社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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小野寺さんの声が、笑顔が、涙がほとばしる!ニセコイ: 第11話


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ニセコイ: 第11話



期待も予想も想像も超えた傑作がここにあった…



あらかじめ言っときますけど、超長いよ












待った甲斐がありました

こんなにも美しさあふれる仕上がりにしてくれるとは予想以上でしたよ
ここ数回の作画不調がこのためだったとすれば、全て許せます

同志スタッフの力を結集して、これでもかと気合も力も熱も入りまくった珠玉の回となっておりました






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Aパート「ヤセタイ」

原作通り、新作和菓子の味見をする小野寺さんから始まりますが
食べた後の様子が『食戟のソーマ』ちっくだったのはわざとでしょうかw

でも紅葉の赤茶色と、茶色がかった小野寺さんの黒髪とが絶妙にマッチして
生まれていたのは得も言われぬきらびやかさ

一発で引きこまれていきますよね






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そうして引きずり込まれたところに、続けざまぶっ込まれる姉妹のいちゃいちゃ

小野寺さんのほっぺをぷにぷにつねつねしちゃう春ちゃん

嗚呼、生まれ変わったら春ちゃんの親指になりたい


からの、本題

壊れた体重計にそうとは知らずに乗って、大ショックを受ける小野寺さん

予想していたとおり、ここから小野寺さんの中の人花澤香菜さんの超無双が始まりました





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10話の簡易記事で想像した通り、今回アニメになった原作回はどちらも小野寺さん視点で展開する話であり
必然的に小野寺さんのセリフが多くなる回でした


それを踏まえて見始めたこの第11話

ショックを受ける小野寺さんの心の叫び
落ち込む小野寺さんの悲痛な訴え
ラスト、楽の言葉に救われた小野寺さんの嬉しさが止まらない声


花澤さんお見事です


まじすげえわ…


るりちゃんに聞いてみる時のこっそり声や
ダイエットを強く決意する時の意志に満ちた心の声
予期せずお腹が鳴っちゃった時の絶望的な声

ゲホゲホなんて急に咳き込みつつ、そんなことでごまかせるわけないとよくわかっているために
もう泣きそうになっちゃってる心の声は、見ていてグサグサ刺さってきましたよ


二度目のお腹の時は、鳴ってる吹き出しを粉々に破壊する勢いで自らお腹を叩いて
かすれた声で「だいじょうぶだよ…」と取り繕うのも見事

そらあんな勢いで腹殴ったらまともな声なんか出るわきゃないw






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千棘との会話で以前約束したというケーキバイキングの話題になった時も

「そんな約束してたっけー!?」

の心の叫びが衝撃にあふれまくっていました

おかげでお腹が鳴ったくだりからのテンションを一切崩すことなく
自然にこの場面につなげることができているんですね

だから、小野寺さんの焦りと葛藤と決意が如実に感じられる

文字だけで描かれる原作では若干あっさり目なテイストにもなっていただけに
声の調子による場面間のテンション維持というのはなかなかの高等技術だと思います


いや、さっきからアニメになったことによる新要素である「声」ばかりを絶賛していますけど
アニメ自体の出来も結構なレベルにあるんですよ

何がって、ことごとく原作に沿って作られているんです
忠実すぎるくらい忠実で、構図もそのままセリフは吹き出し外の手書き言葉まで拾い上げて
それこそそっくりそのままトレースしてなぞったようなものに仕上がっているんですね

だから声によるさらなる装飾と演出が見事にキマる


それも、言い方によってそこにある真意が正反対に変わってくるような複雑な場面はありませんから
原作を読んで想像していた通りの感情がそのまま声になって現れてくるわけです

