社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

06<< 12345678910111213141516171819202122232425262728293031 >>08

ニセコイの孕む「ラブコメマンガ」としての限界

今週号でとうとうニセコイが最終回
来週からは新連載マジコイが始まるそうです












という冗談はどうでもいいとして




1周年を記念するわけでもないですが
最近のニセコイを見ていて、連載開始当初に思っていたことも合わせて
ちょっくら考察してみたいなと思ったのですよ



ジャンプネクスト2011年冬号に掲載された読切り「ニセコイ」の完成度は
それはそれは高いものでした

それぞれがギャングとマフィアの子供であることは同じながら
決定的に違っていたのは、楽と千棘が旧知だったこと

つまり幼馴染だったのですね

だからって仲が良いかといえばそうでもないけど
普通の友人よりは互いのことを知っている…という間柄


そんな関係だからこそ、「恋人同士を演じる」という設定が光っていたのです

互いの2代目同士がラブラブなので、組織同士の抗争禁止というこの発想

2人に有無を言わさず「恋人っぽいこと」をさせるのに絶妙な流れでした

そしてそれこそが、ラブコメにおいて一番面白いところであるわけです
すなわち、「異性を意識し合うことで、ときめいたり照れたりはにかんだり」という展開

クラスメイトとか先輩後輩とか単純な関係ではなく
幼馴染という間柄の2人にそれをさせることで、「異性を意識し合う」ことの意外性と驚きが
一層大きなものとなって、余計にときめきやはにかみを生むことになっていたのです

ラブコメにおける幼馴染という要素は、それゆえに重要なものなのですが
「ニセコイ」では連載にあたってその要素がほとんど完全にないものとされてしまいました

楽と千棘は初対面同然で、しかも第一印象最悪という
これもまたラブコメにおける出会いの王道ではあるのですが
ニセコイに限って言えばそれは悪手だったように思えてなりません

なぜなら、「恋人のフリをする」ことで生まれるときめきやはにかみが
幼馴染の時に比べてどうしても薄くなってしまうからです

ほとんど知らない相手と
昔からよく知ってる幼友達

「付き合ってるフリをする」時にどっちがより恥ずかしいかは想像すれば分かるとおりです


それでも、このことだけの設定変更ならまだ何とかなる範囲でした
連載化によって付加されたまた別の設定が、さらにこの作品を良くない方向へと
向かわせることになっている気がするのです


それが「約束の女の子」の設定と、さらにもう一つ、小野寺さんと楽の実は両思い設定です


どちらの設定も、ニセの恋人を演じることとはほとんど無関係で
どちらの設定も、作中で明らかになればそこで話が終わってしまう危険を孕んだものです
そして、この手の設定は、それを匂わせる流れを持ってくることでしか活かせないのです
それをキャラとして体現したのが小野寺さんでした

それゆえに、小野寺さんで意味深な引きを描いては次回で何とか避けてオチを付けるという展開が
繰り返されることになります

しかし、ここで重要なのが小野寺さんにまつわる設定は
どちらもニセの恋人を演じるというこのマンガの根幹とは関係が薄いと言うことです

つまり、単純にそれらしいことを匂わせておいて次回でボールが飛んできたりとか
電話が鳴ったりして雰囲気を壊すor会話の邪魔をするということを繰り返すことは
ニセの恋人を演じることで起こるラブコメとは関係のないもので
言ってみれば、全く別のラブコメが展開されているようなものなのです

それではこのマンガで話を展開させる理由もなければ
読者が読みたいと思う理由もありません

そのためにどうにかこの作品としての展開で解決させようとすると
ニセの恋人である千棘を理由にするしかなかったのです

逆に、千棘と楽がよさげな雰囲気になったりイベントが起こったりしそうな時に
小野寺さんが理由となってそれがうやむやになってしまうということは
ありえません

なぜなら、ニセの恋人を演じている相手に本当にドキドキしてしまったという流れは
このマンガだから描くことの出来るラブコメであり
それこそがこのマンガのウリであるからです

しかしそのウリさえも、幼馴染設定が消えてしまったことで
幾分か薄くなってしまってもいます


ここに、「ニセコイ」の限界があるのです


ニセの恋人を演じるという発想と設定
それに二大ヒロインの片方のみが中心的に関わり
もう片方は事情を知っているだけで特に関係はしないという極端さ

あるいは二大ヒロインをそれぞれ対極的なポジションにしたかったのかも知れませんが
あまりに立ち位置が離れすぎていました

一方のヒロインからもう一方のフラグへの干渉はできてもその逆が不可能
一番ラブコメしているヒロインとは初対面同然に出会って
恋人演技もいがみ合ってばかりで、あるのは知り合いと演技を続けることの照れではなく
やらなきゃヤバイことになるという義務感

