社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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探偵が追いかける真実の正体は… 『名探偵マーニー』第11巻完結巻

名探偵マーニー11巻

名探偵マーニー 第11巻


日常系ミステリマンガ第11巻

淡々と続いてきた作品でしたが、とうとう完結を迎えてしまいました


宿敵メカニックとの決着

このマンガらしい淡々とした決着が、描かれます


探偵ものとして、主人公マーニーによる調査と推理を展開の基本的スタイルとしていたこの作品

第1話から実に様々な依頼や出来事にマーニーは遭遇してきましたが
そこでは常に、人の悪意と善意とが問題にされてきました

隠れた行動の裏に潜む悪意と善意

メカニックという名のもとに2人の人間があったことは、人の中に潜む悪意と善意との象徴的な意味合いも
あったものと思われます

悪意に相当した夜刀が逮捕されて無事話が落着したことは、物語としては当然の帰結ではありますが
この物語を単純に悪意と善意の対照のみで考えることは半分程度の理解にしかならないでしょう


例えばマーニーの親友・ゆりかちゃん


普段は軽薄な印象が強く、何かにつけてマーニーを利用してやろうと意地の悪いことを考えたりする彼女ですが
持ち掛けてくる話が真っ当な依頼であったり、マーニーを気遣った態度を示すことも
極稀にありました

そもそもマーニー自身が「なんで友達やってるんだろう」と疑問に思うこともある相手であり
かと思えば、ケンカをしたことで本業の探偵業へのやる気もなくさせてしまうほどの影響をマーニーに及ぼしてしまう彼女

仲良くなった当初は、家庭の事情から世間にひねくれた感情を持ちかけていたマーニーに対して
ゆりかちゃんが真っ直ぐな接し方をしたおかげで、マーニーがグレずに済んだ、という側面もあり

彼女というキャラを考えるには、単純に悪意や善意というだけでは捉えられない部分が多くあると思われます


例えば、スティンガー

学校内の不良たちが集まった集団をスティンガーという呼称でカテゴライズしているものですが
今巻で明らかになったその始まりは、不思議な魅力なる1人の男の周りに人が集まりだしたことで
いつしかスティンガーなどと呼ばれる集団になったというものでした

つまり、不良たちの集まりでありながら、あえて群れることで勢力拡大を狙ったりするようなものだったのではなく
勝手に何か出来上がってしまったというものだったわけです

そこには、悪意も善意もありませんでした

ただ、何故か1人の男にみな惹かれてしまったという現象があったのみ


他にも例はいくつもあることでしょう
単純な悪意と善意という二元論では十分に理解することのできない部分


それは、事情という真実


どんな経緯があってどんな流れがあって、今どんな関係になっているのか
どんな結果になっているのか

探偵の調査とはその「どんな経緯があってどんな結果になったのか」を追跡するものですが
そこでは単純な二元論だけでは通用しないはずです

ではどんな考え方でその調査に臨むかといえば、「事情」という真実を探ることですね


これまでたくさん描かれてきたマーニーの調査もこれにあたるものでした

依頼される案件の裏に必ず誰かの悪意があったり、妙な企みがあったりするわけではなく
何らかの意図や事情によって「そうせざるをえない」という状態になっていたこと

可能性は低いながらも現実的に起こりうる出来事を描いてきた本作だからこそ
鮮明に浮かび上がらせることの出来るものではないでしょうか




週刊連載でそうした事件とや案件とその調査・推理過程を描いていくことは
非常に大変なことだっと思います

木々津克久先生お疲れ様でした









 




そして話は一気に物語の核心へ… 『名探偵マーニー』第10巻

名探偵マーニー10巻

名探偵マーニー 第10巻

日常系ミステリマンガ第10巻

何かこの作品が終わっちゃうという噂を耳にしたんですけどマジですか


いやいやいや…とか思いつつ10巻読んだら、メカニックの真実に迫る話ばかりが始まってて

あれ
これ最終バトルじゃね?

マジで?