その声も絶妙なほどに想像した感情を表現してくれていたとくれば
これはもうドハマりする以外にありえないでしょう







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そして早弁しちゃう小野寺さん

ケーキの話題でますますお腹が辛くなったからって、早弁なんて結論に達しちゃうのは
さすがの小野寺さんも冷静さを欠いていると言えますね

しかも、そんな渡り廊下?の隣で食ってりゃ即効でバレるに決まってるw

短い休み時間に、こっそり食べられるような気の利いた場所までは行けなかったというのもわかりますけれども
さすがにそれはw

先ほど原作に尽く忠実に作られていると書きましたが、実はここで、早弁している小野寺さんが楽の顔を見上げるカットは
原作にはなかったものなんですよね

忠実に作りながらも、隙あらばそういうのをねじ込んでくる同志スタッフの気概
とってもいいと思います


女の子が早弁してるところをよりにもよって好きな人に見つかって落ち込んだ結果、ラクガキになってしまった小野寺さん

Bパートにもラクガキになっちゃった小野寺さんは出てきますが、実はここでも小野寺さんラクガキになってました

皆が移動を始めた時に顔を上げた時のこの表情ひどいだろw







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次の授業が体育だと気づいて、一番やらなきゃいけないことを思い出した小野寺さん
落ち込んでいたところから一気にやる気を取り戻せる切り替えの早さは、聖女の如き人格のなせる業でしょう


でも運動する中身は水泳でした

カナヅチな小野寺さん
太ってると思って困ってる時に、水着な小野寺さん


しかし嫌がってみても、水泳といえばダイエットの定番運動
むしろ前向きにやる気を見せる小野寺さんに、るりちゃんも乗ってくれました

ていうかるりちゃん、「わたし太ったと思う?」なんて聞かれた後の水泳なんですから
珍しくやる気じゃない、なんて言わずに察してあげてください

とは言っても、朝ごはん抜きの上に早弁を目撃されたショックでライフゼロな小野寺さんは
どっちにしてもおぼれてた気がしますが…





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で、1日すったもんだの成果を体重計に求めてみれば、マイナスどころかさらにプラスされてた乙女の重力

あそこまでの恥を晒しておいて、逆効果にしかなってないとはそりゃ落ち込みますわ…

か細く絞り出される「ぜんぜんだいじょうぶだよ」の声が痛々しいことこの上ないのである






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からの、大学いも

楽がこんにゃくの煮付けを作ってきた「ウラナイ」はアニメになってないので、アニメしか見てない人には不親切でしたけど
まあ多分そんな奴は居ないだろうというシャフトの先読みですよね


小野寺さんの大好物という大学いも

大学いもってこんなに金ぴかなの?
『幸腹グラフィティ』で料理の描写に無駄に慣れちゃったシャフトがキラキラを増やしてるとかじゃないの?


そしてこの時の心の叫びも花澤さんの演技が光りまくっていました

性質としては、千棘にケーキバイキングの話をされた時と同じものなんですが
ショックと同時にある感情は「嬉しい」ですね、ここでは

好きな人が好きなモノを作ってくれたという最高の瞬間が目の前にあったわけです
そりゃあ小野寺さんだって我くらい忘れますよ

でも、すんでのところで思い直した小野寺さん

必死にこらえてごまかして取り繕って、その場を逃げ出すことで何とか誓いを守り抜きました





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それでも拭い切れない罪悪感と後悔

好きな人が明らかに自分のために作ってきてくれた大好物を、自分だけの理由で拒絶して逃げ出してきた後ろめたさ

澄み切った心の持ち主である小野寺さんが、そんなことをした自分自身を嫌悪しないわけはありません
それは、太っちゃったという自己否定と合わせて小野寺さんの自己評価を果てしなく低下させるものでした


ここでも花澤さんの演技が光るんです

「…何やってるんだろう」から急に調子が変わるんですよ
コメディ色が一切消えるというか、声に艶が出るというか

野暮な言い方をすると、「ここからガチですよ」という製作側からの無言のメッセージになるわけです





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そこに、お茶を持ってきてくれる楽

この楽は結構イケメンでしたねー


せっかく作ってきた大好物を拒絶されたことを全く責めるでもなく、むしろ「そのくらい体調が悪い」と認識して
食べるのが無理ならお茶飲むくらいなら…?と、ひたすら気遣ってみる

