社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

06<< 12345678910111213141516171819202122232425262728293031 >>08

鬼滅の刃43話感想 2017年週刊少年ジャンプ4・5合併号感想その1

2017年週刊少年ジャンプ4・5合併号感想その1

アンケ1位の感想が何か長くなってしまったので、その1はそれだけ更新で


鬼滅の刃

何というか…
血風剣戟冒険譚とか少年たちのワクワクを煽るかのようなカテゴリを謳っておいて、
こんなにもウエットでこんなにも情緒的な気持ちにさせてくれるとか、どんだけ珍しい物語でしょうか

トレジャーの受賞作からはとにかく「異質の才能」ばかりを感じさせられた吾峠先生ですけど、
それがこんな形に仕上げられてくるなんて思いもしませんでしたよ


累の回想が始まるというところでの引きとなった前回
別にそんなには興味ないかなーと思ったりもしたんですが、実際読んでみたらなかなかどうして

虐殺の限りを尽くしてきたのだろう十二鬼月の1人にも、鬼になるまでの人生と感情があったのだということを確かに感じさせてくれる内容でした

病弱だったゆえに(?)鬼舞辻に気に入られて鬼となり、家族を殺して生まれ変わった累
しかし奥底には自責と後悔が渦巻いていたのだと

本当に欲しかったものは鬼に変わった瞬間に自らの手で失った
他人を無理矢理連れてきたところで単なる紛い物以上になることはなく、いつまでも満たされないままの感情がいつも苛々を誘って

そんな累の本音に炭治郎は気づく

禰豆子ちゃんを痛めつけた相手であるのにもかかわらず、大きな大きな悲しみの匂いを感じ取った炭治郎は
その亡骸に手を寄せる

その温かさこそ累が欲しかったもの

その温もりこそが足りなかったもの

今際の幻の中で再会した両親の姿と、鬼に変わる前の子供らしい姿

自責と後悔を抱いたままではありながら、それでも両親の幻は地獄であっても一緒にいてくれるという愛情

ごめんなさいを連呼する累と両親が炎の中に消えていったのは、3人で地獄までともに行くことができたことの暗示なのでしょうか


斬られて灰となって消えた累の亡骸を見つめる炭治郎
義勇がそれを許さなかったのは、そうした甘さが先々命取りになることを知っているからでしょう

鬼殺隊最高戦力である柱の1人として炭治郎よりも遥かに多くの鬼と向き合ってきただろう義勇が
累のように奥底には悲しみを持っていた鬼と一度も出会わなかったはずはありません

人を食らうことに快楽を覚えて、ただ暴力と悦楽のままに人を襲う奴もいたでしょう
一方で、炭治郎が一度はブチ切れながらも最後には赦した母親鬼のように、あるいは累のように自責と後悔を抱えていた奴とも
何人も出会ってきたことでしょう

そして、悪鬼滅殺の名のもとにそれら全てを斬り伏せながらも、鬼を倒したことを喜ぶばかりではなかったことでしょう

身体が消えて空っぽになった累の服を踏みつけながら炭治郎に説教した義勇は、おそらく炭治郎の気持ちに分かる部分があったはずです
でなければ、累のモノローグの中で義勇が描かれるコマがあるはずがない

首を斬られて瀕死となった身体が最後の力を振り絞って歩いて行く後ろ姿を見つめていた表情は、
今しがた斬った鬼を外道や畜生だと侮蔑するようなそれではありませんでした

だとすれば、義勇の説教は本心からのそれではなく、むしろ若き隊士がこの先取り返しがつかないことにならないようにとの気持ちから出たおせっかいに近いものだったと考えられるでしょう

おそらくは、かつての自分と同じ轍を踏まないようにするために

累の服の上に乗ったのは、単に炭治郎に説教するため
本当に鬼を外道扱いして軽蔑しているのなら、ただその服を踏むだけでなく炭治郎の手から強引に離して、足蹴にしたままその辺に放り出してもよかったはずです
でも義勇はそこまではしなかった

