その2までも単独感想という初パターン
全然時間が取れないのである…
食戟のソーマ
話が大きく動く予感を見せた先週に比べて、今回はその流れを受けた繋ぎ的な内容でしたね
おかげで感想としても先週に比べたらかなり書くことが少なくなりそうなんですが…
まあ1個ずつ見ていきましょうか
導入として描かれたのは城一郎の「ヤボ用」の中身でした
選抜の予選前に極星寮にやって来た時に「ヤボ用があってな」と言ってたのは
仙左衛門に会うためだったわけですね
何しに会いに行ったかといえば、薊が怪しい動きを見せ始めたのを直接伝えるため
薙切家を追放された男であると同時に、城一郎にとってはかつての自分を崇拝する信者のような奴であるはずですが
城一郎から見ても危険因子として認識されているんですね
で、「ほほう」と思ったのはその次でした
城一郎にしても仙左衛門にしても、薊という男自体を再起不能にしたいとかそんなことを思っているわけではなく
えりな様にある薊の呪縛を解放したいと思っていること
例えば、学園総帥に居座って着々と自分の庭建設を進める薊に対して
その思想の根本となっている城一郎が出張ってきてその価値観を完全否定でもしてやれば
大きな打撃を与えることは可能でしょう
しかしそれでは解決方法としてはあまり意味が無い
なぜならえりな様に存在する呪縛は未だそのままであるのだから
えりな様がいまだ無意識化で囚われている薊の呪縛を真に解放することができるのは
創真を中心とした同世代たちである、と
作中で主人公をも凌ぐ最強キャラであり、因縁にもどうやら深い関わりがあるらしい城一郎が
学園の「革命」に際して特に動こうとしていないことの理由として、とっても上手いと思いました
剣心が志々雄に挑む時に「比古清十郎が行ったほうが余裕で勝てるんじゃね?」とか思いつつ
でもそれだと物語にならないからなあ、とメタ的な事情を察したりして
城一郎もそういう類の事情で出てこないんだろうなあなんて思っていたので
直接的に関わってこないことの確かな理由が説明されたのは見事だと思いました
緋沙子ちゃんサイドはといえば、創真の部屋以外をくまなく探して見当たらないえりな様に
すっかり「薊にやられた」と思い込んで大騒ぎしておりました
田所さんが普通に「創真くんの部屋にいるみたいだけど…」とあっさり気づいていたのはさすがですね
ていうかそのパイプ?はどうやって音を拾っているんだw
前から思っていましたけどプライバシー無いな!
どやどやわらわらと、みんなでその声に聞き入って
創真がえりな様にどんな品を出すのかというのは寮生みんなが大注目することになってしまいました
声の雰囲気だけでゲテモノ料理に挑む顔を察する仲間たちはさすがの絆である
えりな様の絶命まで想像するとかかなりキてますけど
主人公が作った料理食べてヒロイン絶命とかどんな話だよw
そして一番の被害者なのに一番純粋に創真を信じてる田所さん…
なんというマリア
ヒロインの鑑ですね
ただ今週一番の注目ポイントは、今から創真が料理を作るとなった途端に何となく元気になったえりな様でしょうね
これにはもちろん2つの側面があって
1つは、単純な期待の気持ちです
あの人の息子という男が、その技術を仕込まれまくった男が今から一品作ってくれるという
城一郎の料理に大いなる憧れを抱いているからこそ、そこに幾分かの期待が伴ってしまうことは
無理からぬことですね
ただしもう1つの側面として、同時に諦観の感情もえりな様には存在しています
自分がこれほどまでに心酔している城一郎の料理
息子とはいえ、それをたやすく再現できるはずなどない、と
同時に、これまでを振り返れば創真の作ってきた料理自体は
自分が城一郎を思い出すことが欠片もなかったほどに「創真の料理」でした
ならば、城一郎の息子であるという理由だけで期待だけを抱けるはずもなく
また、自分が今抱えている葛藤と迷いを晴らしてくれるほどの品になるはずはない、と
創真が感じていたように、先週のしおらしさに比べて今週元気になったように見えるのは
創真が一品作ってくれるということに対しての期待が半分…いや3割位?と
残りはこれまでと同様に創真を否定する態度をとれることによる回帰的心情によるものですね
上から目線でとりあえず否定できることがあれば、それを指摘してやることで
何となく元気を取り戻したように見えているわけです
もちろん、その上から目線の前提が揺らいだからこそ迷いが生じているわけで
それでも揺らいだ前提を当てにして上から目線を続けようとすることは、言ってしまえば単なる逃げにあたるんですけども
「天丼…ねえ」って言ってる時のえりな様の表情どうですか
超冷酷な顔になってるんですけど
どう見ても悩み相談に来た人の顔じゃないよ!
下からの構図と冷たい瞳によって、えりな様がものすごく上から目線になっていることが描かれていますね
ただし、今週のラストのコマでは同じ下からの構図をとりつつも
出来上がってきた実際の品を前にして少し期待の方も膨らんできた表情が描かれています
同じ構図で描くことで、表情の違いをわかりやすく演出したんですね
これは上手い
出来上がったのはどんな天丼だろうかというのは気になるところですが
きっと卵も使ってるんでしょうね
そもそも天丼ということ自体が、もうあの編入試験を意識しまくってるように思えるんですよ
ふりかけご飯も天丼も、どちらもお米を土台として成り立つ料理です
それでいてふりかけご飯よりも手間と技術が必要な天丼は、すなわちあの時の品の上位互換と言えないでしょうか
だとしたら、あの時のお題だった卵もたぶん使ってる
その上で、あの時はなかった工夫、あるいはあの時以来修得した技術が盛り込まれているはずです
四宮の店で見出そうとした「新たなるゆきひらの料理」
今回の天丼にもその考え方が活かされているのかどうか
レシピというか、品自体はたぶん「ゆきひら」で実際にお客に出していたものなんでしょうけども
そこに、「今の創真なりの工夫や挑戦」が込められているのかどうか、ですね
それがあるのかどうか、あった場合でもなかった場合でもえりな様がどう評するのかによって
2人の今後の関係は大きく変化することになるでしょう
料理を「やりたい」ではなく、いつのまにか「しなければならない」になっていたえりな様
神の舌のために生まれた呪いのような今の葛藤を、創真の品はどうしてくれるのか
次回も見逃せませんな
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食戟のソーマ
「伝声管」といいます。簡単に言うと糸電話ならぬ金管電話。
細い金属管の内部では音波は拡散しにくい特性があり、それを用いた艦内通信機を指します。
電子通信機が発達する前、小型船から大型船に至るまで果ては屋敷に設置されることもありました。
ですが、今週のこの使い方はリアルで考えるとおかしいです。
伝声管はその性質上「管の口元で」音声を流す必要があります。
昨今の電話で説明すると、通話者の周囲で聞こえる雑音程度にしか音を拾えません。
まあ漫画なのでそんな細かいことは実はどうでもいいんですけどもw
今回出される料理は「ゆきひらのメニューに微細な工夫を凝らした」一品…
即ち「城一郎の品に創真の工夫を加味した」親子の合作でしょう。
来週が楽しみです!
・今週のマイサーモン
「噂をすればカス虫」