確かに、食べるよりも飲むほうがハードルとしては低いものになるんですが
それを入手するハードルも同じくらい低くなるんですよね

大学いもを作ってもらうのは結構な手間だったりするでしょうが、ペットボトルのお茶くらいなら
別に楽からもらわなくてもいいものなわけです

それでもあえて、楽はお茶を用意しました

小野寺さんのために何かせずにはいられなかったからですね
小野寺さんもまた、楽のそんな気持ちを感じ取って、ついさっきは自己嫌悪に陥っていたというのに
嬉しくてしょうがない

原作にはなかったお茶の受け渡しのシーンは、お茶が象徴する楽の優しさを強調したかったものでしょう
だから小野寺さんは受け取ったお茶を抱きしめたわけです


そこに楽のトドメの一言

「小野寺細いんだから、ちゃんと食わねーとぶっ倒れちまうぞ?」


見事ですね



体重計の表示よりも妹の冗談よりも親友のからかいよりも、好きな人の言葉ならそれが信じられる

誰に太ったと思われようと、好きな人が細いと言ってくれるならそれだけで救われる


好きな人にだけは知られちゃいけない乙女の重大な機密を、知らないままに解決してくれるという運命のめぐり合わせ
小野寺さんが最も求めていた言葉と、事情を知らないまま口にした楽のセリフの一致は、
好き合っている2人の思考のシンクロと言ってもいいものでしょう


だから、小野寺さんは思わずニヤけてしまいました

原作と同様あえて後ろからの構図にされていますが、声から嬉しいがこぼれて笑顔があふれているので
小野寺さんがどんな顔になっているのか聞くだけで分かります

これもまた、原作に忠実に作りつつも「声」によって演出効果を高めた1つですね

「んーん、別に」からほとばしる嬉しさといったら…!


そしてオチは春ちゃん
壊れた体重計の表示にビビって、信じられずに試してみるポーズが小野寺さんと同じという
別の形のシンクロがここにありましたw




ただ、さすがにこのシーンは入れられなかったか…というのがこれ




ひあわせな小野寺さん

楽のトドメによってすっかり悩みが吹っ飛んだ小野寺さんが、楽の作った大学いもを存分に堪能している姿です
コミックスの空きページに描かれたこれはさすがに無理だったか…という、ね

1期の神回「タイフウ」でも、るりちゃんにケリを入れられる小野寺さんという後日談がなかったのが残念でしたが
今回も「その後」はカットされてしまいました

「ひあわせな小野寺さん」をぜひともアニメで見てみたかったですけどねえ

さすがに無理だったか…

いや、オープニング削ればいくらでも尺はあったはず…!
…というのは流石に無茶か



さ、そしてここからがBパートの話です
つまりこれでようやく半分なのです

別に普通くらいの長さですよね?





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導入は、学校へと登校する小野寺さん

家を出て、団地街を抜けて、大きな通りへ出てきて、橋を渡って、電車に乗って、土手沿いへと

そこで同じく登校している皆と会って、連れ立って歩き出す


静かで平和な朝の風景
それを示すために、聞こえてくるのは鳥の鳴き声や横断歩道の音、川のせせらぎなどばかりで
キャラたちの声はただ1人も発されませんでした

家を出る時に小野寺さんが言わないはずはない「いってきまーす」さえも無音にしたのは、
このシーンで描きたかったものがスタッフにあったからですね

すなわち、これですよ



カラー扉再現


千棘を先頭にそれぞれの表情を見せているレギュラーキャラたち
これが何なのかは、玄人の方々ならすぐにわかったでしょう


これですよね



2周年巻頭カラー


そうです

今から描かれる「オハヨウ」がジャンプ本誌に掲載された時のカラー扉です

連載2周年記念巻頭カラーだった2013年第50号のカラー扉ですよ

サブタイコールの時は、原作のその回で実際の扉絵だったものを使うという暗黙的な了解が今までありましたが
ここでは、全員集合の扉を再現するためにわざわざここまでのことをやってくれたんですね

シャフトやるじゃないか…!!


