社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

03<< 123456789101112131415161718192021222324252627282930 >>05

『カガミガミ』を考える

オラショた系

さて…

本日のテーマは、現在ジャンプで連載中の『カガミガミ』です
画像の選択に別に他意はありません

毎週の感想の中ではすっかり省略組の方に入ってしまってしまっていますが
別に嫌いなわけではないんですよ

岩代先生の作品は好きなんですよ
『みえるひと』も『PSYREN』もコミックス持ってますし、その次となるこの作品もできればコミックス買いたいなと
思っていましたよ

…しかし、この状態ではとてもその決断ができません

感想書くのを躊躇ってしまうほどに感情移入も出来ず、期待も持てず、ワクテカも出来ない状態では
コミックス買うなんてできるはずもありません

そこで本日は、なぜ俺は『カガミガミ』に対して「なんだかなー」と感じているのか
その理由と原因を考えてみたいと思います


 







はじめに、今回この記事を書こうと思ったきっかけはこちらのページだったりします

【7/25】カガミガミは何故つまらないのか問題 (The 男爵ディーノBLOG)


俺が毎週のジャンプ感想を楽しみにしているサイトの1つ、「The 男爵ディーノ」
リンク集の中にも入れているこちらのサイトで、先日更新されたのが「『カガミガミ』がなぜつまらないのか言語化を試みる」という内容でした

筆者のサイトに書き込まれる多数のコメントを手がかりにして筆者なりの見解を導き出されているこのページの内容は非常に見応えのあるもので、
俺自身が漠然と思っていたことを割と的確に表現してくれたように思ったのです

なので、こちらのページの内容を取っ掛かりに、俺の個人的見解を考えてみようかと


上記ページでは全部で5点の問題が挙げられていますが、俺が特に気にしているのが真ん中の3つです


すなわち
「縦軸がふにゃふにゃなんだよ説」と
「主人公に目的がなくてキャラが弱いんだよ説」と
「作中世界での式神のことがよくわかんないんだよ説」です


全部別個の問題であるように見えて、実は「縦軸がふにゃふにゃ」であることの原因が
「主人公のキャラが弱い」ことと「作中における式神のことがわからん」ことに繋がっているんですよね

なので、主人公に関するところからまずは見て行きましょうか


印象が弱くて薄い主人公


これは、主人公が主人公であることの理由とも関わるものです

すごい端的にいうと、なぜ嘉神くんが主人公なのかわかんないんですよ


なぜならはっきりした目的もなければ、活動している動機もなく、目指しているものもないからです

何か式神使いをやってて、式神絡みの事件解決にやってきて、どうにかこうにか上手いことやってる、というだけ

そういった活動を通して嘉神くんは何を為そうとしているのか、何になろうとしているのか、何を変えようとしているのか、
それがさっぱりわからないんですね

あるのかもしれませんし、今後描かれるのかもしれませんけど、現状全くわかりません
そして、そういったものはできるだけ早いうちに描いておくほうが(特にジャンプでは)いいものだと思います

なぜなら、それによって「このマンガは主人公が何をどうしようとする作品なのか」が示されることになるからです
読者はそこに面白さや期待感を抱ければ続きを読みたいと思うわけです

然るに、現状このマンガにはそれがさっぱり説明されていません
第1話で、「一番の式神使いになりたい」というセリフはありましたがただそれだけで
そのためには何をどうすればいいのかが全然わからないんですね

漠然と「一番になりたい」とは主人公が持つ夢として不自然なものではありません

火ノ丸が目指す「横綱」とか、アスタが目指す「魔法帝」とかルフィが目指す海賊王とか
作品によっては、その「一番」が何なのかはっきりと示されているものもありますけども
しかしこのマンガの場合は、一番の式神使いとは何なのかはいまだ示されずにいます

ということはつまり、このマンガでは主人公が何をどうしようとするのかが全くわからないことになります

それが意味することは、面白さや期待感を読者に抱かせるべきマンガとしての「ウリ」が欠落していることになるんですよ

何が何でもさっさと説明しろとは言いません
ジャンプ的な「はじめは色々とぶっこんで、できるだけ大げさにすることで読者をつかむ」やり方とは別の手法があることはわかっています

