社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

04<< 12345678910111213141516171819202122232425262728293031 >>06

ジャンプNEXT2015年Vol.4感想

ジャンプNEXT2015年Vol.4感想

今年のじゃないよ
去年のだよ



 





アンケ順
箱の中の青
GAIA KEEPER
不幸のトーノ
JAPAN'S



最も主人公や登場人物が魅力的だった作品:箱の中の青
最も絵が好きだった作品:鈴機鉄郎
最もストーリーが面白かった作品:GAIA KEEPER
「週刊少年ジャンプ」で連載で読んでみたい作品:GAIA KEEPER
もう一度読切りで読んでみたい作品:スパイ系女子
同じ漫画家の違う作品を読んでみたいと思った作品:GET YOU BACK!
読みやすかった作品:GAIA KEEPER、今日からMON HIGH、GET YOU BACK!、不幸のトーノ、JAPAN'S、鈴機鉄郎、スパイ系女子、箱の中の青
読みにくかった作品:なし
読まなかった作品:対リア充兵器 最北端翔
絵が古いと思った作品:モノノケハイブラッド



箱の中の青 木下敬次

トレジャー出身の木下先生がNEXTに発表する2作目ですね
ちなみに受賞作はこちらです
リアル系劇画で魅せられるドラマティックな日常… 『2学期のミラージュ』 木下敬次


全体的に低調だった今号の中で、1位はこれにしました

理由は、非常に読みやすかったことがまず1つ
それから、読後感も非常に良かったことがもう1つですね

ホラーミステリのジャンルに属するだろうこの作品

しかし一般的なホラーやミステリと聞いて想像する「おどろおどろしさ」が、本作からはあまり感じられなかったんですよね

もちろんホラーの要素としての幽霊みたいなキャラは出てきますし、ヒロインが正体不明の輩に襲われて命の危機を感じる場面もありますが
それらは一応ジャンルを成立させるための要素として在るだけで、実際に作品の中核を成しているのは、
メインキャラ2人が互いを思いやる温かさにありました

女子高生のヒロインが今週電話ボックスで出会った幽霊?のような少年アオ
幽霊なんて存在しないと言いつつ、電話ボックスから外には出られない地縛霊?のような存在で
「電話を乗っ取る」という能力を持つ超常的なキャラでした

そんな力を持っていながらも「幽霊なんて居ませんよ」と断固否定するアオくん
驚き震えながらも「いや居ないも何も君がそうでしょ」という気持ちが拭えないヒロインでしたが、
アオくんが特に害意のない相手とわかるとすっかり打ち解けて、買ったばかりのジャンプを電話ボックス内に置いてくくらいに
気を許していました

そうした経緯を前提としての、あの電話の場面ですよね

都市伝説として語られる「アイカワサツキの呪い」
勝手に携帯に名前が登録されていて、気づけばそいつからのメッセージが次々に送られてくるという
よくあるような噂話が実際にヒロインの携帯に起こりました

今どこにいるの
今どこにいるの
今どこにいるの

と、連続で入ってくるメッセージ

何でいないの

と、教室の画像が送られてきて仰け反ったところに非通知の着信が鳴る

流れるように見事な恐怖感演出でしたが、その着信の相手は実はアオくんだったというオチが
それまでの恐怖演出を振り幅として安心感を際立たせる効果を生んでいました

そりゃあヒロインも泣くよね、と

恐る恐る着信に出てみたヒロインが、相手がアオくんだとわかった途端に安心するあの3コマ
表情の変化の流れを描くものとしてとても上手に描かれていたと思います

その前の非通知の着信を前にして震えて泣いている顔も粗さがある割にしっかり決まっている表情になっていて

ホラーというジャンルだからというわけでもないでしょうが、表情の描き方が何か凄く巧いんじゃないかと思いました

で、そこからは幽霊否定派の幽霊アオくんによる真相究明が始まります
つまりこっからがミステリ的部分ですね

まあ謎の正体そのものはそれほど凝ったものではなく、ミステリ的かと言われると
あんまりそんな気はせずに、正体が明らかになる経緯のホラーさが結構なことになっていたことからすれば
ホラー寄りの雰囲気作りになっていたことは否定出来ないですね

