社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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SOUL CATCHER(S) 神峰と同じ能力者が登場することの懸念と不安

月曜日の感想記事で予告の通り、この記事です


新章のプロローグとして現れた2人の新入生

その内の1人が、どうやら主人公神峰と同じ能力を持っているっぽいということ

最初は、神峰と同じ能力者ではなくて
新たな共感覚能力者が出てきたんだと思ったんですよ

伊調と聖月ちゃんに次ぐ、まだ出てきていなかった嗅覚か触覚かの能力者ですね

それが神峰と同じ能力だったことで面食らったのが正直な第一印象でした

関連:
SOUL CATCHER(S) 神峰の能力は本当に共感覚なのか

で、よく考えるとこれってどうなのよという感じがしてきまして
ちょっくら考えてみたいなと


なぜって、作品の今後に不安と心配ばかりが出てきてしまっているからです

自分の頭の整理がてらに、長くなりそうですが書き起こしていきましょう



主人公と同じ能力を持つキャラが登場することの何がいけないのか


バトルマンガであればよくある強敵のパターンですね
同じ能力を持つ敵をどうやって倒すのかを通して、バトル的にもキャラ的にも面白さを増すことのできる
定番の展開です

しかしこの作品に限ってはそうとは言えないだろうと思うのですよ


そもそも、同じ能力を持った相手が登場してくるというのは
必然的にそのキャラを相対化する効果を伴います

当たり前ですね

それまではその能力を持つのは1人しかいなかったのが、別の奴が出てきてしまうと
能力の使い方だったり、深さだったりが違ってたりして比べられてしまうからです


バトルマンガならそれでもいいでしょう

しかし、それをこの作品で、しかも主人公でやることはちょっと悪手ではないかと


新キャラの彼が神峰と同じ能力を持っていたならば
今まで神峰オンリーだった心の風景を見る能力が、相対化されます

具体的に何が起こり得るかというと、いくつかの疑問が湧いてくるんですね

まず神峰に見えている風景や状態と彼に見えているものとが同じかどうかということ
そして、見えている風景や状態が同じでも、それがどんな感情かという解釈が異ならないかということ

神峰の能力が相対化されてしまう結果、この2点が疑問として浮かんでくることになります

浮かんできた疑問には答えてもらいたくなるのが人情ですが、それはつまり
この能力の詳細な部分や設定を考えて明かさなければならないということです

それは、能力を読者に深く理解させる意味では有効なことかもしれませんが
物語としては決して好ましいことではありません

なぜなら、心の状態が見える能力というのはこの物語において
手段であって目的ではないからです

言い換えると、作品に必要な要素ではあるものの中核を担うものではないということです


このマンガの中核がどんなものであるかは、以前この記事の中にも書いたことがありました

SOUL CATCHER(S)にあるような気がする1つの弱点

それは、弱点に対する核心として、俺が考えたものでしたが
自分を嫌う人のために、他人との関わりを避けてきた神峰がどれだけの心血を注いでいるか

神峰のこの葛藤と苦悩がこの作品の真骨頂なのではないかと

心の風景が見える特殊能力も
吹奏楽という競技も
そのために必要な舞台装置だったのではないかと
そう思ったのです


だとするならば、その神峰と同じ能力を持った新キャラを登場させて
能力や神峰自身を相対化させてしまうことは物語の核心を希薄化させかねない選択なのではないかと

そんなふうに感じるのです


引きの描き方を見る限りでは、この新キャラ
神峰と同じ能力を持ちながら、見える心の景色の中に疑惑と警戒が生まれる様を楽しむという
なかなかに性根の腐った男のようでした

それでいて、あえて吹奏楽部に向かおうとするその意図

これもまた、どこまでも誠実であろうとする神峰との対比なのだと思いますが
やはり悪手のようなのです

吹奏楽部に向かおうとするのは、吹奏楽マンガですから当たり前なのですが
しかしキャラにとっては自明ではないこの作中世界
なぜこいつは吹奏楽部に用があるのか、そこの理由は必要ですね

