社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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ニセコイが描こうとするラブコメの本質

ニセコイ20巻


さてさて

というわけでニセコイ考察です

先延ばしにしていた20巻の感想に代えまして、考察記事を書くことにしました
18巻の時と同じ方式ですね

と言いつつ、20巻以降の回の話も出てきますのでコミックス派の人は注意です


考察のネタ自体も前から思っていたことで、そのうち書こうと思って延び延びになっていたんですが
今週の展開を見て「そろそろマジで書かないとな」との気持ちに至りました

テーマは、ニセコイが描こうとしている、あるいはニセコイによって描かれようとしている
「ラブコメの本質」について

まあ仰々しい感じではありますが、今ニセコイで描かれているものには
間違いなくそういう部分があるんじゃないかと思うのです









今回の考察は、18巻のレビューに代えたこちらの記事が前提となっております
ニセコイ それぞれのヒロインの「ニセコイ」と「マジコイ」を考える


『ニセコイ』とのタイトルのもと、ニセの恋人関係にある楽と千棘を主役として展開している物語かと思いきや
実は他のヒロインたちにも「ニセコイ」が存在していたという内容でした

そんな中で、ただ1人小野寺さんだけが「ニセコイ」を持たないヒロインとして特別な立ち位置にあるということ

そして、ヒロインたちだけでなく楽もまた「ニセコイ」を抱えて悩むことになるのだと

ここで言う楽の「ニセコイ」とは、千棘との偽の恋人関係のことではありません
集とマリーの指摘を受けて「俺が好きなのは本当は」と迷い始めたこと

今まで小野寺さんのことばかり好きだ好きだと思ってきたのを、千棘のことも実は、と考えるようになったことで
どっちかが「恋心ではないんじゃないか」と悩み始めるだろうことが楽の「ニセコイ」と言えるものでした


で、とうとう今週号において、楽はモノローグの中で気づいてしまいました
千棘に対するこの気持ちは「好き」なのだと

さあそうなると、次は当然今までの小野寺さんへの気持ちは何だったのかという疑問に行き当たることでしょう

会う度に「可愛い」と思って、イブのデートではただひたすらに幸福感ばかり抱いて
鍵と錠の約束よりもイルミネーションを一緒に見る約束を優先して

手を繋げば緊張を最大に膨らませて
こんな幸せな時間が永遠に続けばいいのにと思って

バレンタインにチョコを貰えば本命なのかと期待を抱いて
和菓子や料理の合作には互いに相当な信頼を置いていて

まあ色々とありますが、それだけの気持ちをずっと抱いてきた小野寺さんへの気持ちは「好き」ではなかったのかと


自分を元気づけようとしてくれた
自分の好きなものばかり揃えたデートを考えてくれた
自分の最近のハマりに気づいてくれていた

口は悪いしすぐ手は出るし、最初は何もかも正反対だと思っていたのに
気がつけばいつの間にか、最も自然で最も素の自分を見せられるような相手になっていた

一度はそれを評して親友と言ったつもりが、この気持ちが「好き」というものなんだとしたら


今まで小野寺さんに思っていた気持ちの正体は何なのか

ここからは、楽がそれを考える展開が待っているのでしょう

そしてそれこそは、今回の記事のテーマである「ラブコメの本質」なのではないかと思います


すなわち、「これが恋なのか?」「これが好きって気持ちなのか?」と悩み、迷うこと

誰が誰を好きになって、くっついた、別れた、といったことがラブコメの基本的展開や要素になりますが
そこにもう1つ

「これが好きってことなのか?」という疑問

このことを正面から描こうとした作品ってどれくらいあるんですかね
本作みたいな三角関係はジャンプマンガでは割と多いイメージなんですが、どちらかのヒロインに対して
「これが好きってことなのか?」と思い悩んだ主人公ってどれくらいいたんでしょう


どう思ったら「好き」なのか
どう感じたら「好き」なのか


ジャンプのメイン読者な少年たちにはまだ遠くてよくわからない感情かもしれなくて
20年経ってもまだジャンプ読んでるおっさん読者たちはすでに忘れかけているような感情かもしれなくて

ニセコイ、ニセの気持ち
マジコイ、本物の気持ち
そんな対比のもとにそれらの違いを描こうとしているとすれば、今後の展開によって描かれるものは
誰かが誰かを好きになることの意味や違いを描き出すものとなる

