社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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作者が自らを主人公に投影した素直な作品か… 『おねだりヒーローHEIWA』 翔太

第77回トレジャー新人漫画賞佳作

おねだりヒーローHEIWA 翔太

ここから読めます


古味先生が審査員を務めたトレジャー新人漫画賞の結果発表
この作品も含めて2作品が佳作となりましたが、実は今週のジャンプで読切を掲載した
山本亮平先生も、トレジャー出身の方なんですね

それも、今回と同じく古味先生が審査を務めた回での佳作受賞なのです

少年マンガのど真ん中青春ヒーロー物語! 『SUPER hERO』 山本亮平



…と、今回の受賞作とはあまり関係ない話から始めてしまいましたが
ちゃんとレビューしていきましょう


今作のウリというか、最大の特徴は主人公のある気質ですね

すなわち、「ホメられて伸びるタイプ」ということ


現実でもよくいますが、それをマンガ的に極端にしたのが今作の主人公でした


そして、そんな主人公のタイプを活かすのに選ばれた主人公の役割と言うか行動が
「ヒーロー」というものだったわけですね

そういえば前に古味先生が審査担当した時もヒーローものが受賞してたような

はい、脱線しましたすみません



世界観は近未来でしょうか
犯罪の多発する日常において、子供ながらに何かすごい身体能力を持ってて
立てこもりとか余裕で犯人ぶっ飛ばしちゃうような少年・ダイチ

彼こそが、「ホメられて伸びるタイプ」の主人公になるわけですが
それにしては、彼に感情移入のできる作りにはなっていないですね

講評でも「主人公の好感度の低さ」が触れられていますが
おそらく同様の指摘なのでしょう

わかりやすい性質を持っていながら感情移入を誘わない原因は
おそらく、そのわかりやすい性質について実感を込めた描写がないためではないかと思われます

すなわち、「ホメられることが主人公にとってなぜ快感で気分が良くて、気持ちの乗ることなのか」
ということが、特に説明のないまま話が展開していくために
読者としては作品の一番のウリである主人公の性質について、理屈で理解しただけのまま
読んでいかなくてはならないんですね

作中では、主人公が「ホメられたがる」理由については言及するシーンがありました

しかし、ホメられることで主人公が実際に何を感じ、どんな感情を抱いているのか
それほど明かされないまま敵との戦いが展開してしまうのです

「ホメられたがる理由」はヒーローとしての目標である父親というはっきりしたものが
描かれるのですが、しかしそれは、もう死んでしまってホメてくれない父親という切なさを強調するのみに
なっており、ホメられることによる主人公の快感を実感として描くことはできていないのです

ホメられたら嬉しくてやる気も出てくるというのは大体の人はそうなのでしょうが
だからといって、「ホメられたら伸びるタイプ」というのをさほどの説明もなく理解できるとは
思えないですし、説明があったほうがベターであることは間違いないのです

きっと作者はホメられて伸びるタイプの人なんでしょうね
でもこれからの打ち合わせで担当編集からフルボッコにされてる絵が浮かんでくるんですけど


なぜここまで主人公のこの特性を強調しなければならないか
明確な理由があります


悪役となる連続殺人犯「ウサギ」

彼が、主人公と対になっているキャラだからなのです


「ホメられて伸びるタイプ」の主人公に対して
「そっぽを向かれたら堕ちていくタイプ」の男でした


ホメられたら嬉しくてどんどん調子が上がっていく主人公に対して
人から失望や哀れみの目を向けられることに、期待に応えられずに恥ずかしい気持ちになることに
どうしても耐えられないのが敵役だったのです


この対比、作者はおそらく意図して描いているのだと思うのですが
作中でほとんど触れられません

ダイチと戦っていて劣勢になった敵のウサギが、期待された栄誉を逃して惨めな気持ちになった
過去へのトラウマから逆上して反撃を始める時に、「もうあんな気持ちは嫌だ」と
わずかな回想とモノローグが描かれるのみで


対比のさせ方としては非常に上手いと思ったのですが、作中でそれ以上の描写が特になかったために
ただ対称的になっていただけ、という形で終わっていました

そこに何らかの演出や盛り上げがあったら、また違った印象の作品になっていたでしょうに
ちょっともったいない感を抱いております


とはいえ、「ホメられて伸びるタイプ」という設定は少年マンガにぴったりな発想と思います
講評にもあるように、そうした形で「ひたすらな明るさ」を描けることは
貴重な才能の1つと思いますので、ぜひともそれを活かした作品を描いて欲しいですね


翔太さん
期待しております


 




COMMENT▼

No Subject

作風に鳥山大先生の影響を多大に受けてる印象がありますね。構成力も高いです。
ただ、仰る通りキャラクター全般が印象薄い。誰一人として頭に残りません。
かなりの酷評で作者様には申し訳ないですが、この方は現状、これ以上キャラを掘り下げられない気がします。
キャラ含めて物語が既に出来上がっている印象を受けました。

ただ前述した通り構成力は高いので、キャラメイキング力を伸ばせたなら大いに化けるかと。
低く見積もっても準看板張れるレベルの作品は出せると思います。

Re: No Subject

ホメられて伸びるという設定は非常にありだと思うんですけどねえ。
掘り下げが足りてなかったのがどうにもこうにも。

敵との対比も一発でわかるくらい明らかなのに
そこに全然触れないまま展開していったのももったいない。

もし作者自身がホメられて伸びるタイプとすれば
まずは自分の気持ちを主人公に投影してみるところからやってみれば
多少の掘り下げにならないかなあと思っております。

少年マンガの真っ直ぐさが描けるんですから、
少年の気持ちが描けないはずはないでしょう。
化ける可能性が大いにある人ですね。

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