静かに上に乗っただけで、それ以上のことはしませんでした
その行動には、あえて非情であろうとする意図が感じられます


しかし、炭治郎はそれに反発しました


鬼という存在をひとくくりに化物扱いしないこれまでの姿勢と変わらない考え方です

鬼は自分と同じ人間だったのだ
鬼は悲しい生き物なのだ

あるいは自分と同じ考え方をぶつけてきた若い隊士の真剣な表情を前に、次の言葉を選んでいるかのような義勇

しかしそこでその若い隊士が、かつて自分が見逃した鬼とその家族であることに気づく


「俺が来るまでよく堪えた」と言ってた時にはもう炭治郎に気がついていたかなとも思っていましたが、
どうやら今気づいたようです

つまりあの時は、十二鬼月を相手にギリギリまで踏ん張っていた単なる後輩/新人に対する労いだったんですね
やだ義勇さん優しい…


さあそうすると義勇の言葉はまた違った表現を選ぶことになるでしょう

それはそのまましのぶちゃんとの考え方の違いにも繋がるはず


十二鬼月は既に始末されているとしても、まだ禰豆子ちゃんという鬼が残っていることを見抜いたのか、
正面から問答無用で斬りかかってきたしのぶちゃん

その彼女の一閃から炭治郎と禰豆子ちゃんを守った義勇

体勢を低くして2人を庇う姿勢の何と優しいことでしょうか…


ここでしのぶちゃんが攻撃とともに現れてくるとは予想外でした

鬼と仲良くできたらいいのに、と口にしていた彼女ですが
しかしいきなり斬りかかれるくらいには鬼に対する敵意があるようです

殺した人数に応じて贖罪の拷問をしようというのも、彼女の中にある鬼への敵意がそうさせるのでしょうか


しのぶちゃんの言葉に対して「無理な話だ」と応じていた義勇は、しかし彼女の剣から禰豆子ちゃんを守りました

仲良くしたいと言うしのぶちゃんが禰豆子ちゃんに斬りかかり、「無理な話だ」と言う義勇が禰豆子ちゃんを守ろうとする

言動が矛盾しているかのような2人ですが、もちろんそれは一見そう思えると言うだけなのでしょう
だからこそ、誰かと分かり合うのは難しいことであるし、分かり合えることの貴重さと喜びがある

「人と人もまた理解り合えず―」とのアオリが実にいい仕事をしています


次回のポイントは、禰豆子ちゃんがまだ誰も殺していないことを、理性をどこか残しているよな素振りで炭治郎を慕っていることを、
どうやってしのぶちゃんに理解ってもらうか、ですね

満身創痍の炭治郎が地べたから叫ぶだけではきっと伝わらないでしょう
炭治郎を思い出してくれた義勇が冷静に告げることで、少しは説得力を持つでしょう

それでも全部は信じてくれないなら、おそらくは元柱の鱗滝さんまで担ぎ出す必要があったりして

それでようやく信じてくれたしのぶちゃんが、禰豆子ちゃんと本当に仲良くなったりした日には、いよいよ面白さが加熱していくことでしょう



さて、さらに累の回想に対して伏線的なものを読み取るとするなら以下の幾つかが挙げられるでしょうか

まず、鬼舞辻には鬼にする者を選ぶ基準がありそう?ということです

炭治郎と出くわした時にその辺の人を鬼に変えて混乱に乗じて逃げたように、誰かを鬼に変えることは別に何とも思っていないようですが
それでも、選ぶ時は選んでいるような感じがあります

累を鬼にした時、鬼舞辻は累の家族を殺してはいませんでした

炭治郎の家族を狙った時には禰豆子ちゃんを鬼にしつつその他は殺していましたね

累の時は別に空腹ではなかっただけかもしれませんが、病弱という累をあえて選んで鬼にしたこと、また禰豆子ちゃんだけを鬼にしていること、
そうしたところからは、鬼舞辻が誰かを鬼にしようとする時に何らかの基準が存在していることを窺わせるように思えます