違いといえば、楽がいるかいないか
この後の締めと関わるために、あえてここではカットされているんですね

で、楽が居ないためにマリーが冷静になっていて
マリーを静止しようとしていた鶫はポーラに見せられた画像?によって何か照れてる感じになっています

あと季節も違ってますね
アニメの時間軸では夏だったのが、本誌の方では11月発売の号だったためか冬服です

そのため、小野寺さんに抱きつこうとする春ちゃんからたなびいているのが、本誌ではマフラーですが
アニメではタイになってますね


違いといえばそのくらいでしょうか
千棘が旗を持ってるかどうかってのはまあ別にねw

一切変わってないのが、るりちゃんに膝かっくんしてる集
前回の集エピでるりちゃんエンディング流したことといい、スタッフは当然そこも意識しているのでしょうね


そして表示されるサブタイ




オハヨウ

オハヨウ

中学生な小野寺さんの語りで紡がれる、恋の序章です







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あつあつの中華丼をぶちまけた後、何がどうなったのか、楽に恋心を抱くようになった小野寺さん


このBパートでは、先ほどとは打って変わって、「声」による演出はちょっと抑え目になっている感じがしましたね
おそらく、コメディのようでコメディではなかったからでしょう

ここで描かれるのは、中学生の小野寺さんが秘めていた恋心と、それを動機とする進路を選択した小野寺さんの苦労
そして、挫折して落ち込んだ小野寺さんへの楽の変わらない優しさと奇跡的な救済ですね

るりちゃん絡みで若干ギャグっぽくなってるところもあったとはいえ、全体としてはコメディ色は薄い話なのです
なぜなら小野寺さんが恋に真剣になる話だったから

好きな人と同じ学校へ行くために必死になるという、大人から見れば単純な動機でも
本人にとってはこれ以上ない大きな理由であり、こんなに真剣になれる動機は他になかったわけです

だから、小野寺さんのやることなすことが裏目に出まくったAパートの「ヤセタイ」とは違って
ここではラブコメではなくラブの話

大切な恋心を胸に、何とかして頑張ろうとする中学生の女の子の姿なのです


中学生の小野寺さんがこんなにも可愛く見えてしまうのは、きっとそのためなのでしょう

恋に全力な少女の姿

美しく見えないわけがない






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好きな人が、自分と違う高校を進路に選んだことを聞いて一気に悩ましいことになった小野寺さんの困った表情

驚きと、ショックと、葛藤とにあふれた瞳が、あまりにも艷やかに映ります





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考えた末に、好きな人と同じ高校へ行くと決意したことをるりちゃんにセンゲンする小野寺さん
るりちゃんがすぐに察してしまえるほどに、小野寺さんは楽に惚れ込んでいたんですね

で、ここで小野寺派の中でも賛否両論あるんじゃないかと思われる小野寺さんの成績ダメな子設定

作劇の都合としては、小野寺さんは優等生だからってことで進路を変えても別に問題なく受かるなんて展開では
ヤマ場がなくなってしまうこと

だからって優等生な小野寺さんが苦戦する学校をなぜ楽は選べたか受かれたか、となるのも微妙で
結果、楽は普通に受かるような普通のレベルの高校だけど小野寺さんは頑張らないと受からないという状態に
落ち着いてしまった、と

普通のラブコメのイメージで言ったら、小野寺さんみたいなヒロインはどっちかというと成績優秀な方なんですけど
ここでは全然そんなことのない設定になってしまったんですね

