社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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SOUL CATCHER(S) 神峰と悪意くんの間に存在するもう1つの決定的な違い

悪意くん


またしてもソルキャ記事ですが


神峰と同じ能力を持ちながら、神峰とは全く正反対の価値観と感じ方によって
能力を使っている通称悪意くん

今週神峰との邂逅を果たし、互いが同じ能力を持っていることまで知ることになりましたが

先週記事にしたとおり、主人公神峰と同じ能力を持つ彼は明らかに神峰を相対化させるキャラであり
またおそらくは、神海先生はそれを意図してキャラを設定し、登場させたものとさえ考えることも出来ました


そのために、悪意くんは心の状態が見える能力を神峰との共通点として
それ以外では対極にあるような男となっていましたが


どうしても見逃すことの出来ない神峰との差が1つだけあります



同じ能力を持ちながら、その他は相違点だらけの彼らにあって
これだけは見落とせない決定的な差異と言えるもの




悪意くんは、楽をしているんですね




神峰と同じ能力を持ち、また神峰と同じように「自分の力によって人の心が変わっていくことが清々しい」と
語った悪意くん

これまでの物語で、まさに読者も同じことを感じてきましたね


悩み、葛藤し、挫けそうな心が変わっていくのが清々しい
今まで神峰が攻略してきたパートリーダーたちの心によって、読者が「見」て、抱いてきた感情そのままです

神峰もまた、自らの奮闘と試行錯誤によってその結果を生み出し、
読者と同じように、心が変わったことを喜び、嬉しく、充実感を抱いていました


言葉だけ聞けば、悪意くんも神峰と同じことをやろうとしているのかと錯覚しますが

先週から描かれているように、悪意くんが心を変えるのは全てイヤな方向なんですね

会話の相手にウソを警戒させて疑念を抱かせる
苦手な相手に理由と責任を押し付けて、自分を正当化させる


彼が変えようとしているのは、すべて心に黒いものを出現させる負の方向
悩んでいる心に対してどこまでも正面から向き合って、プラスの方向へと導いてきた神峰とは
全く正反対のものでした

しかし、彼の口から出てくる言葉は神峰も読者も感じていたことと同じもの

そうして心が変わっていく様は見ていて清々しい


この不思議で奇妙なアンバランスが、悪意くんに嫌悪感を抱かせるきっかけになっているものと思われますが
実はここにもう1つ、彼への嫌悪感を生んでいる理由があると思うのです


それが、先程述べた「悪意くんは楽をしている」ということです


同じ心を変えようとする過程において、神峰の場合は
とことんまでその相手と向き合い、どうするのが一番いいのかを考えて理解した上で
9割の自信と少しの不安とともに行動に移していました