しかし、そこにつながる一端というか、それを予感させることさえ描かれていないんですよね
現状俺が認識している嘉神くんの行動原理はシンプルな正義感というだけです

だから、主人公が何か頑張ってみようとしていても「でっていう」みたいな感覚にしかならないという



ふわふわした認識しかできない式神


式神についても主人公と同様に曖昧で漠然とした認識しかないんですよね

これも端的に言ってみると、何ができて何ができないのかがわからないんですね

さらに、どんなメリットがあってどんなデメリットがあるのかもわからない

憑力なんていういわゆるオーラやチャクラみたいな生体エネルギーの概念はあるみたいですが
ただそれだけ

憑り代を媒介にして何やら出現させて、それを使役するのはいいとして
そこではどういったことができて、どういうことはできないのかがさっぱり想像できないんです

だから、現状実行可能なのが主人公嘉神くんの1人しかいない憑依合体も、何がどうすごいのかよくわからない

憑依合体してオラオラになった主人公を初期から見てるこちらとしては、嘉神くんはそれなりに強キャラな立ち位置なのかと思いきや
何か始まったトーナメントでは全然そんなことなくてむしろ弱い側、みたいな

式神を使う能力者同士において、何がどうなってたら強いのか、何がすごかったら式神使いとしてすごいのか、
そういうことが全然わかんないんですね

唯一憑力くらいでしょうか、想像がつくのは
たぶん式神を顕現させる源なのだろう憑力が凄ければ式神使いとしてもすごいというのは理解できます
が、とりあえずそれだけ

他の要素についてはさっぱりわからない


紹介した記事中に、『ワールドトリガー』に触れた部分がありますが、まさにそういうことなんですよね
ワートリで強いと言われたらキャラがいたら、その強さを信頼できるんです

それは、トリオン力という個体差のあるエネルギー源とともに、規格化された多種類の武器とその性能、
加えて局地戦・集団戦といった戦いのあり方が描かれていることで、「強い」と言われるのはそれらを踏まえた実力であると
読者が認識できるからなんですよね

使う武器の性能や特徴を熟知していて、他人なら思いもよらない使い方を発想できるとか
武器を使うための技術力に優れていて、基本的戦闘スタイルでもやたら精緻な攻撃が可能だとか
戦況の全体を把握した指揮官としての能力に優れていて、平均的な自分の戦闘力を駒として踏まえた采配ができるとか

一口に「強い」といってもいろいろな形がありますけど、強いと言われたら読者が理解している範疇の中で秀でているものがあって
それを見事に使いこなしているんだという期待感と信頼感を抱けるんです

しかし、カガミガミにはそれがありません
式神使いの強さとは何なのか、何がどうなったら式神使いとして強くなるのか、
そういうのがわからないのです


そうした状態を助長しているのが、「式神」に対する世間の認識ですよね

超常的存在として、常識的にはまゆつばものと受け止められてもよさそうなもので、式神使いもそれを踏まえていそうなものを
第1話で主人公は初対面のヒロインにあっさり式神のことを話しました

あろうことか、話を聞いたヒロインはさして驚いた様子を見せないという不思議感
大家さんも同じように、ただ珍しいものを見るような感覚で反応しており、「超常的なもの」という印象は
ほとんどありませんでした

後に説明されているように、式神協会とはすでに政府には公認されており
非公式な組織とはいえそれなりの権限を持っている集団でした

それにより、式神と式神使いとは、身近にはいないけれど実在を疑わない程度には世間に浸透しているみたいなんですよね
だから一般人は夢でも見ているかのような反応をするのではなく、噂に聞いたことはあったけれど、みたいな顔になる

そういう世界観を描こうとしているのならば、それはそれでありだと思います

特殊能力者の作品で必ず描かれることになる「常識的な反応」は、その驚いてくれる相手に対して説明するという形で
読者に設定を伝えることができる便利なものではありますが、あまりに見慣れてしまったことで新鮮さがないことも事実

それを、主人公たちの使う特殊能力が「すでにある程度認知されている」という世界観は
今までにない描写や演出ができる可能性を持つものでした

しかし、現状ではそれが有効に機能しているとは言い難いですね
式神についてそこそこ知っている人たちばかりが登場して話が進んでいくことで
読者はすっかり置いてけぼりになっている感があるのです