おかげで、「オシエテ」で明らかにされた各キャラたちの定期テスト順位では、小野寺さんは207人中88位という
真ん中よりは上という普通くらいな結果に

楽は67位ということで、実は楽よりも小野寺さんのほうが勉強は苦手ということになっていました

とは言っても、この後描かれるように繰り上げで受験に合格できた小野寺さんが
定期テストで真ん中よりも上にいるのは結構すごいんじゃないかと思ったり


で、始まった小野寺さん一世一代の受験勉強

「たぶん人生で一番勉強をした」の小野寺さんが、原作では制服だったのに対して
アニメでは私服で部屋というカットになっていたのは、より「勉強してる」感を出すためでしょうね

部屋で1人、きつい表情を見せながらも黙々とペンを走らせる姿は、確かに小野寺さんの真剣な気持ちを描いたものでした


その後のカットですやすや寝てたけどなw


この辺がコメディ色のあった部分ですね

教科書を広げて喋るるりちゃんのセリフが呪文にしか聞こえないような小野寺さんの反応
そういう時に脳が下す結論は、確かに「寝る」一択しかないんですけども

ただそれもね

この直前のカットが部屋で勉強している姿だったことで、たぶん夜遅くまでやってたんだろうなあという補完が可能になっています



そしてやってくる試験当日







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原作では黒ベタだった小野寺さんのコートがまさかピンク色だったとはな…

何と暖かい色でしょうか

おかげで、「絶対一緒に受かろうな!」と楽に言われてコートの色よりもピンク色になった小野寺さんのほっぺが
あまりにも美しく見えるのである

もちろん、そのピンク色は桜色の暗示であり、桜は合格の暗示で


合格発表の日が桜のカットから始まるあたり、おそらく意図された演出なのでしょう









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…小野寺さん落ちたけどね(;^ω^)


受験の日と同じ色のコートを着て、合格発表に臨んだ小野寺さん
しかし、今度は顔色がコートと同じ色になることはなく、むしろ正反対に頭の中が真っ白

ショックに打ちひしがれたまま、とぼとぼ歩き出した小野寺さんの胸の内は、どれほど張り裂けそうだったでしょうか…


そしてここからが、中の人花澤さんの無双再開


Aパートに続いて2度目のラクガキとなった小野寺さんの姿

ここぞとばかりにはっきり描かれた背景とのコントラストが凄まじいことになっております


しかし、アニメはさらに、そのラクガキにも涙を流させるという荒業に打って出ました
ナレーションとしての心の声を語らせる一方で、ラクガキの小野寺さんがさらに表情を崩して嗚咽を漏らす

ナレーションの合間に聞こえてくる「ああぁあぁぁぁ…」という叫びがとてつもなく悲痛で、
見ているこちらまで泣いてしまいそうになります
ていうかこっから俺はずっと目が赤くなってました


そして…







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雪の舞う公園で、1人佇む小野寺さん

さっきの合格発表の時は桜咲いてたろ、というツッコミは無粋です


このシーンでは、青と白がずっと強調されていましたね


街灯が照らす薄明かりの青い光
呼吸の度に口から漏れる白い吐息
画面全体にはしんしんと降る純白の雪

制服の深緑は、青白いその画面に溶けこむように馴染む配色となっています

そこに現れる楽の上着も青
白いレジ袋を手にしていた楽を見つめる小野寺さんの顔は、寒さにあてられてすっかり白くなっていました

しかしその表情こそは、ついさっき「合わせる顔がない」と言っていた小野寺さんが
「結果…聞いたよ」と核心を付く楽の言葉に反応した表情

原作のそれよりも、「次に何を言われるか」が気になっている瞳が
何とも言えない絶妙な感情を描き出してくれています

だから、「それ以上何も聞かなかった」楽の優しさに震える小野寺さんに全力で同化できる

それ以上何も言わなかった、ではなく
それ以上何も聞かなかった


普通に考えれば言いたいことはたくさんあるでしょう

あんまり落ち込むなよ、とか励ましてみたり
気を紛らわせるためにバカみたいな話の1つくらいしてみたくなったり

聞きたいことはそれ以上にあるでしょう

大丈夫か?と気遣ってみたり
滑り止めには受かったのか?って現実的な心配をしてみたり
あるいは、なんで凡高に?と進路の理由を聞いてみたくもあったでしょう


しかし、楽はあえて口を閉じた


何を言われることも何を聞かれることも、ただ辛いだけにしかならないことをわかっていたからです
そんな優しさを小野寺さんも察したからこそ、「やっぱり優しいね」と楽の性格を実感して、
同時にそんな優しさに惹かれた自分の恋心を実感して、そして、それゆえに選んだ進路に挫けた現実を再実感したのです

