社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

07<< 12345678910111213141516171819202122232425262728293031 >>09

ジャンプLIVE 『LADY COOL』許斐メソッドに見る期待と予想の裏切り方

スマホアプリ「ジャンプLIVE」で絶賛掲載中の『LADY COOL』

許斐メソッドと称して、作中のとある場面で続きをどうして欲しいのか
アンケートが行われ、票の多かった展開が採用されるという新たな作劇法が試されているこの作品



2択の展開のうちどちらが選ばれるか分からない中で話を構成していくのは
なかなか難しそうで、許斐先生の圧倒的センスがあるからこそ成り立っているのかと
思っていたのですが

ちょっと気がついた…というか思ったことがありました



期待を裏切り予想を裏切らない作品は駄作
予想を裏切り期待を裏切らない作品は傑作

と言われることがたまにありますが、
では許斐メソッドによる『LADYCOOL』はどうなんだろうと





例えば第1話の引きとなったアンケート

COOLが少年の依頼を引き受けると言い、「じゃあ行きましょ」と話したところで
選択肢が登場しました

その内容は

・車に乗って出発する





・出発の前にシャワーを浴びる





一度ジャンプ本誌に連載した作品を、主人公を女性にして再び掲載することとしたこの作品

テニプリには腐なファンが多いとはいえ、シャワーという単語に全力で反応して票を入れた
読者も多かったのではないかと思います

もちろん俺も光の速さで反応しました



そして、その票の多寡によって展開が決まる第2話


結果はシャワー票が多くなり、シャワーシーンから2話は始まることとなります

シャアアアァァという効果音とともに描かれるその肢体

あえて顔を描かずに身体のみがコマに現れていたページをワクテカでめくると…




シャワーを浴びていたのは依頼人の少年でした(;^ω^)




ナンテコッタイ



シャワー票を入れた人の多くは、当然女性となったCOOLのシャワーシーンが描かれるものと
思っていたことでしょう


それを許斐先生はわざとのように少年のシャワーシーンとすることで
この作品の面白さを高めたと言えるのです

それも最初は顔を描かずに、読者に誤解させるという徹底ぶり


このことからは、許斐メソッドにおける1つの重要な点を窺うことができます

COOLのシャワーシーンを期待してシャワー票に入れた読者が多いと思われること
つまり、どちらの選択肢を選んだかによってその先に期待する展開を作者が窺い知ることができるのです

その上でその期待を裏切る展開を用意してやると、その作品の面白さが格段にアップする


許斐メソッドの場合

この後の展開をアンケートで聞くという手法によって、選択肢の内容はそのまま読者の予想と置き換わります
そして、その「予想」は同時に、その展開によって「期待」していることも内包しているのであり
作者にとってはそれを裏切ることが可能となるのです


つまり、先の展開をアンケートに委ねることは
読者の予想と期待をほとんど同化させる効果があるのではないかと思うのです


女性となったCOOLではなく、少年のシャワーシーンを描いたことは
つまり「期待も予想も裏切った」ものと言えるでしょう


だからこそ、この作品が異色に見える



COOLによって少年が守られていることを知らず、雇った刺客によって
少年を殺したと思っていた犯人の男が、自分の前に突然現れた少年を見て



・「もはや自分の手で殺すしかない」

と思うのか



・「もはや自首するしかない」


と思うのか


この2択も、本質は同じです

「自分で殺すしかない」展開の場合は、自分の手を汚すわけですから
刺客よりも捻った方法で襲ってこようとするのを、いかにCOOLが躱すかという
知略バトルが期待されるでしょう


対して「自首するしかない」展開の場合は、ある意味そこで話が終わってしまうこととなり
COOLの活躍もカタルシスも何もあったものではありません
それでも票が多ければ必ずその展開となるわけですから、許斐先生がどう話を纏めてくるのか
予想はできず、しかし期待はあったでしょう


そして票の結果は「自首するしかない」でした


その選択肢の通りに、「もはや…自首するしかない」と部屋でうなだれる犯人の男

しかし、ページをめくると見開きで「お前がな」と振り返っているシーンでした


雇った刺客に向かって自分の代わりに自首をしろと命令していたのです


自首するしかないという選択肢には、犯人の男自身が自首するものという予想がありましたが
全くそうではなく、またそれゆえに話が終わってしまうかもしれないがそれはそれで面白そう、という
期待さえも裏切ってくれたわけです

あるいは話を続けるためにどんな展開にするかと期待を持っていた人は
その期待通りだったかもしれませんが…



しかし、読者の予想と期待をどう裏切るかという点において
許斐メソッドは結構重要な要素を含んでいるのではないかと思うのです

それは予想の内容の表面化と、それに伴う期待の顕在化

さすがに実際の誌面上でアンケートによる展開の決定を行うことはできないでしょうが
電子コミックの楽しませ方としては1つの方法となりうるのではないでしょうか


 




