社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

03<< 123456789101112131415161718192021222324252627282930 >>05

ニセコイ 小野寺さんに「ニセコイ」は起こり得るか否か

18巻表紙の小野寺さん


先週考察したこちらの記事の続きとなります

ニセコイ それぞれのヒロインの「ニセコイ」と「マジコイ」を考える


18巻以降のネタバレを含んでいるので注意してどうぞ









上記記事では、本誌での羽のセリフを手がかりとして、この作品における各ヒロインズに秘められた「ニセコイ」と「マジコイ」を
考察してみました

その中で、小野寺さんだけが唯一最初から「ニセコイ」を持たないヒロインであったと結論づけたわけですが

そうなると次に湧き上がってくる疑問が1つありますね


今後小野寺さんに「ニセコイ」が発生する可能性はあるのかどうか


小野寺さんと同じく、マリーも「ニセコイ」を持たないヒロインとして考えられるとしましたが
しかしマリーの場合は、かつて存在した「ニセコイ」の可能性が、楽が変わらないままでいてくれたことにより消滅したものでした

すなわち、マリーにはもう「ニセコイ」は起こらない
せいぜい御影のために千棘と同じような「付き合ってるふり」をしたくらいですね
それとてもあっさりバレていたわけですが…

マリーには、かつてあった「ニセコイ」に至る可能性が消滅した
では最初から「ニセコイ」の無かった小野寺さんはどうでしょう
今までは無かったものが、今後起こってくる可能性はあるのでしょうか

あるとすれば、それはどのようなものでしょうか


小野寺派としては不吉な内容でもあり、好き好んで考えたいものではありませんが
『ニセコイ』という作品をもう少し深く理解するためにあえて考えてみましょう


可能性1:恋心を疑う


その可能性が「ある」とした場合に、じゃあどんなことになるのかを思いつく限り考えていきましょうか

1つ目は、恋心を疑うこと
言い換えるなら、「これは恋ではないのではないか」と疑うことです

いくつかの不幸と不運が重なったことで、孤独になってしまったと思った羽が、楽を求めた感情を「恋ではなくただの執着ではないか」と
自ら疑ってしまったことと似たものです

そんな風に、小野寺さんが自分の恋心を「実は別の感情なんじゃないか」と疑ってしまうこと
そんな事態はありえるでしょうか


いや、ありえない



ありえるわけがない

詳しく説明するまでもないことですけど、小野寺さんは自身の気持ちを紛れも無い恋だと認識している
妹から「どんな人なの?」と聞かれて、楽の人となりを説明してるはずが「好きな理由」を語ってるようになっちゃうくらい恋しています

「おはよう」「またね」なんて他愛もない挨拶を交わせることが嬉しい
一緒の高校に行くためだけに志望校を変えられるし、勉強に必死になれる
手をつなげば鼓動は早くなるし顔は赤くなるし息は荒くなる

これが恋じゃなかったら何なんだといわんばかりに恋してますね

そして、楽に執着するような他の理由もないですね
天涯孤独の身になったわけでも、病弱だったわけでもありません

特別な事情は別に何もない普通の女の子として、小野寺さんは楽を求めた
その理由は、「恋したから」以外にはありえないわけですね

であればこそ、今後何があったとしても楽への気持ちを「これは恋じゃない」と小野寺さんが疑うようなことは
ありえないと言うことができるでしょう



可能性2:恋心を否定する


では次の可能性として、恋心に対する疑問ではなく否定が沸き起こることはありえるでしょうか
鶫のように、楽のことを「好きになってはいけない相手」だとして自身の本音を否定するようなことにはなるかどうか


結論から言えば、もちろんそれもありえないですね
理由は先の可能性1とほぼ同じでいいと思います

楽と触れ合ってドキドキしている時の小野寺さんには、そのことに対する後ろめたさは欠片もないですからね
むしろ楽を好きな気持ちに自信と誇りさえ持っているかのようで、何ら恥じ入ることはないのです


ただし、それにはバレンタイン協定が深く関係していることは間違いないでしょう

ラブコメにおける重大イベントの1つ、バレンタイン
この作品も例に漏れず、ヒロインたちがドタバタを繰り広げつつ楽へのアプローチを試みたわけですが

その中で、ダブルヒロインの2人が「互いに好きな人がいることを告げ合う」という一幕がありました
しかし伝え合ったのは「好きな人がいる」ことまでで、それが誰なのかは互いに口にすることはありませんでした