そしてその世界観もまた、作中ではブレています

ここでいうブレとは、舞台のブレです

すなわち、学校行かせる必要があったのなら最初からそうしろよってことですよ


主人公が突然学校に通うことになった展開は、俺の中では殆ど「迷走」に近いものとして映りました
必要性が全く感じられなかったからです

住む家のあてもなく行動力だけで上京してきた主人公が、何やらおねーさんと出会って誘われて一緒に住むことになった
それ自体はいいとしましょう

しかし、途中で学校に行く展開になるのなら最初からそうすればよかったはずなんです
もしくは、物語の始まりをそういう形にしたのならば学校に行かせる必要はなかったはずなのです

学校とは多くの作品で舞台とされる「すでに確固として確立された舞台」であり、その気になれば学校とその周辺だけで
物語のすべてを描けるほどに確かな世界観を持っているものです

多くの「主人公」が属する年代の世界観として殆どすべてに関わる「学校」とは、
ある意味では社会の構成や属性の縮図であるわけですが
それだけに、普通に社会の中でやっていこうとする主人公とは相性が悪い面もあります

なぜなら舞台が二重になってしまうから
あるいは、世界観を矮小化させてしまうから

学校を中心に描かれていた物語が、いつしか世界全体を対象とした話になっていくのはストーリーが壮大になったと
受け止めることも可能ですが

その逆は話が矮小化されるんですね
学校を舞台にしなければならない明確な理由があるなら別ですが、このマンガの場合は全然そんなことはなく

学校を中心にして話を展開させようとするのなら、それまで描いてきたキャラの人間関係をリセットする必要すら出てくる上に
「なぜ最初から通学してなかった」という疑問がいつまでも読者の中に残る悪手です

あるいは学校を話の一部分として描こうとすると、「学校」という世界観の持つ確固さが不自然さをもたらすことになるんですね
中途半端な学園退魔ものという感じになってしまうんです

案の定学校に行ってる様子やクラスメイトは全然登場してこなくなりましたし
同時におねショタ成分も薄まって、初期に抱かされた期待はすっかり萎んでしまっています


岩代先生が目指している姿


…と、ここまで扱き下ろすことばっかり書いてきましたが

この記事を書くために、仕方なく第1話から読み返してみました

すると思ったことが1つ


まるでわざとかってくらい、主人公のことに触れようとしてないなーと


何でしょうね、これ
いやこの感じ方が合ってるのかどうかも自信はありませんが、読み直しててとにかくそんなことを思いました

主人公のことはろくに説明してないのに、皇くんのことはガッツリ回想使ってるなーとか
新たな式神として登場してきた斬鬼丸はやけにキャラが定着してるなーとか

何か、意図的なのか?とか思ってしまいましたよ

あえて主人公のことは伏せ部分を多くしておいて、他のサブキャラの目から見た色んな嘉神くんの姿を描いて、
いつか彼が本気の絶望に追い込まれた時に嘉神くん自身のネガティブな自己認識を改装させたところに
「いやそんなことないよ」みたいなサブキャラたちがいる…みたいな

こう言葉で語るとすっごいしょぼいですけど


とにかく、「ジャンプっぽくない」ことは確かですよね

上述してきたような欠点というかポイントは、今まで普通に読んできていた「ジャンプマンガ」ならば
巧拙の差はあれどんな作品でも基本的に踏まえられていたものです

しかしそれをあえて(?)ハズしている『カガミガミ』
岩代先生がこの作品はそうした方針でいこうとおもったのを、変化の渦中にある編集部が試しに認めたのか
あるいは特に深い考えとかはないという心配が的中するような状態なのか


それはわかりませんが、まあもう少し読み続けてみることにしましょう

COMMENT▼

No Subject

主人公についてですが
まもなく訪れる災厄から世界を守る際に
白天丸の力が必要で、その白天丸に選ばれたのが
恭介であるというのが回想で描かれていると思います。
まだ起こっていないことに対する受動的な使命なので
現時点で主人公の目標が見えにくいのは仕方ないですね。
また、式神使いの戦いのあり方と
恭介の現在の強さについては来週の話でちょうど
説明されているので是非読んで下さい。
そして印象が変わったらまた記事を書いてほしいです。
あと、学校が一瞬だけ出てその後出てこないのは
もう岩代先生のお家芸ですよw