基準というと大げさで、あるいは単に何となく気に入った奴を鬼に変えて自分の配下にしようとしているだけかもしれませんが


それから、回想に登場した鬼舞辻、格好が鬼殺隊っぽいですね
羽織を着て、下半身の大きなズボンも足首にかけて包帯で細く締めているのも足袋を履いているのも

これで腰に刀してたら完全に鬼殺隊です

すぐ後に累の服の上に乗る義勇の全身が描かれてますが、それと比べると服装の類似がよくわかりますね

鬼殺隊のトップが露骨に顔を隠されている伏線もありますから、それを合わせると、鬼舞辻と鬼殺隊には
何やらただならぬ関係があると考えることもできそうです

食人鬼とそれを討つ人間の部隊という単純な構図ではない何かがあるかもしれません


もう1つ、鬼舞辻が累を気に入っていたのは病弱繋がりってことなのかなってことですね

累を選んだ基準はおそらく病弱だったからなのでしょう

炭治郎と出くわした直後、モブチンピラの「今にも死にそうな顔しやがって」との言葉に鬼舞辻は過剰な反応を見せていました

病弱に見えるか?今にも死にそうに見えるか?と、何かちょっと地雷を踏んだかのような様子だった鬼舞辻
最初の鬼が病弱だったのだとしたら、鬼舞辻さえも元は人間だった可能性も出てくるでしょうか

それは当然、鬼という生き物のルーツにも関わってくることになります

そのルーツは、鬼を人間に戻す珠代さんの研究とも関係することになるでしょう
禰豆子ちゃんが元に戻れるかどうかという重大なところを左右するものになるわけです


読み取れる伏線としてはこんなところでしょうか

次回は最高戦力同士の戦闘を少しと、鬼を連れてる鬼殺隊士という炭治郎が最高戦力2人に認識される回になるかな?


 




COMMENT▼

コンビニで泣きそうになった、男・杉田

累の過去自体も悲しみを誘ってズルいんだけど、消えるときの両親に抱えられる
シーンとか、その累の心に気付き慈しむ炭次郎とか、累が消えたあとの義勇と炭次郎のやり取りとか、悲しみを滲ませる演出の連続にもう……もうズルい
最後の忍さんの攻撃は義勇さんの心への牽制の可能性もあったりするのかなと何となく思ったり
義勇も心中は実は炭次郎と近い心境だったのだけれど、自分はその感情を消しては鬼を斬り、柱まで登りつめた
しかし入隊当時から義勇と親しく彼の事をよく知ってる彼女(?)は、自分の腹の内を語らぬ彼に腹を立てたとか
いや、鬼を斬るのが鬼殺隊の仕事だから単純に切りかかったという可能性もありますけど、それだと忍さんの鬼と仲良くの思想に違える気がするし……うーん

まあ、いきなり倒れている相手に斬りかかる時点で忍さんがサイコであることは揺るぎないんだけどね

致命的なタイトルミスについて

杉田というのは私が声優杉田智和さんをリスペクトし過ぎての別サイトでの苗字である
男・バンバの勢いで描いてて気持ちの良い苗字を書いてしまった始末
なお私のリアルネームとは一文字もあっていない(笑)

No Subject

感動でしたね。吾峠先生は「異才」から「鬼才」へと化けたと思われます。

忍は恐らく「鬼=人を殺してる」を前提としているのではないでしょうか?
その贖罪を経て、初めて仲良くできるのだと。禰豆子は人を殺していないと分かれば
あっさり刃を引っ込める気がします。問題はどう伝えるかですけど…