「一緒の学校に行けたらどんなに…」が震えた声になっていたことが、その現実と感情を見事に表現してくれていました


しかし、そんな切なさと哀しさを青白さが強調していた中に、ただ1つ異質なものが存在していましたね






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楽の手編みの真っ赤なマフラー

青白く照らす街灯や白く染まる吐息の中で、この真っ赤なマフラーだけが全く性質の異なるものとしてそこにありました

両片思いな2人を繋ぐ無意識の絆


寒さを気遣って自分のマフラーを貸そうとする楽と、楽を気遣ってそれを固辞しようとする小野寺さん

互いに互いを気遣った結果、「一緒にマフラーを使う」という結論に至った2人は
青白い光の下で真っ赤っ赤なマフラーをそれぞれ首に巻いて、ベンチに座る距離も近づくことになってしまいました

切なさと哀しさを象徴していた青と白の中で、唯一その正反対のところにあるものによって2人が繋がった瞬間でした


その上そのマフラーは楽の手編み

好きな人の手編みのマフラーを好きな人と一緒に首に巻いているという夢みたいな状況
受験に落ちたことなんか忘れてしまった小野寺さんは、楽の優しさの心地よさとその象徴であるマフラーの温かさに
すっかり幸せな気持ちになってしまいました

おかげで寒さで白くなっていた顔色は、すっかりマフラーと同じ真っ赤っ赤に


この一連の流れの中で、小野寺さんの声は常に細く、弱いものとなっていました

それは、もちろん受験の結果によるショックが背景にあるものですが
同時に、思いがけず楽と会ってしまったことによる嬉しさも込められていると言えるでしょう

同じように細くて弱い声のところどころ、それぞれのセリフにおいて
どちらの感情がどの程度含まれているかは少し想像するだけで誰にもわかるようになっています

ピアニッシモな発声でありつつ、しかし芯を持った細さによる音の綴り
コメディ色なんかほとんどないこのシーンにおける見事な声色です


「これって告白のチャンスだったりするのかな」と考えていたのは小野寺さんだけではありませんでした
両片思いによる思考のシンクロはこの時から起こっていたんですね





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そして、それを邪魔して訪れる嬉しい通知

小野寺さん凡矢理高校繰り上げ合格


思考がシンクロしていたのは告白のチャンスというだけではなかったことがここでわかります
「一緒の学校に行けたらどんなに」という小野寺さんの本音は、楽にとっても同じだったわけですね

だから楽は、超アクロバティックに喜び勇んで回る転がる飛び跳ねる


…うん
アニメで見ると確かに喜びすぎだこいつ(;^ω^)
バク宙でその場を2周はさすがにしねーよw


思考がシンクロしていても、真意には気づかない2人は、どうしてこんなに互いが喜んでいるのか
そこまでには至りません

ただ、まだこれから「またね」と言える
その事実だけで小野寺さんは笑顔を取り戻すことが出来ました

もちろん、ここで楽からの「またね」に小野寺さんがキラキラした反応を見せたのは
結果発表直後に「もうおはようも言えない…またねも言ってもらえない…」と絶望したことを受けてのもの

