社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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その世界の行方を知るのは神か女神か…『神のみぞ知るセカイ』第26巻完結巻

神のみぞ知るセカイ26巻1

神のみぞ知るセカイ 第26巻


とうとう完結してしまいました…


サンデーにおける屈指のラブコメ『神のみぞ知るセカイ』


訪れたエンディングは、物語としての完結とともに
桂木をめぐるヒロインたちのラブコメにも決着をつけるものでした


というか、物語の完結よりもそっちのほうが気になっていたと言ってもいいくらいの気持ちもあったりしましたが
思いもしなかった形でケリがつけられてしまいました


以下、ネタバレ含みます




[タグ] ラブコメ









実は、19巻で女神編が終了して以後
20巻で桂木が過去に向かうことになった展開に対して
「上手いことハーレム展開的ドタバタを避けたな」と思ったりもしていました

物語全体の上で必要なシリーズであることは何となく感じつつも、女神編という長編の中で出来上がった
ハーレム的状況に対して、シリーズ完結後の日常的なドタバタを見たいとの気持ちも少なからずあったからです

それが、桂木は過去に向かうことになって
現在時空におけるヒロインたちのドタバタは、入れ替わりに過去からやってきた7歳の人格の桂木と
繰り広げられることになりました
だからどうしても物足りない…

過去編を読みながら、その展開に緊張感を抱くと同時にそんな不足感も覚えていました



しかし


桂木に訪れた、いや桂木の選んだ「エンディング」は
俺のそんな感傷を全くふっ飛ばすような予想外の選択でした



まさかエンディングの相手がちひろだなんて思いもしませんでしたよ



必死に攻略を試みて、無事に果たした女神の宿る少女たちではなく
ただずっと前から自分に惹かれていたと言っていた無関係の女の子

世界の行く末に関わる重大事情とはまったく関係のないところで、乙女最大の事情によって
動いていた普通の女の子

そして
予想もしていなかった言葉を聞かされたことで動揺し、傷つけ泣かせて1度は最悪の結末へと導いてしまった女の子



そのちひろに、すべてが終わった後
今度は自分から告白した桂木


思い返せば、桂木にとってはこれが初めてのことだったのではないでしょうか

これまでは、攻略という名のもとに相手に好かれる性格や振る舞いを演じて
言葉少なにキスという攻略完了のしるしへたどり着いていた桂木ですが

その攻略の中では、「好きだ」という言葉を発したことは1度もなかったように思います
歩美の再攻略時に「愛してる」を連発したことはありましたが…
あれはまあ歩美から要求されたもので、自ら発したことはなかったかと

それが、この最後の最後に至って
「お前が好きだ」と面と向かって言い放ちました

わざわざ家までやってきて、外に出てくるのをひたすら待って
何の用だと驚くちひろにいきなり本題「お前が好きだ」


この展開はホントにまったく思っていませんでした

前巻のレビュー時に、未来の攻略準備のために心に穴を開けに行くという時
泣かせてしまったちひろへの償いから、いくらかの葛藤があったりするんじゃないかとの予想というか
期待というか願望というか、そんなものを抱いたりはしましたが

それでもそうした葛藤の末に、結局は現実に支障をきたさない選択を決断するのだろうと
思っていたのです

ですから歩美とちひろが一緒にいるのを見つけて、歩美の方だけに穴を開けた様子が
あまりにもあっさりさくっと描かれてしまったことは、初見時にはちょっとがっかりというか
拍子抜けさえしてしまいました


それが、物語の完結後にやってきた「エンディング」において
まさかの展開を見せてくれたという驚き



1話から登場して1番最初に攻略され、女神たちを探す再攻略においては
攻略するのに1番最後までかかってしまったヒロイン歩美でもなく

10年以上前に実は出会っていて、実は何度もキスを交わしていて
そして実は現在時空においてすごく身近なところに正体を隠して存在していた
長年の伏線を秘めていたヒロインドクロウでもなく

主人公の相棒として、公私ともにサポートを続けて
どんなに邪険にされてもずっとそのそばにいようとした自称妹ヒロインエルシィでもなく

別の役割を担ったエルシィに代わって一時的な相棒となり、攻略とは無関係のところで
主人公を見続けたことでいつの間にか惹かれてしまっていたツンデレ系ヒロインハクアでもなく


現実に興味がなかったはずの落とし神桂木が最終的に選んだのは
自分の考えた攻略ルートや感情フラグとは全く関係ないところで勝手に動きまわって
結果的に意図したルートにハマったように見えたり見えなかったりする普通の少女ちひろでした


