
聖骸の魔女 田中ほさな
だいぶ前に買ってたんですが、記事にするのがすっかり遅くなりました
「鮮烈のダーク”ハーレム”ファンタジー」と銘打たれたこの作品
発売されたばかりの頃と思いますが、何かネット上で話題になってたんですよ
それで何となく気になってしまって、あらすじとか見てみたら「ほほう…」とか思ってしまって、
気がついたら手元にありました
舞台は中世ローマ
おそらく教会をモチーフとした単語と思われる「浄会」のトップ「浄皇」ヴァレンチナ
孤児として彼女に拾われ、彼女を母同然に慕う少年ニコラがこの物語の主人公であり、魔女たちの「旦那」となる男でもあります
この作品の見所は大きく2つ
1つには、魔女と浄会の戦争状況を背景とした世界観ですね
一口に魔女と言っても、作中には2種類の魔女が登場します
1つは、浄会を滅ぼそうとしている魔女
もう1つは、ニコラが娶ることになる「最初の魔女」
物語冒頭ということもあってか、2種類の魔女の戦闘は「最初の魔女」の圧倒的勝利に終わりますが
そのうち苦戦する展開も訪れるのでしょう
超常現象を引き起こす魔法を駆使するのではなく、それぞれの武器による戦闘スタイルを持つ彼女たちの戦いは
バトル要素も兼ね備えることのできる部分であり、期待を抱けるところかと思われます
この作品もう1つの魅力は、そうした世界観を構成する魔女たちそのものです
魔女は浄会を滅ぼそうとし、浄会は魔女の持つ圧倒的な武力の前にその対策を考えあぐねている状況の中で
浄皇ヴァレンチナよりの特命により、浄会の奥深くで刑に服しているという「最初の魔女」に望みをかけようとしたニコラ
その嫁候補(?)となる魔女は全部で12人もいるそうです
多すぎるw
確かにハーレムファンタジーとは言っても10人以上は多すぎるだろw
せいぜい4、5人にしとけやと思わなくもありませんが、まあ夢があると思うことにしましょうか
ホントに12人ともがニコラと「そうなっちゃう」とはまだわかりませんしね
じゃあなぜ、ニコラと「最初の魔女」が夫婦になる必要があるのかというと
「聖約」という彼女たちを蘇らせる儀式のためでした
現浄皇よりもはるか昔、100代以上も前の浄皇との約定により、左手の薬指が欠けた状態で鉄処女の中に収められ、
白骨体となって刑に服していた彼女たち
その蘇生のためには、欠けた薬指の骨を返してやる必要があり、それを「聖約」と呼ぶのでした
「プロポネール」とルビの振られていたこの「聖約」
左手薬指という場所と、プロポネールという響き
その通り、聖約とは魔女たちにとって結婚を意味する儀式だったわけですね
そうとは知らずにニコラは2人の魔女を蘇らせてしまいました
1人は、古風な口調で会話するエゼルバルド

もう1人は、口調も行動もちょっと大雑把な感じのウプスラ

1巻分の話ですから、まだまだ彼女たちのキャラは全然深められてはいないんですが
1つだけ明確に特徴づけられていることがありました
それは、魔女の力に対する供犠
聖約を交わした相手から捧げられる供犠が魔女の力の源となるらしいのですが、
その供犠がそれぞれ違っていたんですね
エゼルバルドは涙を、ウプスラは血を
それぞれ口にすることで力を発揮していました
つまりは体液ということでしょうか
2人の必要とする供犠が異なっていることは、全部で12人いる最初の魔女たちは、
それぞれ異なった供犠を力の源としていると想像できますが、じゃあ残りは何になるんでしょうね
涙と、血ときたら、じゃあたとえば唾液
たとえば汗
あと男の体から発生する体液といえば何があるかな
えー、…せ(ry
( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン
大変失礼致しました
…あれ、意外と体液って種類ないのか?
あと浮かんできたのは鼻水とかなんですけど、それはさすがに嫌だw
12種類もないとしたら、じゃあ4種類くらいのいずれかを供犠とする属性別的な感じになるんでしょうか
それはそれでどんな違いを出していくのか興味深いかもしれない…
それにしても、12人というのがやはり気になるところですね
通常、こうした同胞たちを蘇らせてその力を得て…なんて話の場合、その対象を旅して探すことも物語に含まれるんですよね
『結婚指輪物語』なんかもろにそうですし
ていうか複数の魔女たちと結婚してその力を得て戦おうとする、って何となく『結婚指輪物語』と似てるかもしれないとか思ったり
それが買う気になった一因とも思います
話を戻しましょう
この『聖骸の魔女』の場合は、聖約を交わすことで力を借りることのできる最初の魔女たち
どっかに散らばって刑に服しているのではなく、白骨体が収められた棺はすべて浄会の奥にありました
つまり、この1巻でニコラが蘇生させたエゼルバルドとウプスラは、その2人しか見つけられなかったわけではなく
たまたまだったんですね
彼女たち以外にもまだ白骨体は存在していたのです
ただし、それら白骨体を蘇生させるための鍵となる左手薬指の骨を今誰が持っているかが
1巻ラストの時点では不明確なんですよね
浄皇ヴァレンチナの命によりニコラが所持していたことで、刺客の襲来への対処として2人目のウプスラを蘇生させたわけですが
その直後、1人目の嫁となるエゼルバルドとの修羅場のために鍵はどうなったかが描かれませんでした
もしまだニコラが持っているとすれば、いつどのタイミングで次の魔女を蘇生させるかが作劇として非常に重要なことになります
重婚の咎により浄会から追放されることになったニコラ
浄会に保存される残りの白骨体とそう簡単に接触を持てるとも思えませんが、3人目、4人目の蘇生はいずれ訪れることでしょう
あてもなく探す必要があるのではなく、所在は大体わかっている状況において
いつそれを必要とするのか
それは物語の行く末を決めるに非常に重要な役目を果たすものとなるでしょう
とは言え、聖約を交わした「旦那」からの「供犠」によって圧倒的な力を発揮することのできる魔女たちと
主人公との一夫二妻な旅路
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何か中途半端なところで切れますけど…
ダーク”ハーレム”ファンタジー
この言葉にピクッと来た人は買ってみていいんじゃないかと思います
田中ほさな先生の過去連載作のタイトルです。これですっかり惚れ込んだんですよ!
では「買い逃し」していましたので行き付けの本屋に行って来ますw