ただ、そうだったからこそヒロインとアオくんの間にあるお互いへの優しさが何だか映えるという効果も生んでいたように思えます

くだらない理由でヒロインを怖がらせた犯人に対するアオくんの激情
出会って間もないヒロインへの気遣いからくるそれは、超常の力を持ってそいつを罰しようとする衝動へと繋がりました

しかし、それを止めようとするヒロインの言葉が「それ以上は君が本物の悪霊になっちゃうよ」
おそらくは自分のために怒ってくれているのだということを知った上で、それでもそれを遂げさせてしまっては
今度は彼のほうがただでは済まない

それを察しての制止は、その場において何よりも優しい言葉でした

つまりこの物語は、どこまでもアオくんとヒロイン2人の繋がりを描くものとして
ホラー的要素はありつつも温かなお話として仕上がっているのです


問題解決後のラストも、見事でした

相変わらず電話ボックスの中から出られないアオくんに、彼女が贈ったプレゼントが「その発想はなかった」と思わせるものだったんですよ

話の中で鍵となっていたアオくんの「電話を乗っ取る」能力
文明の利器を乗っ取って何やらできる力とは随分ハイテクな幽霊だなとか思っていたんですけども
その力は公衆電話に始まって、家の固定電話も個人のスマホも対象とするなかなかの能力でした

からの、電子書籍ですよ


スマホを乗っ取って色々できるなら、そのアプリを使って電子書籍のマンガを読むこともできるだろう、と

冒頭で、「お供え物」と言って買ったばっかのジャンプをアオくんに渡していた彼女
幽霊である彼はもちろん紙のマンガを読むことはできなかったというのを布石として、ラストに電子書籍を持ってくる発想には
普通に感心してしまいました

随分時代の流れに沿った要素も取り入れてきてる作品だなと

試しに読んでみたアオくんが、何の作品を見ているのかすっかりハマっちゃってる顔になってるのも和みますね

この温かい雰囲気作りがやたらと気に入ったおかげで、今号のアンケ1位ということにしてみました


GAIA KEEPER 浜田志紀

こちらもトレジャー出身の浜田志紀先生
さっきの木下先生よりも少し前に佳作を受賞して、NEXT掲載も同じく2度目となる方ですね

受賞作レビューはこちらから
ジャンプ43号 第61回新人漫画賞佳作作品感想


この方も受賞作の頃から独特の雰囲気作りが変わりませんね
久保師匠とはまた違ったベクトルでのオサレさを持っているような印象を受けます

特に画面作りにおける白さの強調がその雰囲気の源になっているのでしょうか

トーンなんかあんまり使うことなく、余白とベタだけでページを作ろうとするスタイルは
粗い画力とは正反対に繊細さを感じさせるようにもなっていて、作品への印象を形成する大きな役割を果たしているように思えます

そんな独特の雰囲気で紡がれた2作目の読み切りは、異星人による地球侵略とそれに対抗する組織に属する主人公の戦いを描くものでした

まあ設定だけを見れば、テンプレのパターンを踏襲したような基本に沿ったものなんですよね
学生にして特殊組織に身を置く主人公と、事情は知らないけれど彼を心配する親友

主人公がそんな仕事をしているのは昔家族を異星人に襲われたことがあってその犯人を探すため…で
親友が別の異星人に襲われてピンチになる…のが話のヤマ場という

まあわかりやすい起承転結を抑えた構成です

それでも2位に書いてしまったのは、先述の雰囲気作りがこの作品でもそれなりに上手くハマっていたことと
基本的構成でもそれをしっかりと描き切れていたことを評価したいと思ったからですね