自分で考察してくマンガだと思います

タイトルはカガミガミの読む方向性について考えつけたものです
なぜそんな事を言うのかというと、岩代先生がこんなただ単純明快なバトルマンガを連載するはずなくね? という部分にあります
一般的に見れば勢いに任せた能力物のバトルマンガと印象が読書としては強いでしょう
そのためジャンプの掲載順では魅力に欠けているように見えて、割と下の方に掲載されています
ぶっちゃけ言うならば人気のない打ちきりになりそうなマンガと読者には見られているでしょう
でも岩代先生はかつてPSYRENという素晴らしいバトルマンガを描いています
人気は正直物凄くあったかと言えばそうではありませんが、16巻+小説2冊で見事な伏線回収と巧みな登場人物の葛藤を描いてくれました
まるで全てを描ききった円満終了人気作家と同様に素晴らしいラストを見せて
確かに現在物足りないと言う意見を聞くと、その通りかもと思います
でもこれは今後のこのマンガがさらに面白くなるための下準備のようなものだと思うのです
そのため、今は機を待ち今後伏線を見落とさない程度に考えながら読むのが今は一番と思います

Re: No Subject

皆様コメントありがとうございます。

ぱいなっぷるさんは、やはり前2作の成果を踏まえた期待を抱いて今作にも期待を寄せていらっしゃるんですね。
あるいは、編集部もその成果を念頭に入れてあえて「ジャンプマンガらしからぬ作劇」を容認している面があったりするんでしょうか。

ワートリのような遅効性の作品だとするなら、今の時点でわーわー言っても仕方ないですかね。


しかし、「お家芸」というところについてはやっぱり腑に落ちないですね。

確かに前2作でも学校のシーンはホンの少ししか出てきませんでしたが、それと今作が異なっているのは「学校にいく必要性があったのかどうか」なんですよ。

ひめのんは高校に行くために上京してうたかた荘にやってきました。アゲハや雨宮は最初から学生でした。つまり学校が登場する必然性が作中にあったんですけども、『カガミガミ』の場合はそれがありません。

どっかの学校に敵の式神使いが潜んでるから潜入しろ、とかでもなく、「高校は行っとかなきゃ!」などという適当な理由で編入してました。だからなぜ最初から学生じゃダメだったのか…という疑問が拭えないのです。これはお家芸とかの範囲では理解できない部分ですね。

万が一ですが、お家芸をするために学校行かせたんだとしたらそれこそ何をやってるんだということになりますけども。


式神については次回説明されているのなら、それを読んでからまた考えてみましょうか。

No Subject

一番カガミガミの一番の問題は、短い事。そして次が、前作の主人公がピーキー過ぎた事だと思います。


終盤まで主人公のキャラが弱い事は、決して問題点ではないと思います。
なぜなら、各エピソードの主役ではないから。
家族のようなマコ、同級生のサヤ、親友の開斗、見守る大人の烏丸達の、それぞれが主役として恭介に関する物語を描く、群像劇的なもの。そして、それらの集大成として、最期のエピソードで描かれる主役の恭介という形になる筈だった。
多角的な面から恭介を見て、最後に恭介の方からその絆が大切だと感じる。そこで、ようやく主人公として覚醒するということですね。

ラノベのブギーポップは笑わないが、この手法ですね。小説等では珍しくなくなった手法でしょう。ギャルゲーとかは、最後まで物語の主役にならない主人公も多いくらい。しかし、わかり易さが大事な要素となる少年誌では少ないでしょう。物語の主役がちょくちょく変わるオリジナル作品として俺が即思い浮かぶのは、アウターゾーンや咲とかでしょうか。どちらも群像劇とは異なりますが。両者ほどメジャーではありませんが、Pandora Heartsは優秀な群像劇でした。
一人称を誰にするかで簡単に視点を表現出来る文章と異なり、漫画で描こうとすると難しいというのが少年誌で少ない理由の一つでしょう。

縦軸がふにゃふにゃなのではなく、恭介を中心とした中心線でストーリーが描かれているわけですね。ただし、中心となる太い線はホローラビットと恭介を結ぶ線であり、恭介とマコを結ぶ線はそれと殆ど並行に並んでいる。だから、マコは最初と最後に活躍する立場になる。

しかし、前作のアゲハの印象が強すぎて、ファンが期待する物と描こうとする主人公が真逆過ぎた。サイレンのファンが求める物と異なるため、既存のファンが逆にアンチ的な存在に変わってしまうという問題になってしまった。
サイレンのファンの多くが、キャラクターよりも世界観とか表現が好きなタイプだったら、もっと良かったのでしょうが。



