているのか、それとも別の意図があってやっているのか
作者の真意はわかりませんが、とにかく今週の展開からはこうしたことが深読みできるのではないでしょうか



COMMENT▼

No Subject

なるほど。
どっちに転ぶか楽しみですわ。

タクミ君立ち直れるんすかねぇ(´Д`)y-~~
最初の頃(予選)はこうなるなんて思いもしませんでしたよ。

No Subject

個人的にはタクミに勝って欲しかったです(^^;)
ソーマとタクミの再戦をこうして一回お預け食わせてくれた以上、将来的に一層成長したタクミとの高い次元の対決が控えている…という期待も湧きますが、、、

ソーマvs美作については、美作の特殊な料理スタイルにどう打ち勝つのかという戦略への興味がありますので、単に漠然と強い(上手い)敵と対戦するのとは違って勝負への興味はそこまで薄れない…とも思うんですがどうなんでしょうね;

ともあれ、今週のモヤモヤをスカッと晴らす痛快な食戟をソーマには期待してます(^^)

No Subject

自分もtaraさんと同意見で、作者は美作を単なる悪ではなく圧倒的な情報収集能力と繊細な技術、想像力を持った悪魔として丁寧に描写したので、ソーマとの対決において内容に興味がいかなくなる事はないですね。ソーマには単に勝つだけでなく、相手のプライドをボロボロにするような勝ち方を望んでます(>_<)

No Subject

敵役のゲス度を際立たせて主人公特権による制裁、その贄には主人公と親交の熱い人物。
王道ではあるけれど、なんかタクミの扱いが酷すぎで本気で哀れむ。

葉山か秘書子で良かったんじゃないかな?料理を冒涜している空気も発してるし、
それだけでも理由にはなると思うんだけどなぁ…
これで創真が勝ってメッザルーナ取り戻したりしたら冷める。
それをタクミが受け取ろうモノなら見限る。

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