その上で、「お互いにお互いの恋を応援する、恋が叶うまでは相手の好きな人を詮索しない」という
ラブコメのヒロインとしては一風変わった(?)約束が交わされることとなりました

これを通称「ニセコイバレンタイン協定」と勝手に呼んでるんですけれども

ここで問題となるのが、実は2人の意中の人は同じ男であること
「応援しあう」「でも詮索はしない」という約束が、1人の人物を中心にして交差し、矛盾を生んでいるわけです

これでもし、そのことを小野寺さんが知ることになったとしたら


葛藤も躊躇もするでしょう
悩むことも迷うこともするでしょう


そこで採りうる選択肢に、「諦める」があります
すなわちそれは、春ちゃんと同じ「マジコイの抹消」ですね

林間学校から戻ってきた後、楽が千棘の写真を持っていたことで「本当は…?」と勘違いした小野寺さんは
あえて身を引こうとする態度を見せていたことがありました

あの時は、好きな人の好きな人が自分じゃないならば、という意味で諦めようとした小野寺さんの心情がありましたが

では、好きな人を好きな人が自分以外にもいたとしたら


バレンタイン協定が成立する直前
小野寺さんは千棘に「ひょっとして好きな人って」と、楽の名前を出しました
その時、千棘はつい勢いで否定してしまいましたが

あるいは、今度は小野寺さんが千棘から同じことを聞かれたとしたら
そこでウソをついてしまう可能性は大いにあると思われます

あるいはそれが小野寺さんの「ニセコイ」ということになるでしょうか


しかしここでのポイントは、その「ニセコイ」は楽に対するものではないということですね

恋心を執着心と疑った羽や、恋心を否定すようとする鶫や、想い出の中の楽に恋して生きるしかないかも知れなかったマリーや
ニセの恋人関係にある千棘
「ニセコイ」のあるヒロインたちはいずれも楽との関係の中にそれがあるわけですが

千棘に対するウソを小野寺さんの「ニセコイ」とするならば、それは楽ではなく千棘との関係の中のものになりますね
それもある意味で恋心を否定することになるかもしれませんが


なぜ小野寺さんには「マジコイ」しかなかったのか


ではここで、視点を変えてみましょう

小野寺さんに「ニセコイ」が起こり得るかどうかではなく、小野寺さんにあるのはなぜ「マジコイ」だけだったのか


一言で言えば、それはきっと記憶をなくしているからではないかと思うんですよね

かつて約束したあの夏の出来事を、ほとんど忘れてしまっていること
そのために、小野寺さんには「マジコイ」しか残らなかったし生まれなかった、と思うのです


これは、小野寺さんと似た立ち位置にあるマリーとの明確な違いでもあります

ニセコイ 小野寺さんとマリーにある1つの共通点とそれがもたらす効果


かつて上記記事で、小野寺さんとマリーに1つの共通点があることを考察しましたが
そんな相似点を持つ2人にある明確な違いが、「あの夏の出来事に関する記憶の有無」でした

羽はおそらくほとんど全てを覚えていて、マリーはどうやら自分に関係する部分を中心とした一部分を記憶しているようで、
そして小野寺さんは想い出の欠片をわずかに覚えている程度で、ほとんど無いに等しい状態です

それによって何が起こっているかといえば、小野寺さんは楽に2度目の初恋をしたということなんですよ

ひと夏を共に過ごしたことで、好きになってしまった11年前
どういう事情か、そのことをすっかり忘れて再会した中学時代
何を意識するでもなく、何となく自然に惹かれてしまいました

当時のことをほとんど覚えていなかったのに、また楽に恋をしたわけです
それは、その気持ちが本当に本心からのものであることを示すと言っていいでしょう

対して、一部でも記憶のあったマリーは、覚えている楽の人柄と今の楽が違ってしまっていることを恐れました
10年を経て、好きな気持ちはますます強くなっていましたが、同じくらい楽の変化にも不安を抱いていました

もし小野寺さんにも記憶が一部残っていて、中華丼をぶっかけた時に「あの夏の」と気がついたとしたら
そこから楽を意識することは間違いないとしても、どんな風に変わっているかについて不安を覚えたことでしょう

それでなくとも、マリーのように積極的にはおそらくなりきれない小野寺さん
もし、再会した楽との関係が「好き」から始まっていたとすれば、その後に楽を見る目や接する態度が
違うものとなってしまっていたかもしれません