…いや実はそれくらい今号のNEXTは不作だったんですよ

感想書こうと思う気が全然起きてくれないんです
ほんとにどうしようと思いましたからね

この作品もテンプレ要素があるので最初は「うーん」とか思ったんですけど
よくよく読んだら雰囲気作りとかそんなに悪くはないのかなと思ったり


不幸のトーノ 原作繁在家政之 漫画岩崎優次

3位はこの作品
これはもう設定を上手に使ったなーというところが一番ですよね

何か知りませんがやたらと不幸な星の下に生まれたヒロインと、
その彼女に惚れた少年が、何とかして彼女と付き合おうと奮闘する様を描いた作品です

設定だけ聞けば他にも山ほどある作品と同じなんですが、しかし違いとして1つ挙げられるのは
彼女が「何かやたら不幸な境遇」を苦痛に思っておらず、むしろ臨むところとして捉えていることでしょう

冒頭から少年の告白で始まる物語は、「私を不幸にしてくれる人」がタイプという彼女の返事を聞いて
奮起した少年が必死になって少女を不幸にしようとすることで展開していきます

嫌いな食べ物を聞いてはそればっかりの弁当を作ってきたり
高いところが苦手と聞けばダイビングに連れてったり

それはもう作中では色々なことを試していますが、見事に全部空回って終わっていました

ただ、その空回り方が微笑ましいものだったことが作品への印象を形成するのに大きな役割を果たしているでしょう
あるいは、そうした少年の行動に彼女がどう対応するかというのは作者もちょっと悩んだところじゃないかと思うんですが

不幸にしてくれる人がタイプと言って、実際にその通りにしようと少年が頑張っているんですから
嫌いなものを持ってこられたからって普通に嫌がっていては何にもならないんですよね

だから彼女は少年の行動を全て受け入れることが、話が進まないという製作の都合とは別のところで
キャラとしての必然性の上で必要だったわけですが

確かにその通りにした結果、嫌いなものばっかりの弁当は意外と美味しかったし
ダイビングは意外と楽しかったし…ということで、不幸どころか喜ばせてしまった結果に終わっているのです

はたから見ればいちゃついてるバカップルですが、しかし当人たちにとっては
これは「どれだけ不幸にできるか」という真剣な勝負の真っ只中

そうした倒錯?が綺麗に決まっていると思えたことが、気に入ってしまった理由でした

だから、「君が来てくれる度に私は幸せになってた」と本音を漏らす彼女の言葉に説得力が出る

「不幸にする」という名目のもとで実は普通に2人で楽しんでたというのを、当人もわかっていたんですね

そこからの急展開も見事

最高の不幸として少年が提示したのは、「君の目の前で飛び降りて死ぬ」ということでした

幸せにしてくれた男が目の前で死ぬ
こんな不幸なことはないだろう?と言って、学校の屋上で柵を乗り越える少年の姿は決意に満ちていて


…ただ、その直前のシーンからオチはわかりきっていることだったので
見開きまで使った演出の割にはそれほど盛り上がってはいなかったかなというのが残念なところでしょうか


とはいえ、そういう予定調和も含めて最後までぶれずに突っ走ったことは
作品の完成度を高めることになったのではないでしょうか

でもこれを連載しようとしたら、『貧乏神が!』みたいに何か壮大な背景と陰謀を用意しないといけなくなったりするのかな


JAPAN'S 小田島諒

こちらもトレジャー出身の方ですね
しかも2回目のNEXTというのまで同じ

何だ?
そういう時期だったのか?

受賞作のレビュー書いてました
苦い実体験から生まれた!? 『チクタク』 小田島涼


体操をテーマにした青春ものですね

体操漫画といったら、同じくトレジャー受賞の別の人もいつだったかのNEXTに載せてた気がするな
その時はたしかその作品をアンケ1位に書いたような記憶が

テーマとする競技を作中でどう位置づけて、それを面白さに転化させるか
上述の別の作品ではそれがとっても上手くいっていたことで1位に書くほど気に入ったわけですが
この作品でも、位置づけ自体はなされていました

それは、「日本人が最も世界で戦えるもの」であるということ

小さいほうが小回りも効いて、くるくると飛んだり回ったりできるということで
小柄な日本人のほうが体操という競技に向いているんだということが示されました

主人公も身長に悩む小柄な体格の少年
バスケに打ち込んで努力してきたものの、身長が理由でどうしても目が出ない時に
道で出会った青年によって違った角度からの「才能」を示される…という展開