開斗や烏丸を主役として見れば、友人やヒロイン、後輩、ライバルなど充実した人間関係と、しっかりと過去もあり、実力もあって(2人とも三大派閥の頂点であり、大人の烏丸に恭介が負けても弱いとは言えない筈。大人として、最初の壁兼導き手となっていた筈)、十分にキャラが立っている。女性ウケを狙っているのか、両者ともホモっぽい雰囲気があるが。
十分な期間があれば、サヤも学校編のヒロインとして活躍して、作品を華やかにしたと思う。使命に無関係な日常を描く事は、使命の為に捨てる重さを描く為に大事な意味がある。
開斗は、成長と人間ドラマも描かれる予定だった事が、単行本のオマケ漫画やイラストで分かる。

それぞれが主役だと読者が納得できる期間が有れば、最後の一歩手前の主役にマコが立った時に、ついに真のヒロインとして立ったという感慨があり、最後の主役として恭介が立った時の感動と動機への説得力があるというものだと思う。
それが無いから、空気な主人公として恭介が否定されるだけになってしまった。


尺が有れば全然違ったのは、式神戦についても言えると思う。
先述のように、開斗には成長する設定があり、作中で恭介の新技が披露されていたりもした。もっと色々な戦闘を楽しめた可能性が高い。
そして、最初に最強技である完全憑依を使い、欠点を補う為にアレンジを行いつつも、最後は再び最強技である完全憑依という展開は、本来は非常に熱い展開の筈だった。ガンダム00等、ロボット物にある最終戦闘で最初の機体で戦うというパターンと同じ筈。しかし、期間が短いせいでアレンジである部分憑依を使う期間が少なすぎた為に効果無しというオチ。

式神そのものについても、尺の短さが問題になった。
最初は定番の設定ということで深く説明せず、お約束という事で受け入れてもらう。そして、各戦闘で設定を説明し、本筋と絡む事で少しずつ隠されていたの詳細が分かるようになっていく筈だっただろう。
詳細な設定を決めていても、最初に全てを出そうとすると、オ◯ニーと嘲笑されて読者に受け入れられる事は少ない。だから、少しずつ各シーンで説明し、読者の納得が出来た時点からが本番だった筈。
本来なら、ヒロイン中心の学校や町中の事件を通して、もう少しゆっくり設定を説明したかっただろうが、テコ入れとしてバトル要素を先にしたんだろう。
それが、トーナメント序盤で基本ルールの説明が終わろうかって時に打ち切り進行へ突入してしまい、最後まで読者には設定を説明し続けるだけになってしまった。応用編については、最終巻の描き下ろしイラストの中のみというハメに。



プロット段階を予測すると、編集がGOサインを出すのも納得の、面白そうな代物なんだよな。実際、俺は楽しめた。
読者が求めるキャラクターとのギャップと、それによる人気低迷で短期化したことが問題だった。少なくとも、サイレンの半分は連載出来る前提で話が考えられていたのだろう。最初に出された物が最後に出て来るっていうのは、長い程衝撃が大きいからな。灼眼のシャナなんて、9年の積み重ねの集大成だったし。



何があれば、この作品が変わっていたか。
それはエロスだ。
絵柄が垢抜けていたから、エロいシーンが増えれば男性読者は少なからず惹かれていただろう。
女性読者には引かれていただろうが、ホモっぽい要素を入れても食いつきが悪かったように、作品の方向性と女性読者の求める物が違うから最初から切り捨てて良い。深い世界観作って、斬新な表現や展開を用いても、表面しか理解しようとしないから。進撃の巨人が話題になった時とか、「凄く深い世界観なんだよ。」「どんな風に?」「よく分からないけど深いんだって。」みたいな人が多かったのでは?少なくとも俺は、3人に同じような事を言われた。
キャラクターを求める人は、やはり可愛いキャラやエロいキャラ、格好良いキャラは好きだろう。開斗は格好良いキャラに分類されるだろうが、真打ちの式神で格好良く活躍する前に連載終了してしまった。ハヤテのごとく!でも言われていたが、エロは瞬発力があり、分かりやすい武器なんだよな。
作品の向かいたい方向性とは異なるだろうが、ニーズを上手く取り込む(下手に取り込んだのがホモ要素だな)ことも、必要な事だと思う。
それで長く連載出来れば、描きたい事も描けたわけだし。
その辺りを極め過ぎているのが、To Loveるダークネスだよな。エロいシーンばかり話題になるが、ストーリー自体は結構真面目な展開を進めていたりするからな。