もう二度と言ってもらえないと思っていた「またね」を、再び聞けたこと
その上で、自分からも言えること

先ほどまで実感していたものとは別の現実を前にして
晴れやかな気持ちになっているのがこの最高の笑顔なんですね





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そして、ここで場面は再び冒頭の登校風景へ

ここに繋げるために、カラー扉を再現した風景の中に楽がいなかったわけです


「またね」の後の再会は、もちろん決まっていました


一番後ろを歩いていた小野寺さんに、さらに後ろから登校してきた楽が声をかける

一緒の学校に行けるようになって、確実に距離は近づいた
会話も増えたアドレスも交換した

部屋にも上げたし親にも紹介した

…なのにまだこの恋は実ってないけれど、いつもと変わらない挨拶を交わせる幸せもまた変わっていない


だから今日も、精いっぱいの笑顔で力いっぱい気持ちを噛み締めて口にする言葉






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おはよう、一条君!



まさかね

一番期待していたこのラストカットが原作仕様とはね


スタッフまじ古味先生リスペクト


ここでのラストカットはアニメデザインではなく、原作準拠が至高であると
その判断を下したスタッフには大いなる敬意と感謝を称えたい…







 し か し 



しかしです


1つだけ不満があります


このラストカットね

たぶん印象的に強調するためなんでしょうね

背景をカラフルにして、何となくソフトなタッチに仕上げて
「今までにはなかった特別感」を出しているんですけどね


おかげでいつもの日常としての美しさが死んでる



朝のおはようと放課後のまたねは、小野寺さんにとっての毎日の楽しみであり
それは、変わらない日常としての側面を持つものだったわけです

「変わらず続く幸せもまた」とこの直前に語られているように、恋人になれていない関係はいまだ変わらないけれど
同じ挨拶を毎日交わすことができるという幸せもまた変わっていないのです


つまり、小野寺さんにとってその挨拶を交わす瞬間こそは日常の中で最も充実した瞬間であり
そこにあるのは特別な感覚ではなく、「いつもと変わらない幸せ」でした


ゆえに、このラストカットでおはようの笑顔をこれほどまでに特別扱いしてしまうことは
その日常の幸せ感を希薄化するものであり、小野寺さんが抱いている幸福感とは少しズレがあるのではないか


そんなふうに思うのです


もちろんこのラストカットこそは、ここまで中学生の小野寺さんを描いてきた中で
見慣れた現在の小野寺さんに戻ってくるという一種のギャップ効果をも含むものではあるんですが
しかし、おそらく気合いが入りすぎたのか、あまりにも印象的に過ぎている気がします


せめて背景はそのままに、小野寺さんだけがソフトに浮かび上がるような、そんな様子でよかったのではないでしょうか

全体としてはあくまで日常の風景の範疇に収まりながらも
その中の小野寺さんだけが特別に見える

そうすることで、幸せを噛みしめる小野寺さんの充実感とともに、楽の視点でも片想い相手の小野寺さんが
特別美しく見えるという構図にもできたはずなのです

ここでの小野寺さんの表情は、自然にこぼれる客観的な笑顔であると同時に、片想いの楽の視点で見る笑顔でもあるからですね


それならば、背景をぼかして全体を特別感満載にするのではなく
小野寺さんだけに特殊効果を付与して小野寺さんだけを特別にしてしまうほうが、より印象的に仕上がったと思うのですがどうでしょうか


