社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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劇場版『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 見に行ってきましたよ

あの花劇場版1

あの花劇場版2



SQでコミカライズもされてましたねこれ

会社の先輩に誘われて、劇場版見に行ってきました

ティッシュはすでに終わっちゃってたみたいですが
ポストカード?(って言うのか?)はもらえました

ぽっぽでした



以下、ネタバレありの感想です


 

















































もったいないねえな、これ



劇場版にするにはすっごいもったいないというか、贅沢です



基本的な話は、最終回のその後
あれから1年後が描かれていくのですが

回想の形をとってアニメ版のシーンがたくさん挿入されていきます

半分以上がアニメ版の映像そのままといってもいいでしょう


もちろん劇場版としてのストーリーもありますが、総集編にも近いようなこの構成で
劇場版というのはものすごい贅沢ですね

だからといって、じゃあOVAとかでよかったのかと言われると
それはそれで今度は逆に規模がちっちゃい気がするんですけど


ただ、アニメ版のシーンを挿入するにしても
違う構成の仕方もあったんじゃないかと思ったのが正直なところ


というのも、ほんとにアニメ版がそのまま挟まれてくるんですよね


劇場版としての物語は、あれから1年経って、再び集まることにした超平和バスターズの面々が
めんまに向けてそれぞれ手紙を書き、それをお炊き上げとして火にくべることで
成仏して、ひょっとしたら生まれ変わっているかもしれないめんまに届けよう…というもの

彼らが各々の気持ちをペンに込めようとしているところに、その気持ちを分かりやすくするものとして
アニメ版が随時回想で挿入されていきます

しかし、ほんとにそのまま挿入されてしまうことで視点がぶれるという形になってしまっているのです


手紙を書きつつ、あの頃を思い出している人物と、回想で挿入されるアニメ版とで
視点が違うのです
具体的に言うと、アニメ版でその時あった別のキャラのモノローグまで普通に流れてくるので
1人の回想という形をとっているのに、モノローグによって視点がずれてしまっているのです


そういう箇所がいくつかあって、どうにも違和感を覚えざるを得ませんでした
せめて、回想する視点キャラと違う人物のモノローグだけでもカットするわけにはいかなかったんでしょうか



さらにもう1つ

もったいない理由があります


映画としての山場がないことです


一番盛り上げようとしたシーン
この映画で一番描きたかったシーン


それが、この劇場版にはありません



スタッフ達が意図したと思われる一番の盛り上げどころは、回想としてアニメ最終話の
クライマックスが挿入された部分でした

「かくれんぼ」でめんまを探していたじんたんたちが、めんまからの最後の手紙を見つけたあのシーンです

折りたたまれた手紙をつるこが開いた瞬間に流れてくる「secret base」
アニメ版よりも流れるタイミングがわずかに早くなっていたような気がします
その上で音量も大きくなっていました

この演出の違いは、劇場版がこのシーンをすでに知っている人に向けたものだからでしょう

このシーンをまだ見ていない、つまりアニメ版でここを見ている人には
つるこが手紙を開いてからほんのわずかの間があって、曲が流れ始めるのが向いています
なぜならその「間」は、手紙に書かれている内容をつること同時に知るための時間であり
「secret base」は、知った瞬間に沸き起こってくる感情に合わせたものだからです

対して、劇場版ではすでに手紙の内容は知っている前提であり
「つるこがめんまからの手紙を開く」ことそのものが感情の昂ぶりを呼び起こすものとなることから
手紙を開いた瞬間に「secret base」が流れ始めるのです


実際私が一番泣いたのもここだったんですけど、これって劇場版のクライマックスではないんですよね

演出が変わっていることからするとスタッフが盛り上げようとした部分はここなのかなと思うのですが
だとすると、劇場版の山場がアニメ版のクライマックスと同じというのは何だかなあと言う感じもあります


ただし、そのことによって劇場版の物語における起伏をあえて無くしたとも考えられるでしょう

劇場版としての山場があるとした場合、それはまた何か彼らの間に問題が発生したことを意味します
すれ違いや衝突を経たその解決が山場となるからです

しかしそれでは、「超平和バスターズはすっとなかよし」というめんまの願いに反することになります
だからあえて彼らの間に新たな問題を起こすことはせず、従って劇場版の物語には
特に起伏があるわけではなく、結果、一番盛り上げるシーンはアニメ版のクライマックスということになった…


と、考えることもできるのではないでしょうか


そのことは、もう1つの見所としての「めんまの視点」にも感じ取れます

めんまから見た幼少期の回想
これはアニメ版にはないシーンばかりでした


めんまがどんな気持ちで超平和バスターズを思っていたかがよくわかるものとなっています
それは、恋愛感情も多少物語には絡むとはいえ
やっぱり何よりの願いはみんなが「ずっとなかよし」であることだと

高校生になって、恋愛ごとへの関心が益々強くなっているみんなの中で
唯一あの頃から「成長していない」めんま

好きとかお嫁さんとかは知っているけど、それと同じくらいみんな「なかよし」であることも大事
そんな健気な少女の心の内が描かれていました


めんま…ええ子や……






さて、ここからは劇場版というよりこの作品そのものに関する話になりますが

実はこの作品、私は結構見るのを迷っていた作品でした


それは、私のよく知っている物語の紡ぎ方や描き方と、あまりにも異なっているような気がしていたからです

アニメ版が放送されていた当時、色んなところで絶賛するレビューを目にすることがありました
SQではコミカライズもされていました

そのレビューやコミカライズ版を見る度に、「何だこの作品は…」と何だか触れるのに怖くなるほどの感覚に
襲われて、見るのを躊躇っていました


で、今度劇場版を見に行くことになったと言うことで、意を決してアニメ版をすべて見ていったわけですが…


往年の疑問の正体は分かりました

この作品は、徹底的に登場人物の感情に迫るものだったのですね
だから私がよく知る描き方と異なっている気がした


私がよく知っている描き方とは、もちろんジャンプマンガのような作品になるわけですが
それらの作品ではここまで感情に迫る描き方はされません

それは、描き方が浅いのではなく、想定読者の年齢層などを考えた上で
あえて表層部分に止めているのです

その上で、その表層部分に止まりながら、それでもいかに深くまで描けるかを
ジャンプマンガ家達は試行錯誤しているように思います

たまに表層に止まらず本当に奥深くまで行ってしまう作品もあったり
あるいは一部分だけ奥まで踏み込んだことが高評価となったり低評価となったり

それでも基本的には、感情の表層部分にいながらそこでどれだけ深みを持たせた描き方ができるか
そこにマンガ家さん達は苦労していると思うのです

戦う動機が似通ってくるバトルマンガや、好きな気持ちにいつまでも結論を出さないラブコメとか
その典型ですね



しかしこの『あの花』という作品では、そんなことは一切なく
ストレートに全員の心の奥深くまで踏み込んで描こうとします

だから嫌な感じもする時もあれば、等身大に感じる時もある
でもそれは、決して人の醜い部分を描こうとしているわけではなく、
むしろ、それでもだからこそ誠実にあろうとする彼らの姿に惹かれる

そんな描き方になっているのですね





読み慣れたジャンプ的な描き方もいいですが、正面から感情の奥深くまで描こうとする作品も悪くない
そう思わせてくれた作品でした

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