社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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ジャンプLIVE 『LADY COOL』許斐メソッドに見る期待と予想の裏切り方

スマホアプリ「ジャンプLIVE」で絶賛掲載中の『LADY COOL』

許斐メソッドと称して、作中のとある場面で続きをどうして欲しいのか
アンケートが行われ、票の多かった展開が採用されるという新たな作劇法が試されているこの作品



2択の展開のうちどちらが選ばれるか分からない中で話を構成していくのは
なかなか難しそうで、許斐先生の圧倒的センスがあるからこそ成り立っているのかと
思っていたのですが

ちょっと気がついた…というか思ったことがありました



期待を裏切り予想を裏切らない作品は駄作
予想を裏切り期待を裏切らない作品は傑作

と言われることがたまにありますが、
では許斐メソッドによる『LADYCOOL』はどうなんだろうと





例えば第1話の引きとなったアンケート

COOLが少年の依頼を引き受けると言い、「じゃあ行きましょ」と話したところで
選択肢が登場しました

その内容は

・車に乗って出発する





・出発の前にシャワーを浴びる





一度ジャンプ本誌に連載した作品を、主人公を女性にして再び掲載することとしたこの作品

テニプリには腐なファンが多いとはいえ、シャワーという単語に全力で反応して票を入れた
読者も多かったのではないかと思います

もちろん俺も光の速さで反応しました



そして、その票の多寡によって展開が決まる第2話


結果はシャワー票が多くなり、シャワーシーンから2話は始まることとなります

シャアアアァァという効果音とともに描かれるその肢体

あえて顔を描かずに身体のみがコマに現れていたページをワクテカでめくると…




シャワーを浴びていたのは依頼人の少年でした(;^ω^)




ナンテコッタイ



シャワー票を入れた人の多くは、当然女性となったCOOLのシャワーシーンが描かれるものと
思っていたことでしょう


それを許斐先生はわざとのように少年のシャワーシーンとすることで
この作品の面白さを高めたと言えるのです

それも最初は顔を描かずに、読者に誤解させるという徹底ぶり


このことからは、許斐メソッドにおける1つの重要な点を窺うことができます

COOLのシャワーシーンを期待してシャワー票に入れた読者が多いと思われること
つまり、どちらの選択肢を選んだかによってその先に期待する展開を作者が窺い知ることができるのです

その上でその期待を裏切る展開を用意してやると、その作品の面白さが格段にアップする


許斐メソッドの場合

この後の展開をアンケートで聞くという手法によって、選択肢の内容はそのまま読者の予想と置き換わります
そして、その「予想」は同時に、その展開によって「期待」していることも内包しているのであり
作者にとってはそれを裏切ることが可能となるのです


つまり、先の展開をアンケートに委ねることは
読者の予想と期待をほとんど同化させる効果があるのではないかと思うのです


女性となったCOOLではなく、少年のシャワーシーンを描いたことは
つまり「期待も予想も裏切った」ものと言えるでしょう


だからこそ、この作品が異色に見える



COOLによって少年が守られていることを知らず、雇った刺客によって
少年を殺したと思っていた犯人の男が、自分の前に突然現れた少年を見て



・「もはや自分の手で殺すしかない」

と思うのか



・「もはや自首するしかない」


と思うのか


この2択も、本質は同じです

「自分で殺すしかない」展開の場合は、自分の手を汚すわけですから
刺客よりも捻った方法で襲ってこようとするのを、いかにCOOLが躱すかという
知略バトルが期待されるでしょう


対して「自首するしかない」展開の場合は、ある意味そこで話が終わってしまうこととなり
COOLの活躍もカタルシスも何もあったものではありません
それでも票が多ければ必ずその展開となるわけですから、許斐先生がどう話を纏めてくるのか
予想はできず、しかし期待はあったでしょう


そして票の結果は「自首するしかない」でした


その選択肢の通りに、「もはや…自首するしかない」と部屋でうなだれる犯人の男

しかし、ページをめくると見開きで「お前がな」と振り返っているシーンでした


雇った刺客に向かって自分の代わりに自首をしろと命令していたのです


自首するしかないという選択肢には、犯人の男自身が自首するものという予想がありましたが
全くそうではなく、またそれゆえに話が終わってしまうかもしれないがそれはそれで面白そう、という
期待さえも裏切ってくれたわけです