つまり、再会した時に記憶がなかったからこそ、小野寺さんは自然に楽に惹かれていき、
自然な形で「マジコイ」を抱くようになった

それは、どこにでもある普通の恋であり、そこにあるのは普通の青春模様

だとすれば、特別な事情としての「ニセコイ」が起こり得る余地は全くなかったと言うことになるでしょう



「ニセコイ」が起こっているのはむしろ楽


小野寺さんに「ニセコイ」が起こり得ないとすれば、それが発生してくるのはむしろ楽であるでしょう

冒頭でリンクした記事に少し書いていますが、楽が今千棘のことで動揺しているのがそれにあたりますね

すなわち、「俺は本当は小野寺さんではなく千棘のが好きなのか?」という恋心への疑問です
これもまた、恋心の中身を疑うという意味で「ニセコイ」と言えるものでしょう

今まで小野寺さんを好きだと思っていた気持ちは「ニセモノ」で、「ホントウ」は千棘だったのか?という
楽の疑問による「ニセコイ」 です

それが小野寺さんにどう影響することになるのかは未知数ですが、
小野寺さんには「マジコイ」しか無いことは確実と思われます


COMMENT▼

可能性3

・11年前の記憶が甦り、今と昔の楽が混じって困惑する。
楽に惹かれた部分が昔の楽とオーバーラップしてしまい、今の楽を好きなのではなく、
その幻影を追ってしまっているのでは?と疑念を抱いてしまう。可能性2の変質版ですね。
最終的に昔の恋と今の恋の混同から醒め、本当の意味でのマジコイへと変わる。

ってのはどうでしょうか?

一部訂正

可能性2ではなく「可能性1」でした。

No Subject

ラグエルさんが深読みしたようです(←

一番有り得るのは楽の側ですかねぇ。
動揺した時に小野寺さんより千棘が浮かんでるし・・・

Re: 可能性3

皆様コメントありがとうございます。

妄想屋さんの指摘通り、ラグエルさんが深読みされてますね。。
しかしその可能性はさすがにないかと思いますが…


あの夏の頃から楽の心根が変わっていないことはマリーが証明していますので、マジコイを強めることにはなっても昔の姿の幻影を追っていたなんてことは起こらないかと。

つまり、かつての約束の詳細が判明することは「マジコイ」の強化につながるものだと考えられないでしょうか。それは小野寺さんだけでなく千棘にとっても同じでしょう。日記を読んだことが楽を意識するようになったきっかけであることを考えれば、その詳細を知ることはいよいよ好きな気持ちを高まらせることになるはずです。

そうした高まった2人がどんな行動を取るか、2人に楽はどんな言葉を掛けるのか。妄想するならばそんな感じでしょうか。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

TRACKBACK▼

http://sclpsn.blog.fc2.com/tb.php/1073-85da74da

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | ホーム | 

カレンダー+最終更新日

03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

新着記事+関連エントリー

人気&オススメ記事1

タグクラウドとサーチ

プロフィール

rexel

Author:rexel
ジャンプ歴20年。ジャンプ最新号を読んでる時は、ゾーンに入ってると思う。

ジャンプヒロインズは俺の心のオアシスです。
中でも小野寺さん照橋さんを応援しています。そして邑楽派。



コメント返信の方針を考え直し中。



ついったー。

RSS リーダー

月別記事アーカイブ

マンガ・アニメ系サイトリンク集

以下のリンクから他にもマンガやアニメについて記事のあるサイトをご覧頂けます。

○ブログランキング集

FC2Blog Ranking

にほんブログ村 漫画ブログ 週刊少年ジャンプへ

○姉妹サイト
ジャンプマンガの描き方教えます
○アンテナサイト
ジャンプ感想サイト更新チェック

○マンガが読めるサイト
ジャンプトレジャー新人漫画賞受賞作品一覧
絶版マンガ図書館

○マンガ・アニメ感想考察系サイト
(更新停止)
たらさいと
アスまんが
アニメな日々、漫画な月日
台風ゆめかたつ
つながりこそがせかいをつくる
現実逃避
 ┗サイト紹介
あまぐりころころ
働いて飯を食いジャンプを読む、ついでに漫画やアニメも見る

○毎週ジャンプ感想を読ませてもらっているサイト
決闘王F.Kのブログ
君と僕の歌う詩
楽しければよかろうのブログ
北区の帰宅部
 ┗サイト紹介

○マンガ作者サイト
内水庵
おさむ日誌(休止中)

最新画像一覧

カウンター