長編向きの作者なので、打ち切り無しでの超大作を見てみたいものだ。
絵だけでも最低限の人気を確保出来る人と組んで原作者になれれば、面白さが後からでてくるようなタイプの作品でも良いだろうし、そういう方向性も探して欲しいな。
矢吹神にエロ要素を加えさせて描いて貰えれば、ストーリー展開は遅くなっても、それ以上に連載期間延長してストーリーを進められるんだろうな。

いっそのこと、雑誌や会社そのものを移動する方が才能を活かせる気がする。

Re: No Subject

いつの記事でもコメントは大歓迎ですよ。

いや、でも今回の場合はコメントと言うか、むしろガチの考察と言っていいくらいの文量で思いっきり語ってもらっているので、こちらのほうが恐縮です。

こんだけのことを書けるくらいに思い入れを持って読んでいた人もいらっしゃったんですね。


読ませていただいて、一番強く思ったのは「編集部の見立てが甘すぎたのではないか?」ということでした。
コメント中では繰り返し「尺の短さ」を指摘されていますが、それならばなぜ連載を始めることができたのだろうかと。

もともと新連載作品が長く続けられるなんて保証がないジャンプにおいて、描写が短いことがここまで致命的になる作品をどうして連載させたのだろうかという疑問が拭えません。
前作の実績から人気を取れるだろうことを見込んでいたとすれば、見込みが甘すぎたと言えるんじゃないかと。

ジャンプの定型パターンで進めるつもりが初めからなくて、じっくり話を進めていこうって作品だったのなら打ち切りの決断を下すのも早すぎたのではないかと。
総じて編集部の方針が一貫していないように感じてしまいました。

必要性として指摘されたエロについては、NEXTの袋とじで水着描いてたりしましたけど、それだけじゃあ全然足りなかったんでしょうね。


岩代先生が長編向きの作家さんであるというのは同感です。だからこそ、PSYRENに続く長編を読みたいと思っているのですが、もしもジャンプと相性が悪いということになるのなら、移籍も視野に入れたほうがいいのかもしれませんね。

No Subject

NEXTで評判取っても、本誌でのアンケートで票を取らないと無意味なシステムなのが勿体無いですよね
。テコ入れなのか浴エピソードを描いていましたが、男女共に描いていて、狙いが中途半端。単行本用の描き下ろしみたいな思い切った絵を入れるなどしないと、今時のエロスとしては弱い。
逆に女性層を狙うには、男の入浴シーンって効果が薄い。まずキャラが気に入られていなければいけないので。
票を集めようとしたのが遅すぎるし、そこでターゲットを明確にしきれなかったので効果が薄かったというオチ。
増える女性層を客層として取り込みたいという考え方は自然だろうが、作品の本質との相性が悪いから狙い所を完全に間違っているんですよね。やおいが好まれるように、ストーリーの深さとかは求められていませんからね。妄想の幅が広い物は求められても、考察の幅が広い物は別に求められていないんですよね。女性にも人気の進撃の巨人やエヴァは、考察する事を好まれず、考察出来そうな雰囲気を好まれているだけですから。


担当編集は、見積もりは甘かったのは確かですが、完全に間違っているとは言えないんですよね。
前作の人気を頼りにしつつ、他の客層を獲得出来るように、絵柄を刷新させ、女性受けし易い要素も入れた。まずは広く知られてこそファンがつくわけですから。
絵だけで客を引けるのは一時的だから、ストーリー上は序盤で独特の面白みが出るわけでもないから、別の要素で引き込む。その点は良いのに、主人公をアクの強いキャラにするわけにもいかないから、前作の様にヒロインをピーキーにしたら前作の二番煎じと揶揄されつつもファンに受け入れられただろうが、ホモっぽい要素を選んでしまった。女性層を狙った所で効果が薄いのは、上記の通り。
無難な方針をとろうとしつつ、要所で間違えて既存のファンにも新規のファンにも非効率な見せ方になっているというオチ。