あるいは話を続けるためにどんな展開にするかと期待を持っていた人は
その期待通りだったかもしれませんが…



しかし、読者の予想と期待をどう裏切るかという点において
許斐メソッドは結構重要な要素を含んでいるのではないかと思うのです

それは予想の内容の表面化と、それに伴う期待の顕在化

さすがに実際の誌面上でアンケートによる展開の決定を行うことはできないでしょうが
電子コミックの楽しませ方としては1つの方法となりうるのではないでしょうか


 




COMMENT▼

許斐メソッドの破綻

はじめまして
私はLADYCOOLシーズン2までを大変楽しみました
しかし許斐メソッドがそれほど秀逸なシステムだとは思いませんでした
むしろ
これさえなんとかなれば
もっと面白くなるのに…
残念…
だと思いました
なぜならそれは
コミックスでも言ってる通り
普通のやつと普通じゃないやつ
だったら
普通じゃないやつが選ばれると本人も語っています
なのに作者はシーズン2でも
普通じゃないメソッドを使い続けます
選ばれる
とわかっているのにです
変身する、中国語を話す
豚の尻尾を掴むといった
後半にそれは顕著です
シーズン2の2話目のメソッドのように、どちらも普通じゃないメソッドにはしてません
ようするに作者は
ストーリーをすでに決めていたんでしょう
そしてそのストーリーに沿うように
普通じゃないメソッドを用意し続けたんだと思います
そうしないと困るからでしょう
それはシーズン1でもそうです
ストーリーはすでに決まっていたんですね
だとすればとんだ茶番です
何一つ面白くない
みなさんどう思うでしょうか?

No Subject

私は読んでないのですが、作者がそう仰った上で普通とそうでないのとを用意したのなら、
多分こっちだろうなと予想くらいはしていたと思います。
ただ、普通でないのが選ばれると告知したことで逆に普通を選ばせようと考えたのかも知れません。
だったら普通を選んでやろう!と反骨精神を出す方は多数いると思いますからね。
普通じゃないメソッド「のみ」を出す手もあると思います。もちろんその逆も然りです。
どちらにせよ、どちらが選ばれてもスムーズに描ける様に両方の展開は考えていたと思いますよ。

追伸:私が読まない理由はこのメソッドです。読者参加型の方式そのものは面白いと思いますが、
絶対に馴染めないと思っているからです。

追加

私は昔、TRPGでGMをやってました。
簡単に云うと、世界背景や舞台を用意し参加者に選択させるゲームです。
「モンスターが現れた、どうする?/A:戦う B:逃げる」
「分かれ道がある、どうする?/A:右に行く B:左に行く」
こんな感じです。やってることは甲斐メソッドと同じ。
まあ私の場合は選択肢がなく各々が独自に行動したのを纏め上げる方式を取ってましたが…
その際も、このキャラ(参加者)はこう動くだろうな…と展開を予測していました。
良く裏切られましたけどw

この経験があるから読者側ではなく作者側に意識がいってしまう、それが馴染めない原因だと
今さっき分かりました。気付けたのはゆりさんのお陰です、ありがとうございました。

Re: 許斐メソッドの破綻

コメントありがとうございます。
ゆりさん

確かに、シーズン2では選択肢に多少の違和感を覚えたことはありましたね。
シーズン1の時とは少し違うなというか。

それは、ゆりさんの考えるように、すでに次の展開が決めてあって
それに合うための選択肢を提示しているという考え方もできるものとは思います。

しかし、その考えに対する反論としては自分でもあまり好きではありませんが
その選択肢が多数派になるとは限らないことから、完全にそうとも言えないところは
あるんじゃないかと。

また、この手法自体許斐先生も編集部も探り探りやっているようですから
前と違うことを試してみているんじゃないかと私は思ってたりします。

シーズン1での選択肢を見ていてこの記事を書くに至りましたが
私はシーズン1での選択肢にはゆりさんほどの違和感はありませんでした。

ただシーズン2ではゆりさんと同様の感覚はありました。
しかしそれも、実験の1つかなと思うことでそれほど気にならなかったというのが正直なところです。

そもそも、提示する2つの選択肢を考える時点で
それぞれが選ばれた場合の構想が何となくあるのはおかしくないことですし、
全く先が浮かんでこない選択肢を提示しようとすることは、
「現時点では」まだ躊躇われるのかもしれません。

ですので、私はまだもう少し、この手法を追いかけてみてもいいんじゃないかと思っております。
とりあえずはシーズン2がコミックスとなった中で、許斐先生が何を語るかが興味深いですね。

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