おそらくは次回説明されるものだと思いますが…
どっかで神峰の噂を聞いて、「自分と同じ能力を持っている」ことを確信したんでしょうか

ただまあこれは些細な問題点で
より大きいのはこいつの捻じ曲がった性格の方です


誠実な神峰に対して、捻じ曲がった新キャラ
同じ能力を持ちながら、他人が嫌いだった神峰と人ゴミが楽しいという新キャラ

ここでの「人ゴミ」とは「人がゴミのようだ」との意味を暗に持つものであり
それによって新キャラの悪意をさらに描こうとしているものだと推測できます


「悪意」というこの要素


今までこの作品にはあまりなかったものだったんですよね


これまで攻略してきたパートリーダーたちは、それぞれの事情を抱えつつも
決して悪意を持って何かをしでかしてやろうと考えている人たちではありませんでした

むしろ、何かにとことん向きあおうとした結果
挫けてしまった、あるいは挫けそうになっていた人たちで

そこに、同じく「挫けていた」神峰が吹奏楽と刻阪との出会いによって立ち直り
能力も含めた自分の持てる力全てを駆使して彼らに向き合っていこうとする姿が
このマンガの面白さと魅力の源泉でした


そこにやってくる悪意の塊

青春部活ものとしてよくあるパターンではあるのですが
やはり、忌避できるものなら忌避したい展開です

直面した問題に何とかして立ち向かっていこうとする泥臭さと
それを解決できた結果をともに喜んで仲が深まるという爽やかさ

そんな雰囲気を楽しみながら読んでいた中に、悪意というおぞましいものはどうしても不要なのです

今までの雰囲気が害されるというか、損なわれるというか



同じ能力を持っているだけでも神峰の存在を相対化して希薄化するのに
性格までも正反対ならば、さらに神峰と神峰の紡ぐ物語を希薄化することとなります


そうなるとただでさえ掲載順が後ろの方になってきたのに
さらにまずいことになるんじゃないかという気がひしひしと



何だかまとまらなくなってきました

要するにそういう心配ばかり浮かんでくるんですが、考え過ぎでしょうか




[タグ] SOULCATCHER(S)




COMMENT▼

No Subject

まだ今の段階では何とも言えないですね。
神峰と同系統の能力を持っているのは間違いないでしょうし悪意の塊なのも決定でしょう。
それは、以前は人を避けていた神峰が今まで触れる事のなかった心だと思います。
「自分の心を見られる」事と「本質的な悪意に触れる」
その経験を得られると云う意味では良い展開とも言えます。
しかし、扱うにはかなり難易度高い題材なのがネックですね。

単純に心の塗り替え合戦になったらかなりマズいです。それは協調という魅力を捨てること。
悪意を善意に変えるではなく、悪意は悪意のままで協調し変容させる結果に導ければ
良い方向に向かえると思います。

ああ、良い例がいました。
めだかBOXの禊ちゃんです。悪意のまま敵対から好敵手に上手く変えれています。

心配な展開

初めまして。
いつもブログ拝見しています。ソルキャファンクワバラと申します。
今回の展開には本当に不安でたまりません。
悪意ほどこの作品にそぐわないものは無いと思っているからです。
吹奏楽への取り組みで悩み傷つく神峰達は受け入れられますが、悪意に傷つく彼らは見たくないです……。
なぜこんな展開にしたのか。場合によっては購読止めようかと思っています……。

No Subject

初めまして!
ブログ拝見させて頂いてます。ソルキャの記事たくさんで、いつも楽しませて、そして考えさせて頂いてます。ありがとうございます!
今回の展開はちょっと残念に感じてしまいましたが、正直(ジャンプ的には)避けては通れない展開だよなあとも思っていましたのでまあ期待と不安半々といった所です。個人的にはこういう悪い感じの奴は大人とかにして、問題発生後解決と同時にどっかいって欲しかったです。
悪意君が、神海先生がソウルキャッチャーズという作品の中で最初から必要だと思って出された(造られた)キャラなのか、順位を上げるために考えられ出されたキャラなのかで今後が大きく変わってくるんじゃないかな、と感じます。読者がついてくるか離れてくるか、という意味での今後です。読者が納得できるようなシナリオであることを望みます。