バクマン読んでいなかったし、アオイホノオも時々しか読んでいないので、編集部全体での打ち合わせとかがどの程度行われているか知らないけれど、編集部全体としては最初から長続きさせる気は無かったのでは?新しいコンセプトの作品を書かせて、後に超人気作になれば良し、その可能性があってもそれまでに売上に貢献しないなら切るってつもりなんでしょう。良い作品を作る事や、単行本を売る事ではなく、雑誌を売る事が目的でしょうから。
そして、ジャンプ編集部に先見の明が無く無能であることは、武装錬金やブラック・キャットなど、打ち切り後にアニメ化もされる人気作が有る事から分かりきった事ですよね。
そういえば、武装錬金の和月のガンブレイズウェストも打ち切りでしたが、これも長くやる程面白くなる筈だった作品なのに、最初の必殺技習得直後から打ち切りに向けた進行に入っていますからね。
前作の七光を使いきるまでに新作自体の人気を取れるならOKっていう、人気作を作れた作家への褒美みたいなものなんでしょう。
そこで失敗した作家は、既にオリジナルのネタを他の人に知られ、既にある作品の続きなんて簡単に描けないから(原稿料無いのにシャーマンキングを完結させた武井は、漫画家の鑑)、ネタの出し損という地獄になりますが。


アニメ業界が有名ですが、漫画家も才能の使い潰しがヒドい業界ですね。
pixivで連載の続きを書いて販売している漫画家もいますが、著作権とかの問題が有るでしょうし、個人では取材の取り付けとかも困難。
人気漫画家を中心とした、互助組織が有れば良いのですが。赤松氏のJコミは、既に販売されている作品に対するものだし、漫画家が使い潰されない為の労組みたいな感じの物が作られたら良いのでしょうが。
富樫とか圧倒的な才能のある作者なら、組織が無くても好きなように出来るようですが。

Re: No Subject

ご返信ありがとうございます。

岩代先生の才能を活かしきれないことへの憤りが強いのか、編集部に対する評価が辛辣ですな。

最近の変化を一応好意的に感じている立場としては、「まあそれでも編集部も頑張ってるんやで」っていう感じもありますけども。

それでも、本作については色々と間違いまくっていたことは確かなのでしょう。

マンガ家がどんな作品を構想するにせよ、そこには編集部の方針とは別に「読者の傾向」も読み取らなければならないはずで、ジャンプ誌上で人気を獲得するにはどうするのがいいかを一番わかっているのは編集部であるはずというのは大前提。その上で作品の核を失わない程度にジャンプ読者向けにしないことには、どんな大作の構想であってもそれが現実に描かれることはないのでしょう。

然るに、そうした工夫や試行錯誤を凝らそうとした跡があまり感じられなかったよなというのが、ご指摘の評価や本作の内容を振り返って俺が思ったことです。どうしてこれを連載させようと思ったのかという印象はまさにそういうことですが、読んでいくに連れて「どうしてこれで人気が取れると思ったのか」との感じも強くなっていったように記憶しています。

やってみた工夫がことごとく的を外していたせいでもあるのでしょうが、いつも「ふーん」という感じで話が進んでいくばかりでちっとも盛り上がらない。担当編集は何をやっているんだと、連載中は疑問に思っていました。


マンガ家は潰しが効かない職業と言えるでしょうか。才能は使い潰されて、仕事には潰しが効かないとは皮肉にしても笑えませんが…
たとえ打ち切りにしてもジャンプで一度連載できたらどれくらいの収入になるんでしょうかね。それが残っている内に岩代先生の新作を読みたいですけどねえ。

No Subject

寧ろ、編集部への憤りが激しいので、ここでも辛辣な評価をしているという感じでしょうか。
引き伸ばしさせた挙句に、打ち切りみたいな感じで終わる作品とかも有りますし。


少年ジャンプの原稿料を検索してみると、新人は1ページ9000円らしいですね。
一説では、手塚治虫の10万円は超えてはいけないという不文律があるとか、中堅で2万程度、大人気作家で5万円程度だとか。
カガミガミが5巻で1冊200ページ弱、計900ページで1ページ2万円なら原稿料だけで1800万円程度でしょうか。約1年連載での収入なので個人の年収としては十分な額でしょうね。ただ、アシスタント5人程度の給料を払うと考えると、結構厳しいですよね。印税で稼がないとろくに儲けが出ない。
印税はだいたい5~10%なので、1冊あたり30円程度でしょうね。
1冊あたり1~2万部の売上のようなので、5巻で150~300万円程度。
漫画だけで食べていける人って、本当にごく一部という事なんでしょうね。


漫画家は、潰しがきかないとは限らないですよ。
絵が上手い人なら、イラストレーターとして活動する人もいます。すぐ思い浮かぶ人だと、ネトゲの嫁のイラストレーターとかですかね。
漫画家兼イラストレーターをやっていたのが、フォーチュンクエストのイラストレーター。
イラストレーターとして売れたから漫画を書けたのが、ブギーポップのイラストレーター。
絵の才能ではなく、ストーリー作成の才能が活かされて小説家になった珍しいパターンが、ソードアート・オンラインの著者ですね。

