社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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食戟のソーマにおける物語構成その3 二つの柱の行く末と今後の展開

ソーマ二大ヒロイン

はい
『食戟のソーマ』における物語構成を考えてみる記事
まさかのその3でございます

その1では、序盤から現在まで展開の全体を俯瞰することにより、その時々における各シリーズの役割を位置づけました
その2では、同じく展開の全体を俯瞰しつつも、その1で考えたものとはまた別の「柱」が実は裏側に存在しているとして
「裏テーマ」の呼称のもとに、各シリーズでの進行の様子を整理してみました

それらを踏まえて、その3となる今回
2つの振り返りと考察によって浮かんできた2つの柱が、1つのストーリーの中でどのように絡み合い、
どのように展開し、そしてどのように決着することになるのか

その展望を考えてみたいと思います



まだの人は、その1とその2を先に読んでもらったほうが話がわかりやすいですよ
食戟のソーマにおける物語構成その1 主人公の在り方とその目指す先

食戟のソーマにおける物語構成その2 主人公とヒロインたちとの関係と「裏テーマ」


[タグ] 食戟のソーマ







1つ目の柱が向かう先


その1の記事で考察してみた1つ目の柱
時間が足りずに急遽分割した記事中では、最後のまとめが上手く書けていなかったように思いましたので
ここで改めてまとめておきましょう

女性キャラのサービスシーンによるスタートダッシュの後、見事に少年マンガとして転化してみせた本作
しかし、主人公の目的と目標は第1話から明確に描かれており、それは今になってもブレてはいません

その目標とは、「親父を超える料理人になる」こと

物心ついた時から父親相手に勝負を挑み続け、全敗しながらも、全く諦めようとしないキャラだった創真は
主人公としての性質は充分に持ち合わせていました

スタートダッシュ部分だった最初こそ、父親仕込みの技術によって無双的な実力を発揮しますが
合宿編が始まって以降は、思いがけない実力を持った同い年の料理人たちに次々出会っていくことになりました

そうして今までの自分の狭さを感じるようになった創真は、気持ちも新たに親父超えを目指すようになる…という


父親を超えるというのは、少年漫画の主人公が持つ目標としては極めて王道なものです
本作におけるそれは、第1話の時点から形だけは示されていましたが、序盤における創真無双によって
その中身は伴ってはいませんでした

それが「本物」となったのが、選抜編の始まる直前の料理勝負でした

創真の激励のためか「ヤボ用」のためか、突然極星寮へと姿を見せた城一郎と創真の突発料理勝負
遠月学園で今まで知らなかった世界や人と出会い、また親父の正体として「元十傑第二席」という肩書を知った創真は
それでも全く気負うことなく挑んでいきました

結果は全会一致の惨敗

従来までよりも多く成長できたと思えた中での完全敗北は、父親の背中の大きさをまざまざと創真に見せつけたことでしょう

しかし、だからこそ、「親父を超える」という目標はさらに強く創真の中で輝くことになります

こんなにも凄い親父でも、十傑では第二席までだった
第一席には届かなかった

それは、一体どれほどの高みにあるのか

親父も届かなかった遠月の頂点はどんな景色なのか


「第二席」との肩書を持つ城一郎に対して、もしも創真が「第一席」を得ることができれば
「親父が届かなかった場所に辿り着いた」との意味で、1つの親父超えを意味するものと言えるわけです