あとこれが書きたかったんですが、悪意君ってアンコン全国で注目されてたTbの子に似てませんか?ジャンプ読み返しててアッってなんたんですが…
違うなら違うでいいんですが、もしそうなら金井淵先輩筆頭に金管、演藤ちゃんもろともかかわってくるので、一気に神峰が攻略に走るんじゃないかなー、なんて。神峰頑張れー!
長々失礼しました!明日は4巻発売日ー買うぞー!

No Subject

ぶっちゃけ「あの人」だろ、どっかのサッカー漫画に出てきたよーな。

Re: No Subject

コメントありがとうございます。
ラグエルさん

出てきたばっかですから不確定な部分は多分にありますが…
やはり良い予感はしないんですよね。

確かに、人と向き合うことを決意した以上
悪意を持った奴ともそうしようとするのは展開としてはおかしくありません。

しかし、それが物語にどうしても必要な部分かといえば…

攻略すべきパートリーダーたちの中にそんな奴がいたというならまだしも
新キャラとして現れてきた奴に対してそこまで注力する必要があるのかという気がして
ならないのです。

塗り替え合戦がマズイというのはまさにその通りですね。
彼の目的が何かはわかりませんが、持久戦、消耗戦にしかなりませんから。


球磨川のようになれればたしかにいいのかもしれませんが…
あれは西尾維新先生のキャラ作り力があってこそのキャラではないですかね…

神海先生もそれに負けないセンスを持っているとは思いますが
あそこまでハッタリの効いたキャラにできるかどうか…

Re: 心配な展開

どうもお初です。
コメントいただきましてありがとうございます。
クワバラさん

心の見える主人公が心に寄り添っていく様を描いていくこの作品にあって
悪意もまた心の一部とすれば全く不必要な物とはいえないのかもしれませんが…

それでも心配な気持ちしか湧いてこないですよね。

神峰たちへの心配もですし、作品自体への心配も。

ただ、どんな展開になるかはこれからですが、その中身によっては読むのをやめてしまうというのは
もったいないんじゃないかと。

展開がめちゃくちゃになって、作品としてすっかり破綻してしまったというのなら仕方ないですが
暗い雰囲気になってしまうことに耐えられなくて読めないというのは、もったいないと思いますよ。

神海先生がこの物語の先にどんな終わりを構想しているかはわかりませんが
薄暗い雰囲気のバッドエンドではないはずです。
だとするなら、作中で神峰たちがどんなに傷ついたとしても
彼らはきっと立ち上がるはず。

その展開が確定してから安心して読むのもいいですが
リアルタイムではらはらしながら、それでも神海先生を信じて読んでいくのも
悪く無いと思いますよ。

Re: No Subject

どーもお初ですー。
水氷さん
コメントありがとうございます。

悪意くんが、最初から登場の決まっていたキャラなのか
それともテコ入れで出てきたキャラなのか。

重要なところですね。
それはきっと、彼が吹奏楽部にやってくる理由とも関わるでしょう。

ただテコ入れだったとして、こんなやつで果たして効果があるのかというのは拭えませんが。
最初から構想の中にあったキャラなら、まだ救いがありますね。読者的に。


中学生トロンボーン奏者の聴川和樹くんですか。
似てるといえば似てる…のか?
演藤さやかちゃんとともにネームドで紹介された1人ですから
どっかで出てくるとは思いますが、…どうでしょう。
髪型違うせいでわかんないですね。

Re: No Subject

コメントありがとうございます。
白牙さん

前作を知ってるとそういう予想にもなっちゃうんですけどねー。

ただそれだとこの作品を読むのに変な色眼鏡をつけてる気分になっちゃうので
ちょっとやだなあというのが正直なところなのです。

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