社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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SOUL CATCHER(S) 神峰はそろそろ次の攻略相手を自分で決めてもいい頃だ

少し前くらいから抱いていた違和感がありました

1人のパートリーダーの攻略が終わって、次に移る時の流れ方です



最初の打樋先輩は、打楽器という入門的な意味も持つ楽器だったこと
トランペットの音羽先輩は、部長でもある奏馬先輩から助けを求められたこと
サックスの歌林先輩は、刻阪とのラブコメ絡みで
ファゴット・バスクラリネットの御器谷先輩は音羽先輩に音楽の基礎知識を習うことを勧められて
クラリネットの邑楽先輩は谺先生が神峰に指揮をさせてみると提案したことに一番反対していたことで
フルートのカスミン先輩は偶然他校の妹と出会ったことで
オーボエの木戸先輩は、退部届を持ってきたことで
現在攻略真っ最中のコントラバス・弦野は、街で偶然出くわして喋ったことをきっかけに

それぞれ神峰の攻略が始まることになりました


こうして見てくると、神峰が自ら「次はこの人(このパート)」と言って決めたのは
最初の打樋先輩の時だけということがわかります

それ以外はすべて、たまたまそういう状況に流された形で特定のパートの攻略が始まっているのです


神海先生の手腕で、その流れ自体は特に不自然でもなく
しっかりとした構成を感じられるように展開しているのですが
そろそろ神峰は自分の意志で次の攻略相手とパートを決めてもいいんじゃないかと思うのです

そのほうが神峰により主体性が感じられるんですよ

偶然が続く今の展開は、まるで都合よく殺人事件に遭遇する探偵みたいに
主人公特権が過ぎるように感じるんですよね

あるいは、RPGとかでダンジョンやボス攻略のための必須アイテムを
手に入れていないと次に進めないような親切設計とか

そんな、「都合の良さ」を読者に感じさせてしまうのではないかという懸念があるのです

逆に言えば、それだけ攻略エピソードと本筋部分とがしっかり構成されていて
上手に繋がれている、ということなのですが

しかし、苦戦はしてもここまですべての攻略を成功させて
自身もまた成長している様子からは、主人公としての都合の良さを感じずにはいられない部分があります

じゃあどうすればいいのかというと

自分で選んだ次の攻略相手で、そしてできれば攻略を失敗することが必要ではないかと思うのです


つまり、これまでの攻略がうまく行きすぎていたんじゃないかと


たとえば現在進行している弦野の攻略

目指す音楽の違いによって合奏が噛み合わないでいるのを、神峰はすでに攻略した協力者たちの力を借りて
弦野に挑んでいます

で、弦野の攻略が始まったきっかけは先に書いたように
街でたまたま出会ってライブハウスに連れられていったことをきっかけにした音楽性の違いの発見でした


この偶然の出来事がもしも、もっと早く起こっていたらどうだったでしょう


邑楽先輩もカスミン先輩も未攻略の時に弦野と出くわしていたら
きっと弦野攻略はうまくいかないでしょう

マンガの展開にもしもを言うのも何ですが、攻略の始まったそもそものきっかけが
いつのタイミングで起こってもいい出来事だったことで、そのタイミングが
攻略に必要な情報や人が揃っている時にやってくることが何だか都合のいいように感じてしまうわけです

殺人事件を解くのがテーマでもあり面白さの1つでもある推理ものならそれでもいいでしょう

しかしこのマンガは、「パートリーダーの攻略」を読むためのマンガではありません
それを面白く読ませているのはあくまで神海先生の手腕であり、攻略が作品のテーマではないのです

それならば、どの攻略も神峰にとって都合のいい時期にエピソードが始まることは
「当たり前」としては受け入れられるものではなく、むしろ主人公特権としてマイナスのイメージを抱かせるものになるのです

それを防ぐには、神峰が自ら次の攻略相手を決めることが必要です

その人の攻略には誰の協力が必要なのか、どんなことを知っていなければならないのかということは
事前にはわからないのが当たり前のことです
それでも手探りで、体当たりで向かっていこうとする神峰の姿は、成功してきたこれまでの攻略で見せてきた真剣な姿と
矛盾することはないでしょう

しかし、それでもうまくいかないことだってあるにはある

情報が足りなかったのか、時期が悪かったのか
きっとその場で原因が特定できるわけもないでしょうが、とにかく失敗することもあっていいと思うのです

それは、人と真剣に向き合おうとする神峰にとって
1度うまくいかなくてもそれでも諦めない、という姿勢と気持ちになるための新たな試練ともなり得るもので

拒絶を恐れて向き合ってこなかった人の心に向き合うことを決意して
ここまではどうにかうまくやってこれた神峰が、その決意の上でまたしても拒絶されることになったなら

それでもめげずに立ち上がろうとするのか
それともすっかり落ち込んでしまうのか

神峰という主人公の描写としては絶対必要な部分ではないでしょうか


そして、失敗したからにはどうにかこうにか立ち上がって再度挑戦することが
主人公的には必須です

そこで改めての攻略挑戦と、今度こそ成功したという時のカタルシスは
これまでのように自然に攻略を果たしてきた時とは比べ物にならないような興奮と盛り上がりがあることでしょう


では神峰はどういう基準で自らの次の攻略相手を決めるのか

その判断は、この吹奏楽部において神峰がどんな方向を目指そうとしているのかを
はっきりと表すことができる指標となります

最初に谺先生からつきつけられた課題は、「パートリーダー全員から認められること」でした
それゆえに、どんな順番であっても最終的には全員と向き合っていく必要はあるのですが
しかし全員を同時に攻略できるわけもないので、どうしても順番が発生します

その順番に、誰を先に持ってくるのか

どのパートを優先するのかというところで、部全体やまたは目指す音楽に対して
神峰がどんな意図や狙いを持っているかが基準として働くことになります

その判断は、周りの部員たちにとっては
「なぜ神峰はあのパート、あの人のところへ行ったのか」という噂と憶測を生むこととなり
神峰の目指している部分について推測させることにも繋がるのです


それに共感する人や反感を持つ人も出てきたりして、ますます神峰をめぐる人間関係図が複雑になっていって

しかしそんな中でも自らの目指す姿のために、人にぶつかっていこうとする神峰を描くことは
「人の心が見える主人公がそれでも人に向き合っていこうとする」様を描くこのマンガの真骨頂とも言えるのではないでしょうか


偶然に任せるのではなく、神峰が次の攻略相手を自ら決める


たったこれだけのことが、作品にとっては大きな大きな意味を持つはずなのです

弦野攻略が終わったら、残るパートはすべて神峰に反発する金管楽器陣営となります
その中でもまずどのパートに向かっていこうとするのか、変な偶然を起こすのではなく
そこにこそ神峰自身の意図が介在した上で決めて欲しいですね


[タグ] SOULCATCHER(S)




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