それは、これまで他人の心に関わろうとしてこなかった神峰にとって
恐怖すら覚える未知の領域

それでも目の前の相手のために絶対に必要だと思えばこそ、震える身体をこらえて
立ち向かっていったのでした

自分を認めてくれようとしない相手に対して、それでも神峰がどれだけの労力を割いて
ぶつかっていこうとしたか

以前記事にしたように、このマンガの面白さの核はそこにこそ存在するものでしょう

関連:
SOUL CATCHER(S)にあるような気がする1つの弱点

その結果、現在のように何人ものパートリーダーから認められ、慕われ、信頼され
そして、惚れられているのです


然るに、悪意くんの場合はどうでしょう

先週と今週の様子からの推測ではありますが
彼が心を変えようとする過程は、あまりにもあっさりで淡々としているのです

誰と衝突するのでもなく、誰の怒りを招くでもなく
ただ、静かに言葉を口にするだけ


激動のシーンも有った神峰の場合と違って、それはそれは穏やかなものです

それもそのはずでしょう
彼が口にする言葉は、基本的に相手の中にすでに多少なり存在している感情を
そのまま肯定しているものなのです

特に、神峰が想像してしまった各パートリーダーたちへの働きかけ方
その全てが、彼らの中にあるモヤモヤをいちいち肯定して強調して納得させるものでした

悩み、苦しんでいる事実と原因に対して
違う考え方を伝えるでもなく、違う事実を伝えるでもなく
ただ「あなたは間違っていない」と話すのみ

これでは悩みの内容は解消どころか一層膨らむばかりで
限界すらも早く訪れることになるでしょう

神峰と悪意くんの決定的な違いがここにあります


すなわち、プラスの方向への変化を目指す神峰は時に自分の身を犠牲にしてまでも
相手にぶつかっていこうとするのに対して

負の方向へと変えようとする悪意くんの場合は、ただ相手の思い悩む内容に対して
気軽に同意と賛成を示すばかりで自分の身は全く安全な場所に置いたまま
なのです

そこには、相手のことを本当に思いやっている気持ちは微塵も欠片もありません
ただ聞こえのいいようにそれらしいセリフと言い回しを使っているだけで
あえて自らが苦労を背負おうとする気概や覚悟は一切ないのです

それは、「生きがい」と語るほどの「人の心を変えようとする行為」に対して
できるだけ楽をしようとする姿勢の表れであり、そのためにはプラスの方向ではなく
負の方向に変えるほうが簡単という認識を何よりも示しているものです

ここにこそ、悪意くんに対して読者が抱く不快感の最大の原因があるといえるでしょう


そして同時に、このマンガの面白さに対して悪意くんがどれだけ重大な位置にいるのかも
わかるものであるでしょう


だからこそ悪意くんの登場は非常に大きな懸念なのです

彼への対抗に神峰が手を取られてしまえば、
作品の面白さの核を希薄化させてしまう恐れがあるのですから




[タグ] SOULCATCHER(S)




COMMENT▼

No Subject

どうにも合戦へ移行する兆しにしか思えないんですよね、あの神峰の「全力で止める」発言が。

この悪意くんの登場からの流れは、金管メンバーも含めて決着を迎えたら終了の予感もさせます。
掲載位置からして恐らくrexelさんも危惧しているかと思いますが。

悪意くんがめだかBOXの禊ちゃんに似ていることも不安を募ります。
清々しいまでの悪と言いましょうか、自分の行いは不当ではなく正当だと認識しています。
この手の悪は、本当に扱いが難しい。ただの悪に成るか空気になるか大概どちらかです。
上手く扱い切ってくれることを願います。

この前のコメ欄では迷惑をお掛けしてしまいました。申し訳ありません。
以後は宣伝はしません。反省しております。

悪意くんのことですが、私は逆に彼がいなければ金管組の攻略も神峰の真の成長も望めないと思っています。
悪意くんはソルキャに必要なキャラではないかもしれません、また楽をして生きているようにも見えます。
しかし、本当に彼はこの作品にそぐわない登場人物なのか?そして楽をして生きているのか?今回の話を何回か読み直してみて気付いたのはそこです。
彼の心は光さえ飲み込む巨大なブラックホールでした。いわゆる底なしの欲望の象徴にも見えます。彼はその欲を満たすために人に不安を植え付けますが底のない心ではいくら望むことを達成しても満たされないままです。
悪意くんは他人が不安になったり疑いの心を持つのを見るのが生きがいと言っていましたが、これは娯楽のためではなく自分の心の飢え(自分を認めて欲しい等)を満たすためにやっているように感じるのです。なのでここでの生きがいという言葉は彼が依存していること=人を傷つけることにも受け取れます。しかしそんなことを続けていれば
やがて信用を失い孤立するでしょう。
そして底なしの欲望が満たされなくなった時彼は今度は他人ではなく自分を傷つける可能性もあります。
そして神峰はそんな悪意の塊=嫌なもんから逃げずに戦う必要があります。
なぜなら自分の心の闇(ともいえる悪意くん)と向き合わなければ神峰が精神的に成長できない、物語を進めることができないからです。

Re: No Subject

コメントありがとうございます。
ラグエルさん

それでも神峰としてはああ言うしかなかったでしょう。
心を変えようとしているのは自分もやってることですが、
ベクトルが正反対で、その上全く相手のためにも何にもならないとなれば
彼の前に立ちはだかるよりありません。

ただ、それが悪意くんとの心塗り替えバトルになってしまうのは
神峰にとっては完全に消耗戦であり、本来やりたいはずの攻略もできなくなる恐れのある
危険な状態です。

彼の不確定な行動が金管4人の心を無造作に揺さぶって、それが神峰の入り込むきっかけや隙になるとしたらまだ自然な展開でしょうが、それではあまりにも神峰に都合のいい話です。
悪意くんのキャラ性もぶれてしまいます。