本格的三角関係ラブコメが始まる…神のみぞ知るセカイ女神編第7話

kaminomi3-71.jpg

神のみぞ知るセカイ 女神編 第7話


さあ


ある意味ここからが女神編の本章と言っても過言ではありません

アニメの半分となる前回の6話までで、5人の女神と遭遇してきた桂木



残る半分では、最後の女神を捜す桂木の奔走を見ていくことになるわけですが



クラスメイトの歩美とちひろ


残る1人の女神はどちらにいるのか

あるいはどちらにもいないのか




その答をめぐって、2人の間で揺れ動く桂木の姿がこれから描かれていきます
この部分に放送の半分を残したスタッフの判断は間違っていないでしょう

それだけの密度とクオリティが確かにそこにはあるからです


それは、ラブコメの定番とも言うべき三角関係でありながら
その中心となる主人公がまったく鈍感な男ではないというところにミソがあります


どちらのヒロインとも仲良くなるために
自ら展開を計算し、予想し、想定する

そこには巷に溢れる鈍感な受け身主人公の欠片も存在することはなく
むしろ、積極的に自分と相手の言動を解釈しようとする頼れる主人公の姿があるのです



その典型的発露が、今回のダブルお見舞いイベントでした


「プラスのルートの宝庫」と自ら豪語するお見舞いイベント
自ら歩美にそれを仕掛けてみたところ、確かに効果は絶大でした


肩を貸してもらえるくらいに密着したり
こぼしそうになったコップを支えてくれるほど手と手が触れたり

それはもうリア充もげろと言わんばかりの展開に


しかし

当初は鉢合わせを回避するつもりでいたはずが
まさかの2人目までお見舞いにやって来るというアクシデント


そこで桂木がとった選択は















kaminomi3-72.jpg






どう見てもレ○プです本当に(ry



原作ではここまでひどくなかったぞwww
スタッフ絶対悪ノリしただろwww


そしてその結果














kaminomi3-73.jpg



この状態です




布団でまるごと歩美を隠して、布団の中では身体に抱きつかせておいて
首から上はちひろと会話する


言い換えると



歩美と同衾しつつ、ちひろとよろしくやっているということです



それなんてエロゲ?











kaminomi3-74.jpg


とにかく2人が顔を合わせてしまうことだけを回避しつつ
それでもできるだけルートを進めようとする桂木のアドリブ力


こんなことのできる主人公なら、きっと昨今の色んなラブコメの中で
盛大なハーレムを築けることでしょう





そして

お見舞いイベントの最後は、ちひろの告白というビッグイベントが待っていました


原作を読んでいた当時も、この時はかなり驚かされたものです

同時に、女神がいるのがどちらかということも一気に近づいてきた瞬間でした



突然のちひろの告白に対処するため、とにかくちひろを速攻で落とすしかないと考えた桂木
ちひろに電話を掛けようとしますがすでにちひろは歩美と通話していました


「告白しちった」と告げるちひろに歩美が応えた言葉



「今度の恋は本物だよ」




親友が好きになった桂木という男について、ここまで言い切れる確信と根拠

果たしてそれはなぜなのか…
ということを考えると、歩美の気持ちもまた朧気に見えてくるわけですね


原作では、ここでこれからに悩む歩美とちひろの姿と同時に
どちらかの中にいたメルクリウスと、彼女が会話するシーンがあるのですが
さすがにアニメではできなかったようです

だって声でバレますからねw




さあここからが女神編のメイン部分でもあります
この後舞校祭でのデートイベントと、エンディングを狙うキスのシーン

そこで明らかになる真実と、女神の行方

原作でも衝撃を受けた、ラブコメ主人公にあるまじき桂木の驚愕のセリフ
それらともどもに今後を楽しみにしましょう


 

続きを読む »