無惨は鬼になる前は病弱だったんでしょう。それが嫌で、想いが募って鬼へと変貌した。
だから病弱な者に親近感を抱き「自分を病弱者扱いする輩を嫌悪する」のだと思います。

No Subject

いやもうホント、吾峠先生流石っすわw



で、言葉尻を捕らえるようで恐縮ですが。

>鬼舞辻も元人間の可能性
鱗瀧さんが説明してましたよね。
1000年前に鬼になった最初の人間って。
それは覚えてませんかw
覚えてらっしゃるなら良いですがw

>回想の服装
足に関しては、多分当時の動きやすい服装としては普通の恰好じゃないかなぁと思いますよ。
脚絆?いや詳しくは分かりませんが。
羽織も多分、普通に着ているだけかと。

Re: コンビニで泣きそうになった、男・杉田

皆様、コメントありがとうございます。
杉田っぷるさんもお疲れ様です(何が)

>義勇としのぶちゃん
諸々の感情が交錯しているんだろうと想像できますよね。

義勇さんは本音では炭治郎と同じことを思いながら、何かの事情によってそれを貫けなかった。
その事情を知っているのかどうかはわかりませんが、しのぶちゃんはそんな義勇さんに思うところがある。

今回の急襲は、おそらく禰豆子ちゃんに対する攻撃なのだろうと思いますが、ラグエルさんの推測通り、鬼とは基本的に1人以上の人間を喰っているというのを前提にしているのでしょう。だからとりあえず攻撃して弱らせて捕らえて、「償い」をさせることで仲良くなりたいと思っている、と。

そうだとすれば、鬼でありながら食人がいまだゼロである禰豆子ちゃんはしのぶちゃんにとって貴重な友達候補ですね。なぜ鬼と仲良くしたいと思っているか、にもよるかもしれませんが。

>鬼舞辻
えーとですね。妄想屋さんご指摘の部分につきましては、完全に忘れておりました。
そういや鱗滝さんがそんなこと言ってましたね。完璧に記憶の彼方でした…

服装については、さすがに深読みだったでしょうか。大正時代当時の一般的服装とか知らないしなあ(;^ω^)

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

TRACKBACK▼

http://sclpsn.blog.fc2.com/tb.php/1304-3dc6bf2c

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | ホーム | 

カレンダー+最終更新日

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

新着記事+関連エントリー

人気&オススメ記事1

タグクラウドとサーチ

プロフィール

rexel

Author:rexel
ジャンプ歴21年。ジャンプ最新号を読んでる時は、ゾーンに入ってると思う。

今一番の推しは鬼滅の刃。次いでワートリ。

ジャンプヒロインズは俺の心のオアシスです。
中でも小野寺さん照橋さんを応援しています。



ついったー。

RSS リーダー

月別記事アーカイブ

マンガ・アニメ系サイトリンク集

以下のリンクから他にもマンガやアニメについて記事のあるサイトをご覧頂けます。

○ブログランキング集

FC2Blog Ranking

にほんブログ村 漫画ブログ 週刊少年ジャンプへ

○姉妹サイト
ジャンプマンガの描き方教えます
○アンテナサイト
ジャンプ感想サイト更新チェック

○マンガが読めるサイト
ジャンプトレジャー新人漫画賞受賞作品一覧
絶版マンガ図書館

○マンガ・アニメ感想考察系サイト
(更新停止)
たらさいと
アスまんが
アニメな日々、漫画な月日
ゆめかたつの曲解的漫画考
つながりこそがせかいをつくる
現実逃避
 ┗サイト紹介
あまぐりころころ
働いて飯を食いジャンプを読む、ついでに漫画やアニメも見る

○毎週ジャンプ感想を読ませてもらっているサイト
決闘王F.Kのブログ
君と僕の歌う詩
楽しければよかろうのブログ
北区の帰宅部
 ┗サイト紹介

○マンガ作者サイト
内水庵
おさむ日誌(休止中)

最新画像一覧

カウンター