まあ、とは言ってもね

全体としてはそれはもう超がつくほど満足な出来でしたよ


最初に書いたように、期待以上予想以上想像以上

よくぞやってくれた同志スタッフ



で、さらに気に入ったのが、エンディングのこれ



nisekoi2-1122.jpg


曲自体はまあいいですよ
リカバーデコレーションと違って、小野寺さんらしいソフトな曲でしたから

キャラソンが苦手な俺はやっぱり馴染めませんけど、この曲は普通にいいと思いましたよ



でも、この流し目な小野寺さんには相当ゾクゾク来るものがある…

何でしょうね


普通の笑顔からちょっとだけ角度が変わっただけの表情なのに、何だか目を引かれてしまいました

特別感で言ったらこの小野寺さんのほうがよっぽど特別な感じなのである





というわけでね

素晴らしい出来上がりの11話でした

これで思い残すことなく3期を楽しみにできる





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COMMENT▼

No Subject

愛が重い

長いこと長いことw

これぱいなっぷるさんまた全部読めない長さだろ絶対www

さて、やっぱり観てないのですが一点。
だから本誌掲載時に言ったでしょう?「楽ロバット」はやりすぎだってwww

ラグエルさん読めましたよ

メッセージだけタイトルに

シャフトさんだから全部作らない可能性もあるのがなぁ・・・・・・とりあえず、小野寺さん一杯で良かったですね

No Subject

wwwwwwwwwwrryyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyy!!!!!


>分量
小野寺さん絡みなら仕方ないw

>ラストカットの不満
え~?(;´Д`)
小野寺さんの笑顔が見れたんだから別にいいじゃないっすか~
女神の笑顔に周りの風景が霞んだんですよ、次元が(←
同志はそれを再現しただけですから( ̄Д ̄)y-~~

No Subject

予想以上にあらぶっておられた。

www

過去最長ですかねwww

とりあえず最後のカットについては全面的に同意です(>_<)アニメからの固定絵だから余計に悪い意味で際立ってますね(-_-;)

Re: No Subject

皆様コメントありがとうございます。
アホほど長い記事でしたけども、無事に読んでいただけたようで重畳です。

いや、ここまでなっちゃうとはさすがの俺も思っておりました。

字数にして約1万字。アニメ1話分の感想としてはたぶんありえない分量でしょう(;^ω^)

それでも、書かずにはいられませんでしたよね。だって待ちに待った小野寺さん回なんですから。
気合いも力も熱も色んなモノが入りまくってました。

それだけに、あのラストカットの違和感がどうしても…
妄想屋さんの言うような理解をもってしても違和感が拭えません。

とは言っても全体としては大いに満足していますけども。特に花澤さんの演技には脱帽。

No Subject

初めて書き込ませていただきます。
今回の話は小野寺さんメイン回であると同時に全編に渡って殆ど小野寺さん視点の話だったので楽のかっこよさと小野寺さんの可愛さが際立っていた気がします
特にオハヨウは原作の話の中でもトップレベルで好きな話だったのでもう感無量です

No Subject

書き忘れました
花澤香菜さんは元々好きな声優さんでしたが今回の話で彼女の素晴らしさを改めて思い知らされました

Re: No Subject

初めまして、平々凡々さん

待ち望んでいた小野寺さんのターン、存分にアニメで堪能出来ましたね。
中でもオハヨウはエピソード投票の小野寺さん回のトップですから、それにふさわしいだけの演出をしてくれたと言っていいでしょう。

花澤さんも、本当にお見事でした。あんだけの演技ができるんなら、そりゃ人気声優になるわ…

遅ればせながら

小野寺さんと楽さんが一緒に巻いたマフラーが、どうして赤なのか、というと、これ「運命の赤い糸」なんですよ。

それも、普通のか細い糸ではなく、しっかりとしたマフラーです。これなら切れたりすることはありませんよね。

しかも、楽さんが編み上げたものであり、それを楽さんから二人を繋ぐように提案している。

そういう表現なのだと思っています。

Re: 遅ればせながら

コメントありがとうございます。mickさん


いいですねえその解釈。シンプル過ぎて逆に思いついておりませんでした。
青白い画面の中で最もコントラストが映えるものとしての赤、くらいに思ってましたよ。

あのマフラーを運命の糸の代わりとするなら、糸に比べてずいぶん太いのも1つの演出と捉えることが出来ますかね。糸よりもゔT区、確実に繋がってるよ、と。

いずれにしても、真っ赤のマフラー=運命の赤い糸というのは、小野寺派としては非常に腑に落ちる解釈です。

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Author:rexel
ジャンプ歴21年。ジャンプ最新号を読んでる時は、ゾーンに入ってると思う。

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中でも小野寺さん照橋さんを応援しています。



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