ちひろを選んだ理由も作中で触れられてはいましたが、それも攻略の終了手順を踏まえたものでしたので
おそらくは表向きの理由なのでしょう

本当の理由はきっと、ドクロウが気づいていたように
自分の思い通りにならない女の子だったから、だから好きになってしまった

ギャルゲーマスターとのスペックを持つ主人公が惹かれるヒロインとして
非常に自然な形であるでしょう


しかし、だからといって
選ばなかったヒロインたちを桂木が嫌っていたわけではもちろんありません


天理に託された手紙に書かれていた桂木の本音

それぞれのヒロインたちをどう思っていたか、その本音

ゲームに見立てた攻略という言い方をしながらも、決して彼女たちを単純な存在として見ていたわけではないことが
よくわかる内容でした


だからこそ、ちひろを選んだその決断が本気であることが感じ取れるわけです


物語の完結

ラブコメの決着

実に清々しい形でのエンディングを見せてもらえた最終巻でした







ところで、神のみぞ知るセカイというタイトル

「神」とは誰を指していたのでしょう

「落とし神」と作中で称されていた主人公桂木なのか
それとも世界の創造神といった意味での神なのか

どちらなのかはわかりませんが、コミックスの裏表紙に違った解釈…というかアレンジめいたものが
描かれていました


神のみぞ知るセカイ26巻2


The World Goddesses Only Knows

女神のみぞ知るセカイ

複数形になっていますから、正確に訳すなら女神たちのみぞ知るセカイ、でしょうか
これでもある意味この作品の真理をついているかもしれませんね




サンデーによるジャンプマンガとは全く異なる切り口からのラブコメを見せてくれたこの作品

ラブコメというには、主人公があまりに賢く、頭脳が冴え渡っていたことから
あっちにドタバタこっちにドタバタということができずに、ストーリーに縦軸を作らざるを得なかったことで
物語が進行すればするほどラブコメ成分は薄くなってしまった感もありました

しかしそれを防ぎつつ縦軸のストーリーもしっかり展開させてみせた「女神編」は非常に面白いシリーズだったと思います

女神編の出来が良すぎたおかげで過去編に入ったところで人気が落ちた…なんて話も聞いたことがありますが

それでも、ジャンプでは決して読めないラブコメの形を見れたことは非常にありがたく
また面白いものでした



若木民喜先生
お疲れ様でした




COMMENT▼

No Subject

若木先生、上質な作品を読ませて下さり本当に有難うございました!!

私の予想は、桂木は想いを隠したまま誰も選ばずに終わると思ってました。
その理由は、桂木はこの「ゲーム」を通してリアルに向き合いリアルな恋愛をしましたが、
その恋物語は「あの屋上で流した涙」で終わったものだと思っていたからです。
しかし桂木の中では終わっていなかった。「ゲーム」を終わらせてしがらみを消し、
その上で告白しに行くとは誰が予想できたでしょうか?
この漫画は紛う事無く「名作」と言えるでしょう。

過去編で「未来」を「知って」いたのは桂木だけでした。
終盤で桂木は本心を、自らの「セカイ」をヒロイン達に明かしました。
そして作品完結後、それぞれの「セカイ」を知る(選ぶ)のは他ならぬ自分達。
「神のみぞ知るセカイ=未来」
タイトルが示す神は落とし神でも創造神でもユピテルの姉妹でもありません。
自分のセカイの決定権は「自分と云う神」しか持ち得ないのですから…

名作ラブコメ

全16巻でいいのありますけどどうします?wwww

Re: No Subject

おお…
なんという解釈ですか。いいですね、それ。

それは未来のことである、とは何とも粋な解釈じゃないですか。


実を言えば、今回のこの記事書くのには結構時間かかってしまったんですよ。
1つの作品の終わりに際して、いろんな気持ちが沸き上がってきて
それをどうにもまとめられずに、タイトルの意味を考えてみてもまとまらずに、
発売されてから結構経っているにもかかわらず全然落ち着かなかったんです。

しかし、ラグエルさんのコメントを見て何となく落ち着けた気がしました。
いい考え方を示してもらいまして、ありがとうございます。


…で、何かまたビッチ的なお気に入りのラブコメがあるんですか。
とりあえず教えてください(;^ω^)

解説と紹介

ではコレを踏まえて26巻のラストでディアナが発したセリフ以降を読み返してみて下さい。
「天理は間違ってはいませんよ。私達は決められた(後略)」
から先です。そして「桂木えり」が見上げた空、ラストページが未来を雄弁に語っています。
ご丁寧に下部にタイトル付きでw


「はじめてのあく」小学館発行、藤木俊著。

ラブとコメのバランス、見事なストーリー構成、そして最終巻での「タイトルの伏線回収」。
完成度は私が持つラブコメ作品で上位三本、漫画全体でも十指に入る漫画です。

http://sokuyomi.jp/product/hazimeteno_001/CO/1/

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