そこには、少しでも相手の照れる表情が見たくて恋人の演技に入りこむというような
積極的な意図はありません


そんなニセコイ

どうにかこうにか1年続いて
とうとうようやくメインヒロインの1人千棘が恋心を自覚しました



これで恋人の演技にどんな変化が起きるのか
ひとまずそこを期待して、今回の記事を終えたいと思います







COMMENT▼

要約すると、

幼馴染⇨偽の恋人(ときめき・はにかみ)
赤の他人⇨偽の恋人(義務感)

ということでしょうか?

確かに、その設定が枷になってる感じはしますよね。友情が恋愛に発展して行く方が、深い関係になりますし

あと楽と小野寺さんの両想い設定は関係を深めると不可逆的に進んでいくしかないので、非常に厄介ですね。何か妙案はないものでしょうか?

古味先生は、おそらく打ち切りのトラウマで、打ち切り対策(上手く話をまとめる)はしたものの、長期連載した時の設定処理方法を考えてなかったのだと思います

長期連載の場合、小野寺さんの設定は枷になります。何度も関係の進展に水をささなければ終わってしまいます
しかし、メインヒロイン(一応)かつ人気No.1(多分)の小野寺さんを使わないわけにもいかず、本当に何回も水をさしています。

一方、古味先生は、1年かけて千棘に恋心を持たせました。マジコイ前の展開は避難の嵐でしたが、恋したことへの批判はなかったと思います。長い準備期間を経て、丁寧にその過程を描くことで、違和感をなくすことができました

これにより、楽と千棘は
公証:恋人
楽・千棘の合意:偽の恋人
千棘(内心):片想い
となります

偽の恋人⇨恋人
となるのは、友人に似た関係から恋人になるわけですから、ときめきやはにかみもあるでしょう(最近そうなってる?)

今後の展開が楽しみですね

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。

要約いただいた通りですね。
読切りを面白いと思ったので、始まった連載で幼なじみ設定が消えていた時には
なかなかにがっかりさせられました。

単に幼なじみと付き合うことを目指したドタバタであれば
よくあるラブコメと変わりないのですが、そこに「恋人のフリをする」という要素が入った読切りは
お互いにお互いの違う一面に気づいてドキドキする展開が非常に自然に描けていました。

ようやく恋心を自覚したことで、千棘の可愛さが上がっては来ましたが
そうなればなるほどに小野寺さんの霊圧が薄くなってしまうことが心配でなりません。

恋を認めた千棘が可愛くなっているのも、幼なじみ設定と同様の理由にあるため
やはり小野寺さんが関係しないのです。


小野寺さんどうやったら救われるのかなあ…

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

TRACKBACK▼

http://sclpsn.blog.fc2.com/tb.php/130-168b8918

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | ホーム | 

カレンダー+最終更新日

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

新着記事+関連エントリー

人気&オススメ記事1

タグクラウドとサーチ

プロフィール

rexel

Author:rexel
ジャンプ歴21年。ジャンプ最新号を読んでる時は、ゾーンに入ってると思う。

今一番の推しは鬼滅の刃。次いでワートリ。

ジャンプヒロインズは俺の心のオアシスです。
中でも小野寺さん照橋さんを応援しています。



ついったー。

RSS リーダー

月別記事アーカイブ

マンガ・アニメ系サイトリンク集

以下のリンクから他にもマンガやアニメについて記事のあるサイトをご覧頂けます。

○ブログランキング集

FC2Blog Ranking

にほんブログ村 漫画ブログ 週刊少年ジャンプへ

○姉妹サイト
ジャンプマンガの描き方教えます
○アンテナサイト
ジャンプ感想サイト更新チェック

○マンガが読めるサイト
ジャンプトレジャー新人漫画賞受賞作品一覧
絶版マンガ図書館

○マンガ・アニメ感想考察系サイト
(更新停止)
たらさいと
アスまんが
アニメな日々、漫画な月日
ゆめかたつの曲解的漫画考
つながりこそがせかいをつくる
現実逃避
 ┗サイト紹介
あまぐりころころ
働いて飯を食いジャンプを読む、ついでに漫画やアニメも見る

○毎週ジャンプ感想を読ませてもらっているサイト
決闘王F.Kのブログ
君と僕の歌う詩
楽しければよかろうのブログ
北区の帰宅部
 ┗サイト紹介

○マンガ作者サイト
内水庵
おさむ日誌(休止中)

最新画像一覧

カウンター