社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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HUNTER×HUNTER 暗黒大陸の恐ろしさが孕む世界観崩壊の可能性


今週の感想の中でもリンクしてましたが、以前書いたこの記事を前提とした話です

HUNTER×HUNTERの休載に関する超好意的な若干の考察


今週からようやく連載再開となり、その第1回目にして早速その面白さを評価する声が
多く聞こえていますが


今週の一番の内容だった暗黒大陸に関するいくつかの説明

このことが、実は作中の世界観を崩壊させる可能性を秘めているのではないかという話です
もちろん、地図の外の世界だからと今までの世界観と全く違う物語になる…なんて内容ではありません



冨樫先生が漫画を描かない(描けない?)理由に繋がるかもしれない話です



[タグ] HUNTER×HUNTER







さて、主人公も登場せずに、ほとんどモブキャラたちと説明だらけだった今回が
それでも再開1話目からいきなり面白すぎると感じさせられた理由
それは、何より暗黒大陸における想像を絶するような厄災の数々と、それらが醸し出す異常なる緊迫感にありました


「地図の外の世界」として、たとえばグルメ界のような「常識はずれの現象とインフレばかりの舞台」というくらいに
漠然とした印象しかなかった暗黒大陸という場所が、今週の1話で一気に異様な脅威としてのイメージを確立したのです


だからこそ物語がさらに一段と深みを増したと言うことができるわけですが
しかし

冨樫先生が最初にこのマンガを構想した着想に目を向けると、必ずしもこの暗黒大陸はそこに沿っていないことが窺えます

上記の記事にも載せましたが、コミックス空きページに掲載されていたこれですね


ハンター誕生秘話




色んな物を集めようとすることをテーマとした作品
少年マンガとしてそれを描こうとすれば、財宝や秘境を求める奴らを描くこととなります

平たく言えば、「ロマンを追いかける」連中ですね
この作品においてそのようにイメージされた人物こそが「ハンター」でした

キメラアント編は、何かを集めるでも狙うでもなく
蟻と人との種を賭けたバイオハザードがメインのシリーズだったことで
様々なハンターたちが活躍することはあっても、彼らが何か物理的なお宝を得たりすることが無いために
「ハンター」としての達成感なり充実感なりといったものは希薄な話となっていました

そのため、冨樫先生にとっては蟻編は最初の構想からどんどんかけ離れていく形となり
それが長期休載という現象となって起こってしまったのではないか


これが、「冨樫仕事しろ」に対して超好意的に考えた事情だったわけですが


だからこそ、物語の新たなる舞台となる暗黒大陸には期待を持っていました

休載直前、暗黒大陸を指して「絶対不可侵領域」と表現されていた「地図の外の世界」


つまり、ハンターたちが何より大好物な「未知」が山ほど存在する場所として
蟻編を終えて今度は物語の本来のところに戻ってきたのだという感触を持っていたのです


しかし、再開後の今週の1話を見ると
その感触がどうも怪しいことに気がつきました


「厄災」と表現されていた5つもの謎の生命体や症状

それは、暗黒大陸の恐ろしさとありえなさを一発で示してくれたことで
暗黒大陸というもののイメージをわかりやすく伝えてくれたわけですが


同時に「ロマンを追いかける」という感覚を著しく萎ませてしまった結果になったと思うのです



なぜなら、これほどの恐ろしさと不気味さを含んだ暗黒大陸という世界には
「ロマンを求める」という感覚でいられないからです


それはハンターたちが憧れたという「未知」でもなければ「未踏」でも「未開」でもなく
「禁断」あるいは「禁忌」でした

もちろん、それでも正体不明なことに変わりはないのですから
それを求めようとする奴らがいてもおかしくはないでしょう

しかし、あれほどの「厄災」を表現して、読者にこれほどまでの「得体のしれなさ」を感じさせてしまうことは
物語を一歩退いた目で読ませてしまうことになると思うのです

それによって、キャラたちへの感情移入が制限され
常に「安全圏」にある立場として野次馬根性的な読み方になってしまう可能性があるのです

そうするとどうなるかといえば、「他人事」として読んでしまうんですね


メインキャラたちが何をやってても「あーだから」「こーだから」と否定的な印象からスタートしてしまう

短所を必要以上に欠点として感じさせてしまう恐れがあるのです


あるいは冨樫先生ならそれでも読者が目を離せないようにしてしまえたり
あるいはむしろそれを望んでいたりするのかもしれませんが

とにかくキャラへの感情移入が制限された状態で読んでいくというのは
キャラたちの感じるワクワクやドキドキがこちらには十分に感じられないことを意味します

最初の着想からしてそれはどうなのか


冨樫先生の着想の中では、 読者にロマンを感じさせることが主眼だったように思います

しかし、今回示された暗黒大陸の謎は明らかにロマンではなくタブーでした
つまり、それを追うことが明らかに災いを招くと思われるものだったわけです


だとすれば、これもまた、冨樫先生が最初に構想したところから乖離しているのではないか
そして、地図の外の世界なんていう世界観の中で最大級の舞台設定においてそんな乖離が発生しているとすれば
作者が描きたい世界と実際に原稿に現れる世界とがあまりにもかけ離れていくことになりはしないか


これが、暗黒大陸の恐ろしさが内包している気がする世界観崩壊の懸念です
そうなってしまえば、読者にとって最大のタブー「休載」が始まってしまうかもしれません


で、それを防ぐには、暗黒大陸の謎に何らかの希望というか「光」が見出されなければなりません

たとえば「ワンピースの正体」はタブーではなくロマンです
世界政府にとってはタブーなんでしょうけども、そこに秘められる「真実」が
読者も作中世界の人々をも引きつけてやまないロマンなんですね

ならば、5大厄災の解明に何らかの「真実」が潜んでいるとしたら
話は一気にロマンを持つようになります


世界の存在理由であるとか
世界の由来であるとか


ただそれが、これも最初の着想である「色々なものを集める」というところとちゃんと関係できるかというと
怪しいかもしれませんが


COMMENT▼

No Subject

厄災は別に宝ではないからねー 形としてはハンターモノだけど
内容は全然違うわね。これからオカルトチックな話しになるかわからんけど、それも含めておもしろい。

No Subject

なるほど
タブーとロマンですか(^^;
それでも先を期待させてしまう手腕は凄いですがw

今回は何週持ちますかねぇ(ニガワラ

Re: No Subject

コメントありがとうございます。
名無しさん

そうなんです。厄災は宝ではないんですよね。
正体不明のものを追いかけるというのは最初のハンター像に沿っているようですが、
本質は全く違う。

あるいは某特○リサーチのように、その厄災のメカニズムなんかをガチで追いかけようとするなら
それはそれで知的好奇心をくすぐる展開かもしれません。

念の一種とか言ってあっさり説明してしまうのではなく、何らかの原因と関連を見出す…
その辺のハッタリは冨樫先生の得意とするところではないかと思うんですよね。

Re: No Subject

せめて10週以上は持って欲しい…
某妄想屋さん

突き詰めて考えようとすれば、そんな違いがあるんじゃないかという解釈ですね。
雰囲気作りが半端無いのでどっちにしても面白いことは変わらないんですけども。

No Subject

休載にならないことを祈るばかりですねw

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