これが、1つ目の柱における物語の展望です

すなわち、創真がひたすら「頂点」を目指そうとする物語であること
それは親父超えという少年マンガ王道の柱であり、だからこそ、本作品もまた王道の少年マンガであること

ジャンプマンガとしてお色気だけを特徴とするわけではないことをはっきりと示す要素です



もう1つの柱の行く末


では2本目の柱はどこに向かうことになるか

その2の記事で浮かび上がってきたもう1つの柱としての「裏テーマ」
その行く末とはもちろん誰ルートになるのかということであるわけですけれども


まあぶっちゃけまだわかんないですよね


ただね


 た だ で す ね


2つの柱を絶妙に交差させるのはえりな様ルートであるだろうというのが、最もシンプルに予想できる展開なんですね


というのも、えりな様であれば裏テーマに対する「表テーマ」とも言える親父超えを別の形で示すことができるんですよ

第一席到達とは違った形で、創真が城一郎を超えたことを見せることができるのです


方法は簡単ですね
今は城一郎の料理に憧れているえりな様が、それ以上に創真の料理に憧れるようになること

1人の女の心が、父親から自分へ向くこと
それもまた、親父超えの一環と言っていいものではないでしょうか

そしてもしもその女が、「自分の料理のすべてを捧げたい女」であったとするならば、その時の感慨は如何程のものとなるか

ジャンプ漫画の中でも屈指のカタルシスとなりそうな予感がひしひしとありますね

で、このえりな様ルートの何が巧妙って、えりな様にもあるんですよね
親父超えが

もちろん、今えりな様を着々と自らの手中に取り込もうとしている実父薊のことです

自分の理想を料理界に押し付けるためにえりな様を必要とし、自分だけの傀儡とすることを目論んでいる薊
そんな父親の魔の手をきっぱりと拒絶し、克服することがえりな様の「父親超え」です

もちろんそれはえりな様1人でなし得ることとは到底思えませんから、誰かの助力があるのでしょう
緋沙子ちゃんか、アリス嬢か、仲良くなった極星勢か、はたまた創真か

少年マンガ的にはそこに主人公が関わらないわけがないとすれば、創真が何かしらの重要な役割を果たすのでしょう
ではそれは何かと妄想してみると

たとえばね

神の舌からの解放とかね



いや、これですね
だいぶ前から地味に思ってたことなんですけどもね

えりな様って相当大変だよなあと

何がって、神の舌なんて呼ばれてしまうほどに鋭敏な味覚を持って生まれてしまったものだから
古今東西あらゆる料理家たちから味の検分をひたすら求められてきたわけですよね

仕事として実食してる時は別にいいでしょうけど、普通に昼食や夕食として何か食べようとする時はどうしてんだろうって
ずっと思ってたんですよ

料理界の重鎮薙切家ですから、そりゃあ専属コックの1人や2人いてもおかしくないですけど
そういう人が作ったメニューを口にする時でも、えりな様は「煮込みがどう」とか「下味がどう」とか理解っちゃうわけですよね

まあ疲れるだろうなと


薊がやろうとしているのもおそらくそういうことだと思うんです

鋭敏な味覚のえりな様に味の検分をさせつつ、その判断基準を「自分の価値観好み」に仕上げることによって
料理界に自分のやり方が絶対であることを根付かせること

その計画の中では、もはやえりな様はただ味のテストのために用意された料理を出されるまま食べるばかりの味覚人形で
出されてくる品は確かにどれも一級のものではあるんでしょうけども、「テスト」のために口にするえりな様にとっては
どれもこれも無味乾燥なものとしか思えず、しかし神の舌はいつも精確に味の違和感を探し当てる

こんなもの、えりな様の精神がだんだん壊れていくような予感さえしてきますね

それはすなわち神の舌という呪い

持って生まれてしまった天賦の資質が自らを苦しめるという、これもまたある意味では少年漫画の王道展開ではあります


「卓には常に完璧な品だけが求められる」「究極の美食はそうやって成される」とは
えりな様が創真に向かって言い放ったセリフですが、それはつまり、神の舌のためにどんな違和感も察してしまうえりな様は
「完璧な品」でなければ心から食事を楽しむことができない、とかそういうことだったりするのかなー、と


…で、創真はいつか言っていましたね

「必ずあんたの口から美味いって言わせてやるよ」

俺の料理の限りを尽くして


さあこのセリフをそのまま受け止めれば、創真が自分の料理のすべてを尽くそうとする相手はえりな様であることになります

すなわち、神の舌が何らの違和感も感じることのないほどに「美味い」料理を作ること
それができれば、えりな様は「食べる喜び」を抱くことができるし、
神の舌はその味を十二分に感じ取るためのうってつけの感覚と言うことができるわけです


「いい料理人になりたい」と漠然と思いを抱き、城一郎の料理にいたく感激し、大いなる憧れを抱いたえりな様
城一郎の料理の何を気に入ったのかはまだ明かされてはいませんが、「限りを尽くして」言い換えれば「すべてを捧げる程の熱を込めて」作った創真の品が
それを上回る感激をえりな様に与えられたならば、その時、創真は1つの親父超えを果たしたということができるでしょう

そしてそれはそのまま、えりな様エンドへまっしぐらと言える展開となっていく…


えりな様の持つ「神の舌」を極限まで利用しようとする薊と
神の舌も普通の舌もまとめて一緒に喜ばそうとする=美味い料理を作り上げようとする創真

対比的な形となる両者は、「父親超え」と「すべてを捧げたい女」の2つの柱によって見事に交錯しているといえるのですね



「裏テーマ」のもう1つの行く末


妄想甚だしい感じではありましたが、えりな様ルートがこんな風にして進展していくとすれば
じゃあもう1人のメインヒロインである田所さんルートはどのようにして進行する可能性があるのか