秘められていた伏線が次々と明かされていきます

アリアとメカニックの関係

マーニーが人質になった事件の真相

マーニーが探偵をやっている理由

いつか誰かが言っていたマーニーが「自分は幸せになってはいけないと思っている」理由


それはもう怒涛の勢いで明かされていきました



その勢いと、中身の深刻さ、何より高まっていく緊張感が
否応なく最終決戦の雰囲気を作り出しています


何ということでしょう…


これは次巻で終わってる感じじゃないかー


まだまだ読んでいたかったなあ…







寂しいので今回も今巻のベストショットやりましょう

今回はやっぱこれでしょうね









名探偵マーニー10巻2

コミケと思しきイベントにやってきて、ちょっとした嘘でネコ耳をつけちゃったマーニー

つけたばかりで赤くなってるコマではなくて、刑事相手に普通の顔してる方です

え、断然こっちでしょ?
説明の必要があるんですか?

しかしここでのマーニーは迂闊なのです
ここに来たら女の子はこれをつけるのよ、…って周りにつけてる人いないのマーニーなら気づくだろw
コスプレイヤーばかりだって言っても、それを渡した張本人の薬師さんがつけてないだろw


こういうところで抜けてるのもマーニーの魅力の1つなんでしょうね






 




話は変化球でもキャラは王道を行く変則性… 『名探偵マーニー』第9巻

名探偵マーニー9巻

名探偵マーニー 第9巻


ある意味ではこれも日常系といえるでしょうか

殺人事件が起こるでもなく
絶海の孤島に閉じ込められるでもなく

ただ日常の中で巻き起こる騒ぎや出来事に潜む真実を見出していく日常系探偵マンガ
その最新巻


前巻ではなんかエロくなったというレビューを書いておりましたが
今巻ではその成分はいくらか後退したようです

代わりに強調されていたのが、主人公マーニーの持つ資質と、
彼女の宿敵メカニックの特性でしょうか


依頼を受けて日常の騒ぎを解決する傍ら、自身の宿敵としてメカニックという天才的犯罪者を
追いかけているマーニー

収録話の中で、その彼女が突然メカニックについて推理を巡らす回がありました

いや、前フリも何もなくマジで急に始まったので
若干面食らったんですよね


コナン方式よりも斬新というか唐突というか、そんな感じでしたが


その考察の中で、マーニーが気がついたメカニックの特性





名探偵マーニー9巻3

天才的な会話力


言葉巧みに相手へと近づき、巧妙に法の一線を越えさせるやり口


この会話力こそが、本作においてメカニックをラスボスたらしめているものであると言えるでしょう


しかし、実はこの優れた会話力を持ったキャラがもう1人存在していますね


作者コメントで指摘されていましたが、この人ですよ










名探偵マーニー9巻2





主人公マーニーその人


依頼をこなして実績とともに彼女に信を寄せる人物も、取り巻く人間関係の複雑さも増していく中
それでもマーニーはそれぞれの間で上手に動きまわり、時に力を借りながら自らの仕事を遂行していきます


こうして築かれていく人脈こそがマーニーにとっての最大の財産であり
また、本作で少年漫画における「成長」の要素を担っている部分でもあるわけですが


実はそれは、マーニーが宿敵としているメカニックと同じ特質でもありました

おそらく作者が意図して描写しているものでしょう

同じ特質を持ちながら、違っているのはその使い方ですね


巻数二桁の大台を前に、今一度主人公とラスボスの同質性と差異性を際立たせたものだったと考えるのは
深読みではないでしょう


メカニックについてもですが、マーニーとその家族についてもまだまだ明かされていないところが多い本作
話自体は毎回淡々と進んでいくのに、なぜか読むのを止められなくなってしまう中毒性は
今巻でも健在のようです






 