すなわちそれこそはラブコメ漫画の本質に触れるものであるとは言えないでしょうか

ラブコメ以外に軸のある作品ならば、そこまで突き詰めようとする余裕はないでしょう
それよりも本来の軸の部分を進めなければいけないからです

しかし、ラブコメ漫画だからこそできるその本質の追求
人を好きになること、好きになった誰かと別の誰かとの違い

そういったものが追求され、描かれるのだとすれば
少年マンガとしても大きな意味があると言えるでしょう



で、実は本作品ではすでにその一部が描かれていましたね

どうなったら「好き」であるのか
その一端がすでに定義づけされていたことがありました

鶫の登場初期

性別バレ後に、何やら自分の体調がおかしいことに気づいた鶫が
その原因を人に聞いて回ったことがありました

特定の相手の前でのみ鼓動が早くなり、顔も胸も熱くなってしまうという状態は一体何なのかと

クラスメイトに聞いて回った結果、「それは恋ではないでしょうか」と小野寺さんに指摘されていました


一般的な認識とほとんど同じものではありますが、その状態こそが「恋」であると
作中で認識が示された瞬間です

たとえばこの定義を楽と小野寺さんと千棘に持ち込んでみると

小野寺さんと千棘は楽に対して鶫と同じ状態になっていますね

近くにいればドキドキのあまり緊張が高まる顔が火照る言葉に詰まる
それは紛れも無く「恋をしている」状態であると言っていいものであるでしょう

では楽の場合はどうかというと
小野寺さんが相手の時には見事にその状態になっていますね

対して千棘の場合は、今週の気づきのように「安心感」や「心地よさ」が最も強い感情でした
それは上述した鶫の状態とはむしろ正反対なものと言えるものです

ということは…

…なんてことで結論づけようとは思っていませんけれどね



いずれにしても、楽のこれからの葛藤においては
どんな気持ちが「好き」なのか
どう思ったら、感じたら「好き」なのか
どうしてその相手を「好き」だと思うのか


といった、主人公の本心と本音に関わる描写が多く描かれていくと思われます

その過程こそは、人が人を好きになること、人が人を好きになる瞬間、人が人を好きになる理由など
ラブコメにおける究極的な核心に迫るものとなるのではないかと思います


読者にしっかり納得してもらえる結末を目指すと語っていた古味先生
無駄に大騒ぎせずに、座してその展開をじっくり追いかけることとしましょう





COMMENT▼

もう一つの恋の指摘

rexelさんが記事中に書いた「つぐみの感情」の他にもう一人、自分の感情がなんだか分からず思い悩んでいたヒロインがいます。

千棘ですね。千棘の症状は「ある人の前では急に胸がどきどきしたり苦しくなったりして前みたいに普通に話せなくなった」。ほぼ、つぐみと同じです。

そしてつぐみと同じく、千棘も小野寺さんに「それは端的に申しあげると 恋ではないかと思われます」と言われています。

小野寺さんに指摘された後、千棘は自分の感情を「恋してるんだ」と認めるまで4話かかり、つぐみはいまだに認めていない。そういう状況ですね。

以前から時々指摘していますが、ニセコイの物語の本番は、楽さんが「千棘の気持ち」に気付いてからです。その意味では現状は、「もうちょっと続くんじゃ」状態だと思っています。

No Subject

初見で読んだ時、「ああ、またこいつは荒れる展開を・・・」と思ったものです。

今回の展開はいかんでしょう

サブタイトル「マジコイ」で「小野寺(憧れ)とも橘(友人)とも羽姉(家族)とも違う 千棘といるときだけに感じる心地良さ これが好きなんだ」

なーんて言わせちゃったら「今までの199話『小野寺が好き、小野寺が好き』言ってたのは何なんだ茶番じゃねーか!」という意見が出てくるのは当然でしょうに。



いや展開的に楽が千棘への恋心を自覚する必要性も理解していますし、今後rexelさんがおっしゃるように「じゃあ千棘への好きと小咲への好きとはどう違うんだろう」と楽が悩む展開になるだろうことは充分に予想できます。
もうちょっと踏み込んで外見の理想(小咲)と内面の理想(千棘)どちらを選ぶか~なんてのでも悩ませることができます。

仰るとおりに、このテーマだけで十二分に面白く展開できるはずなんですが・・・


今回の199話はサブタイトルを「コンワク」とか「トマドイ」にでもして、ラストのページを「これが『好き』なのか? じゃあ・・・小野寺への気持ちはなんなんだろう」と自問自答まで1セットでやっておけば、まだ荒れが少なかったんじゃあないかと思うんですよ。

なんでこう古味さんは惜しいことするかねぇ。

No Subject

僕は静観で。

Re: もう一つの恋の指摘

皆様コメントありがとうございます。

そういえば千棘も小野寺さんに相談していましたねえ。すっかり忘れておりました。話した内容まで同じとは、完全に狙っているかのようにも思えますな。

今週の展開でようやく二大ヒロインが一応対等の立場となりました。そこから楽が千棘の気持ちを知ることは、彼の決断のためには必要な情報と言えるでしょうね。その意味では確かにまだまだ続くであろうことは予想できますが、xitongさんの言うようにやり過ぎとも言えなくもないですね。

演出によるインパクトを優先したのか、千棘への気持ちが世間一般で言う「好き」であると強烈に感じさせるようになっていました。「今までは一体何だったのか」と騒ぐ人が出るのも無理からぬことと思います。それでもじっくり読めばそう単純なことではないとわからないこともないんですが…

そんなに訓練された読者ばかりでもないですからね。この深遠な作劇がわからん奴は読むな、なんて殿様商売ではないと思いますが…。あるいはそれくらいしないといけないと思えるくらい、今までの小野寺さんへの気持ちの描写が抜き出ていると判断されたのか。でもそれならそれで、ここで強烈にそれをひっくり返す演出をすることは余計に「今までは何だったのか」感を強めることにもなるとわかりそうなもんですけど。

そう思っちゃう読者は、困惑するところまで描かれていても「結局こいつは優柔不断だ」と感じてしまうかもしれないですし。難しいところですねえ。

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