明かされる罪の中身と漂い始める不穏…『七つの大罪』第4巻

七つの大罪4

七つの大罪 第4巻



何だか刊行ペースが速いなと思ったら、女神さまっとか王様の仕立て屋とかと
比べてました


そら速いわな



というわけで正統派ファンタジーマンガの4巻です



七つの大罪と呼ばれるメンバーも、とうとう4人が登場することとなりました


今巻のメインはその中でも「強欲の罪」を持つ男バン


同じく「怠惰の罪」を持つキングから、バンの罪の正体が明かされます



これは結構作品的に重大なことだったんではないでしょうか



というのも、「大罪」を持つと言われて登場する彼らですが
今までその罪の内容が明かされることはなかったからです


ようやくその内容が明かされる1人目が登場してきたのですが
その真実は、哀しいお話でした



バンを憎むキングの口ぶりでは、バンの「強欲の罪」は
飲めば不死身となる生命の泉、それを守る聖女を殺して泉を奪ったこと


これだけ聞くと、確かに罪を持っているかのようです



しかし、実際はどうだったのか

その聖女とバンの出会い、さらに別れを描いた外伝が特別に収録されていますが
それによれば、実はバンは聖女を殺してはいませんでした


どころか、泉を襲った怪物から聖女を助けようとしていたのです


数日の触れあいによって、すでに心通じ合う仲になっていた2人

結果としては、怪物によって2人とも深く傷つけられ
最後の力を振り絞った聖女によって泉の水を飲まされたバンだけが助かることとなりました

不死身という力を代償に、バンは愛した女性を失ったのです



この経緯が世間的には、バンが聖女を殺して泉を奪ったと理解されているようで
そのことが「罪」であるとするならば、あまりにも哀しい話です


しかしここで気になるのは、「罪」が何を指すのかと言うこと


聖女を殺したわけではないとすれば、守りきれなかったことでしょうか
それとも、泉の水を飲んだことでしょうか


世間的には「聖女を殺して泉を奪ったこと」がそうだと思われているようですが、
「七つの大罪」にあたるというか、その1人となるというのは
一体誰によって決められているのでしょう


メリオダスやディアンヌなどが最初から「大罪」を持つ状態で登場してきたことで、
今までは特に気にならなかったことですが、「そうなる前」が描かれてしまったことは
じゃあどの時点で誰がそう決めるのかと言う疑問に繋がっていきます


真実とは違う、殺して奪ったことではないとすれば
考えられるのはもう1つ


死者の都で聖女と再会したバンが、彼女に向けてただ一言だけ発した言葉



「いつか必ずお前を奪う」



強欲に相応しいセリフですね

それでいて決意と覚悟を孕んだ、ロマンチックなセリフでもあるでしょう



死者をも奪うというこの意志が罪であるとするならば、他の「大罪」の内容も
俄然気になってくるところです



そんなこちらの意識をわかっているかのように、物語は「七つの大罪」達たちの
不穏さを強調し始めました

作品内でほとんど絶対的に「白」であるエリザベスと

彼女が希望と慕う「七つの大罪」の長であるメリオダス


特に「憤怒の罪」を持つメリオダスの暴虐性を王国側が指摘し、
光に照らされた背後に映るメリオダスの影が異常なことになっている様子から
読者は一層の不安を抱いてしまいます

その不安は、作品の中で誰を信じながら読んでいけばいいのかと言うこと

メリオダスに映る異常な影によって、王国側の話も満更ではなさそうな気配がしていることは
物語を読み進める上で大きな緊張感と緊迫感を生むことになります

それは、メリオダス達の真意や正体もさることながら
エリザベスの今後についての不安です


意図的に、エリザベスのみに感情移入を制限することで
彼女が敵と考える王国側も、希望と慕う「七つの大罪」も
どちらも真意がわからないことがエリザベスの今後にどう関わってくるのかを
読者に心配させる作りになっているのです


唐突にエリザベスが姉と再会する話の目的は、物語の焦点をエリザベスに絞ることにありました
これによってエリザベスが物語の中心となり
さらに、エリザベスが信頼する姉の口から「七つの大罪」の危険性を語らせることで
信じるべきものが何なのかを揺らがせているわけです

持ち前の行動力と芯によって、それでもメリオダスを信じると心に決めるエリザベス

その同じコマに、メリオダスの異常な影が映っていることがまた読者の不安をかき立てるのです



何という隙のない作りでしょう


王道を逝くファンタジーマンガでありながら
これだけの構成を盛り込んで面白さを感じさせるこの作品



続きが気になって仕方ないですね
速い刊行ペースを心の支えにしていきましょう





 




 | ホーム |  »

カレンダー+最終更新日

07 | 2013/08 | 09
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

新着記事+関連エントリー

人気&オススメ記事1

タグクラウドとサーチ

プロフィール

rexel

Author:rexel
ジャンプ歴21年。ジャンプ最新号を読んでる時は、ゾーンに入ってると思う。

今一番の推しは鬼滅の刃。次いでワートリ。

ジャンプヒロインズは俺の心のオアシスです。
中でも小野寺さん照橋さんを応援しています。



ついったー。

RSS リーダー

月別記事アーカイブ

マンガ・アニメ系サイトリンク集

以下のリンクから他にもマンガやアニメについて記事のあるサイトをご覧頂けます。

○ブログランキング集

FC2Blog Ranking

にほんブログ村 漫画ブログ 週刊少年ジャンプへ

○姉妹サイト
ジャンプマンガの描き方教えます
○アンテナサイト
ジャンプ感想サイト更新チェック

○マンガが読めるサイト
ジャンプトレジャー新人漫画賞受賞作品一覧
絶版マンガ図書館

○マンガ・アニメ感想考察系サイト
(更新停止)
たらさいと
アスまんが
アニメな日々、漫画な月日
ゆめかたつの曲解的漫画考
つながりこそがせかいをつくる
現実逃避
 ┗サイト紹介
あまぐりころころ
働いて飯を食いジャンプを読む、ついでに漫画やアニメも見る

○毎週ジャンプ感想を読ませてもらっているサイト
決闘王F.Kのブログ
君と僕の歌う詩
楽しければよかろうのブログ
北区の帰宅部
 ┗サイト紹介

○マンガ作者サイト
内水庵
おさむ日誌(休止中)

最新画像一覧

カウンター