マーニーの意外なエロさと変わらない信念… 『名探偵マーニー』第8巻

名探偵マーニー8巻

名探偵マーニー 第8巻

『ニセコイ』はさっさと書いたのに、このマンガは遅くなりました

日常系ミステリーマンガの最新巻ですね


相変わらず一話完結型のお話が続いているようですが、今巻では少し変化が見られました










マーニー8巻1






マーニー8巻2






マーニー8巻3




何かエロくなってるんですけど


何だ何だどしたどした


ネタ切れからのテコ入れ…なんて安易な心配をするわけではないですが
ちょっと驚いてしまいました


何故って、エロかったんですよ


まあ、ね

俺も毎週のジャンプでヒロインズのベストショットなんて追いかけていますから
さすがにちょっとやそっとの水着じゃあピクリともしませんけど


でも2枚目のマーニーのお腹には読み進めていた目が止まってしまいました

開いてる上着の前から見えるお腹と下胸のあたりが何だかみょーにエロいのです

おそらくは、同じコマにあと2人も同じく水着な女の子がいることでブーストが掛かっているのでしょう
女子3人が水着のまま部屋でくっちゃべってるという、どっかのギャルみたいな様子が
普段のマーニーの雰囲気と対照的にそこはかとないエロさを醸し出している…とか


何ということでしょう
そりゃお父さんも怒りますよ



しかし、それでもしっかりシメるところはシメてくれるのがこのマンガのいいところ

収録話の中で、日常系、それでいて本格的な探偵業を営むマーニーの芯が描かれています

それがこれ






マーニー8巻4



某コ○ンとか某金○一とか全否定かってくらいの語りです

探偵として、一番やっちゃいけないこと
真剣な表情でそれを口にするマーニー
この作品の方針というかコンセプトというか核というか、そんなものを感じさせられるマーニーの信念でした

それでもその某作品を好きな人からすると、「そのできる限り、を果たしたから犯人を暴けてるんだろ」
って感じなのかもしれませんが

それともそんな風に思っちゃうこと自体が俺の心が薄汚れている証なんでしょうか








 




積み重ねたものが作品を支える魅力の1つになる… 『名探偵マーニー』第7巻

名探偵マーニー7巻

名探偵マーニー 第7巻


7巻です

連々と続けられていく一話完結の日常的ミステリー

殺人事件が次々起こるでもなく誘拐事件や強盗事件が多発するでもなく
ただひたすら、日常の中での出来事を描く物語の最新巻

話数は60を超えましたが、初期から変わらず1話完結での出来事を描き続けているのは
作者木々津克久先生の描写力が高い故でしょう


ただ一話完結とはいっても、依頼者となる人物とは話が解決したらそれで終わりということはなく
その後もマーニーの知人・友人の1人としてたまに登場し、彼女の捜査や情報収集に協力してくれたりしています


この広がりが、本作品の魅力の1つでもありますね

日常の中での出来事を主な物語の内容としているために
前の件の依頼者と普通に出会うし、場合によっては協力を求めるということもあるわけです

必然的に舞台として描かれることの多くなるマーニーの学校では特にそれが顕著で


話数を重ねてきたことによるこの広がりが、作品に新たな魅力を与えているのです


さらに、学校での広がり方としてもう1つ「上手いな」と思っているのが、学内4大派閥という設定です


セレブグループとか
フラワーズとか
アイアンとか
スティンガーとか


フラワーズとは、顔も性格も爽やかイケメンな人を中心にしたリア充グループ
アイアンとは、体育会系の人たちで
スティンガーは学内の不良の集まり…

だそうな


この派閥名称のネーミングが結構好きなセンスなんですよ
特に、アイアンとかスティンガーという言い方がなかなかに絶妙な気がしていたり


で、なぜこの派閥設定が作品の魅力に一役買っているかといえば
マーニーは、これらすべての派閥の有力者数人と依頼を通して繋がりを持ったからなのです


だから学内での依頼と調査に対しては、非常に動きやすいし、また作劇上も動きをつけやすいのです

依頼の内容によって、捜査の手がかりやきっかけとして一番関係の有りそうな派閥の知り合いに声をかけるところから
彼女の調査が始まるんですね

そこからしっかり話が転がっていくから、読み応えもちゃんとある


こうした依頼と調査を通じたマーニーの人脈こそが、日常系ミステリーということと並ぶ本作のもう1つの大きな魅力だと思うのです

マーニーが依頼を受けるばかりでなく、危機的場面に遭遇して彼らに助けを求める場面が描かれることも
「人脈」を描く上で重要なものでしょう

頼り、頼られることが人脈の基本的前提だからですね
それはおそらく実際のビジネス上でも同じなのでしょう


そして、そうした人脈とマーニー自身の探偵力で戦いを挑んでいるのが
作中最大の悪であるメカニックという人物


他人を使って遊ぶことの好きな彼の存在は、本作品においては魅力の1つである「人脈」を弄ぶことでもあり
その意味でも、作中で最悪の犯罪者であり、主人公マーニーの宿敵と言えるのでしょう