だから扱いが難しいんですよね。

さらに難しいのは、最終的に彼がどうなったら着地なのかってことですね。
先週おっしゃっていたように、悪意は悪意のままに味方に付けるというのも
1つの選択肢ではありますけども。

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。
しぐれバーさん

宣伝のことは別に気にしておりませんよ。


で、なかなか貴重な悪意くん必要説をいただきまして、俺のほうがお礼を言いたいです。

同じ能力を持つがゆえに、1つ間違ったら神峰もああなっていた可能性があるという意味で
悪意くんを「神峰の闇」とする前提からのお話ですね。

それから逃げずに戦わなければならないというのはわかりますが、戦う、という部分が
どう描かれていくかが問題ですね。
悪意くんを心変わりさせるように働きかけるのか、それともとりあえず排除しようとするのか。

神峰はまだ自分が悪意くんのようになっていた可能性には気づいていないように見えますので
そこに気づいた時どう思うのか。
その辺りも注意しておく必要があるでしょうね。

悪意くんの考察

唯一?の救いは、悪意くんの生き甲斐が「人を悪意に染める」ではないことです。
彼は「人の心が様変わりするのに生きてる実感を感じる」なんです。
そう、方向としては神峰と同じ。ただrexelさんの言っていた通り楽な道を選んでいるだけ。
神峰は反転、悪意くんは後押し。真逆なのはそのプロセスそのものなんです。

しぐれバーさんの仰る通り、神峰自身がそうなって居たかも知れない闇の部分が悪意くんです。
神峰が自分の闇を見つめ、悪意くんが自分の光を見つめ、光闇一対の答えに辿り着けたなら、
迎合ではなく共存の道に進めると思います。

Re: 悪意くんの考察

迎合ではなく共存。
わかりやすい表現ですね。

私の考察通り、黒条が楽をしようとしているのだとしたら
始まった管崎先輩の攻略に際して、彼は当然のように彼女のネガティブな感情を後押しするような
働きかけをするのでしょう。

そしてそれを神峰が止めようとする…


この対立が続いてしまうような形になれば連載も危うくなりますが、
そうではなく「どうせ人の心を変えるならいい方向に変えてやりたいだろ」ってことを
神峰が黒条に解らせることができれば、協力することもできるんでしょうね。

桜の下で管崎先輩と神峰が話をしているのを見て、何やらよくわからない表情を浮かべていた黒条は
彼女の攻略にどう関わってくるんでしょうかね…

No Subject

今更読みましたが

この悪意君 すでに名前が判明してるので黒条と呼ぶべきでしょうね

毒は速く回るという言葉がありますが
黒条のやることはそれがよくわかる

彼のやってることを見て感じることは
物事を悪い方向に進めるのは簡単だということですね
おっしゃっている通りただ一言いうだけで簡単にその方向に進めることができるのですから
あとはただ自然に進むだけ

神峰はなんとか良い方向に進ませようとしてますが
それは非常に難しいんですよね
そのためには相手の考えを否定しなければならない
少なくとも大半がそうだったと思う
でも否定されるとそれを受け入れるのは非常に難しいんですよね
ただだからこそ価値のあることなのですけどね

彼の存在は懸念材料ですが
リーダーたちに認められた後にもまた波乱を呼びそうです

ちなみに神峰の力のことを刻阪や黒条以外にも知られる可能性があるのだろうか
その時もまた試練になりそうですね
周りがそれでもなお神峰を受け入れるかどうかも
(個人的に邑楽先輩の反応が一番気になりますが)

Re: No Subject

別に今更とかはお気になさらず。
katariさん

攻略済みのパートリーダーたちへの影響。
先週や今週は黒条に動きないですが、俺が気になってるのもそこなんですよね。

金管4人の攻略を邪魔するのではなく、すでに前向きになれている心を折ろうとする。
キラキラしてる心をドス黒く染めようとするのは、ニュートラルな心に悪意を与えて黒くするよりも
彼にとってよけいに快感にならないかというのが心配です。

神峰の能力バレは…

とりあえずしないほうがよさそうですが…?

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