今まで悩んできたものが、違う場所では実は大きな武器になるのだというのは
少年漫画的にも王道のパターンではありましたが、ただ、そこに「日本人が」というのを持ってきちゃうと
何か違うかな…と思ってしまいました

身長への悩みを国籍や人種的な部分に関連づけて語られても…という気がしたんですよね

なので、そうした作中での位置づけにあまり乗りきれなかったというのが正直なところです

あ、位置づけはあともう1つありましたね

ひたすら繰り返す練習を燃料に喩えて、本番の瞬間を着火とし、
その数十秒を強く明るく炎を灯すのだという表現

アルコールランプに喩えられたそれは、ひたすら練習することで体に動きを染み込ませるのだという当たり前のことが
非常にわかりやすく描かれていたと思います

ただ、この部分は実際に作中で訪れる本番を盛り上げるための演出のような側面が強かったことも事実で

どちらかといえば少年漫画的な盛り上げのための手法という印象が強く出ていました

それでも、しっかり競技の位置づけはできていたことや、クライマックスの「自分の足を地につけた瞬間」という演出は
とってもよく決まっていたと思うので、期待を込めての4位です

COMMENT▼

NEXTてあまりここでは買ってる人いないんですかね、コメが少なくて少し寂しい

いや、記事のNEXTが最近の物じゃないってのもあるのかな?
となるとぜひ一昨日発売のNEXTを記事にするのが良いかもしれませんね!

個人的にはこの号の覇権はトーノでした

私は買ってます。

が!忙殺の極みのため積読状態…
え?今?12時間勤務で「193連勤目」が終わった朝でございます。

ラグエルさんへ

!?

ブ、ブラック企業!?

No Subject

NEXT読んでないなぁ(´~`;)

>ぱいなっぷるさん
ラグエルさんはどっかのコンビニの副店長らしいですよw

Re: タイトルなし

皆様コメントありがとうございます。
ラグエルさんだけはお仕事お疲れ様でございます。

反応が少ないのは、きっとだいぶ前のNEXTだからでしょうね。アクセス自体が普段よりも減ってますし。
まあそれ自体は予想していたことですから別にどうということはありませんが。

今月のNEXTの感想は…
鋭意執筆中でございます。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

TRACKBACK▼

http://sclpsn.blog.fc2.com/tb.php/1196-4b3cc46f

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | ホーム | 

カレンダー+最終更新日

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

新着記事+関連エントリー

人気&オススメ記事1

タグクラウドとサーチ

プロフィール

rexel

Author:rexel
ジャンプ歴20年。ジャンプ最新号を読んでる時は、ゾーンに入ってると思う。

ジャンプヒロインズは俺の心のオアシスです。
中でも小野寺さん照橋さんを応援しています。そして邑楽派。



コメント返信の方針を考え直し中。



ついったー。

RSS リーダー

月別記事アーカイブ

マンガ・アニメ系サイトリンク集

以下のリンクから他にもマンガやアニメについて記事のあるサイトをご覧頂けます。

○ブログランキング集

FC2Blog Ranking

にほんブログ村 漫画ブログ 週刊少年ジャンプへ

○姉妹サイト
ジャンプマンガの描き方教えます
○アンテナサイト
ジャンプ感想サイト更新チェック

○マンガが読めるサイト
ジャンプトレジャー新人漫画賞受賞作品一覧
絶版マンガ図書館

○マンガ・アニメ感想考察系サイト
(更新停止)
たらさいと
アスまんが
アニメな日々、漫画な月日
台風ゆめかたつ
つながりこそがせかいをつくる
現実逃避
 ┗サイト紹介
あまぐりころころ
働いて飯を食いジャンプを読む、ついでに漫画やアニメも見る

○毎週ジャンプ感想を読ませてもらっているサイト
決闘王F.Kのブログ
君と僕の歌う詩
楽しければよかろうのブログ
北区の帰宅部
 ┗サイト紹介

○マンガ作者サイト
内水庵
おさむ日誌(休止中)

最新画像一覧

カウンター