岩代先生は、カガミガミの絵は綺麗だし、ストーリーを作る才能は有ると思うので漫画以外でも稼ぐ事が出来そうです。
でも、漫画家って、絵が汚くても構図とかストーリー、ネタ等の総合で面白い作品で売れている人も少なくないので(最近のジャンプって、そういう漫画家が特に多い感じ)、そういう人はイラストレーターをする事が難しいでしょうから、潰しがききにくいでしょうね。
しかも、イラストレーターって、専業で稼げる人はごく一部でしょうからね。単発の仕事が多いでしょうし、継続した仕事となるとゲームや小説などが多いでしょうが、それだと自分以外の人の能力による所が多いでしょう。そのせいも有るのか電撃文庫では、売れた作家とイラストレーターを固定ペアとして扱うようになり、安定感を出そうとしていますね。ゲームのFateシリーズのイラストレーターは、昔は絵が下手と言われていたものの、ストーリー作家の才能を見出して自ら育てて(生活を養ってという面でも)成功したという、特殊な人だったりしますが。

結局、バイトとしてアシスタント業をするというのが、無難って感じになるんでしょうね。

Re: No Subject

おお、またしてもご返信が。すげえw

ジャンプ編集部に対する強い憤りは、俺も持っているものではあります。ただ、以前はともかく最近のジャンプからは「変わろうとしている意志」は感じられるためそれを受け入れようと思っておりますが。

原稿料と印税を想像するとそんな感じなんですね。古味直志先生がニセコイの読み切りを載せる時が前作での収入が底をつきかけていてマジでヤバかったとインタビューで答えていましたけど、単行本3巻の打ち切り作品で2-3年は何とかなるんですね。アシさんのバイトはしてたかもしれませんが…。普通のバイトをしようとすれば原稿を描ける時間がないだろうことを考えると、やっぱり何かを描く仕事で繋いでいる方がいいんでしょうね。練習代わりにもなりますし。連載にしろ別の形にしろ、その練習が実を結ぶかどうかというのは別の話なんでしょうが…。

何年も前のNEXTや赤マルに読み切り載ってた人で、今何やってるのか全然わからない人なんて大勢いますからねえ…。昔の赤マルとか読んでると「まだこの人は頑張ってるのかなそれとも」とか思って悲しくなる時があります。
マンガ家になるのも難しいことでしょうし、天下のジャンプで成功しようってのもさらに難しいことなんでしょうね。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

TRACKBACK▼

http://sclpsn.blog.fc2.com/tb.php/1079-85bd5f77

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | ホーム | 

カレンダー+最終更新日

03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

新着記事+関連エントリー

人気&オススメ記事1

タグクラウドとサーチ

プロフィール

rexel

Author:rexel
ジャンプ歴20年。ジャンプ最新号を読んでる時は、ゾーンに入ってると思う。

ジャンプヒロインズは俺の心のオアシスです。
中でも小野寺さん照橋さんを応援しています。そして邑楽派。



コメント返信の方針を考え直し中。



ついったー。

RSS リーダー

月別記事アーカイブ

マンガ・アニメ系サイトリンク集

以下のリンクから他にもマンガやアニメについて記事のあるサイトをご覧頂けます。

○ブログランキング集

FC2Blog Ranking

にほんブログ村 漫画ブログ 週刊少年ジャンプへ

○姉妹サイト
ジャンプマンガの描き方教えます
○アンテナサイト
ジャンプ感想サイト更新チェック

○マンガが読めるサイト
ジャンプトレジャー新人漫画賞受賞作品一覧
絶版マンガ図書館

○マンガ・アニメ感想考察系サイト
(更新停止)
たらさいと
アスまんが
アニメな日々、漫画な月日
台風ゆめかたつ
つながりこそがせかいをつくる
現実逃避
 ┗サイト紹介
あまぐりころころ
働いて飯を食いジャンプを読む、ついでに漫画やアニメも見る

○毎週ジャンプ感想を読ませてもらっているサイト
決闘王F.Kのブログ
君と僕の歌う詩
楽しければよかろうのブログ
北区の帰宅部
 ┗サイト紹介

○マンガ作者サイト
内水庵
おさむ日誌(休止中)

最新画像一覧

カウンター