これね


ぶっちゃけ全然わかりません


えりな様完全メインなシリーズが始まってしまった上に、先述のような妄想が出てきてしまった今
田所さんルートはどこでどんな風にして展開するのか、正直言ってさっぱりわかりません


ただ1つ言えそうなことは、田所さんルートが始まるとしても、このえりな様メインの「囚われの女王編」(勝手に呼称)は
本作における重大な節目となるのだろうなということです

合宿編と選抜編で、えりな様ルートと田所さんルートはそれぞれ対比的な進展を見せていましたが
じゃあこのえりな様編に対する田所さん編がこの後何かあるのかというと、そんなことはない気がするんですね

あのえりな様がここまで窮地に陥ることになった今回のシリーズ
これに匹敵するほどのピンチが田所さんに訪れるなんていうのは、全く想像がつきません

それこそ、田所さん実家の旅館が何かの理由で破綻しそうになるとか、そんなことくらいですよ思いつくのは
舞台が遠月学園になりそうな気がしないのです


それに、えりな様大長編に続いて田所さんでもそんなシリーズをやろうとすると
長編を終えて少しでも創真に対する態度が変化しているだろうえりな様を描くのが少々難しくなるんですよね


なので、期待としてはこのえりな様シリーズの中で田所さんルートも進展するのではないかと思っております

えりな様を救うために、田所さんが何らかの形で創真に協力する
その中で、田所さんとのフラグが強化される
そういう形なら、自然にそれぞれのルートを進めることができるのではないかと


物語構成における今シリーズの位置づけ


えりな様メインのシリーズとなるのだろう「囚われの女王編」

まだ始まったばかりではありますが、物語全体におけるこのシリーズの位置づけを見通してみることで
今回の考察のまとめとしてみましょう


先に言いますと、創真たちの中の誰かが十傑入りするシリーズとなるのではないかと思っております


創真を取り巻くレギュラーキャラたちの中の誰かが、途中で十傑に入るのではないか
一番の候補は選抜優勝者でもある葉山アキラですね

葉山って実はこのシリーズで地味に重要な役どころにあるんじゃないかと思います

神の舌に届きうると評された「特別製の鼻」を持って香りの力を駆使する料理人であり、
創真に先んじて「すべてを捧げたい女」がいる葉山アキラ

すなわち葉山は、えりな様にある要素、創真に必要となる要素を同時に持ち合わせているキャラなんですね

そして、新総帥となった薊が学園内を視察している時には、意味深に汐見ゼミの建物が描かれてもいました

たとえば、スパイスの研究を推進している汐見ゼミを邪道と断じて、その廃止と汐見教授の解雇を決定したりしたら
たとえば、神の舌に匹敵する嗅覚を持つ葉山の力を手に入れるため、汐見教授を囚えたりして脅迫したら

自分に従わない相手はこうなる、という「見せしめ」のための最初の犠牲者となる可能性があるんですね


そこにおいて、「すべてを捧げたい女」を助けるために、懸命になろうとする葉山の姿は四宮に食戟を挑んだ創真とダブります
また、特別な嗅覚を持つ葉山の力を薊が自身の料理観の強制に利用しようとすれば、それはえりな様の仮想未来の姿です

そんな状況を打破するため、十傑における薊賛同者を減らそうとして葉山は第九席叡山に勝負を仕掛けようとする…とか
大切な女のために格上相手に食戟を挑むとは、まさに合宿編での創真と重なりますが、創真と違うのは
相手が元第一席の卒業生ではなく、学年がひとつ上で席次も下位の九席であること

汐見教授のために文字通りすべてを賭けて挑めば、葉山なら叡山くらい勝てるかも…とか



結末としては薊はいずれ失脚することになるだろうとは作劇の必然として普通に想定されることですが
それがいつになるのかということと、どのようにしてなされるのかというのが焦点ですね

あるいは、えりな様はとりあえず薊の毒牙から解放されても、総帥としては引き続き居座ったりするのかどうか

そんな中で、身近な奴が実際に十傑入りしたとすれば、創真にとってはこれ以上やる気を出させることはないでしょう

そんな感じで、十傑の頂点を目指すことも、えりな様ルートも田所さんルートも、
このシリーズ内で今までより具体的な形で進行することになるのではないか


そんなふうに考えております

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中でも小野寺さん照橋さんを応援しています。



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