コナン方式で、たまに彼の存在と伏線が匂わせられる回が描かれるのが現状ですが
数回にまたがって、本格的な対決が描かれる時がいずれあるのでしょうか







 




日常の裏の意外な事実を劇的に描く…『名探偵マーニー』木々津克久

名探偵マーニー

名探偵マーニー 木々津克久



現在6巻まで発売中


この作品もまた、このブログを通して出会うことのできた感慨深い作品です



父親を探偵に持ち、自らも女子高生でありながら探偵を名乗る少女・マーニーが主人公


名探偵と言っても殺人事件を解決するのではなく、遭遇するのは身の回りの人から頼まれるちょっとした困り事が主で
その困り事に潜んでいた意外な事実を解き明かし、「決してありえないことはない」ような人間ドラマとして描きます



この「ありえなくはない人間ドラマ」が本作の最大の魅力といえるでしょう




依頼を調査していくうちに判明する事実は、我々読者も身近に感じるような日常的なものではなく
「ひょっとしたら遭遇するかもしれない状態」ばかり



マンガだから、と言ってしまえばそれまでですが

そこに何かを感じるかどうかでこの作品を面白いと思うかどうかも変わってくるでしょう




毎回1話完結で描かれていく、依頼者と関係者にまつわる意外な事実

これが普通と違って感じられるのは、どこか味わい深く、また感情的に描かれているからでしょう



事実を突き止めた後、マーニーは決してそれを大々的に説明したりだとか公開したりだとか
そんなことはしません


ただ「依頼者にとって、またはお互いにとって一番いいと思う方法」でその事実を告げることを心がけています

だからその事実に対する感情的な側面が強調されることになる



そのことが、読んでいるこちらに対しても何らかの感情を呼び起こすこととなり
結果、もっとそんな話を読みたくなって気がつけばひたすらページをめくっている



週刊連載で毎回そんな「意外な事実」や「感情的側面」を描くのは非常に大変だろうと思います

ネタ切れの心配は常にあるのでしょうが、しかしそれよりももっと致命的な懸念があります
いつも1話完結のために話がいつもぶつ切りとなって、世界観に広がりも奥行きもなくなってしまうことです

それがネタ切れとも重なると、話がすっかり薄っぺらくなってしまう可能性があるのです


1度依頼者だったり関係者として登場したキャラをその後普通に登場させることで
どうにか奥行きを持たせようとはしているようですが、不十分なままにとどまっていました


そこでの広がりがないということは、キャラの持つ背景も特に触れられないということであり
例えばマーニーが普段は父親と2人暮らしな理由とか母親の行方とか

そうしたバックボーンには一切言及のないまま、ただ依頼があってそれを解決していくばかりで
話が進んでいく


ネタ切れと同時にマンネリの危険もあるわけですね



「メカニック」というマーニーとどうやら深い因縁を持つらしいキャラは
そうしたところから出てきた奴だと思います


何話かに1回の割合でメカニックの正体や関係者に迫る話が描かれますが
その時は作中世界の謎の一端が明らかになるような、そんな緊張感があるのです


例えるなら、同じ名探偵を冠するマンガである「名探偵コナン」で
黒の組織にまつわるシリーズが描かれる時と似ているでしょうか

あるいは『ONE PIECE』でグランドラインや世界政府に関係する新事実が発覚する時のような
緊迫感と衝撃


メカニックにまつわる話の時は、それらに近いドキドキ感があるのです


これによって物語が一気に引き締められたことは間違いないでしょう
同時に、普段通りの依頼解決の話であっても読者を油断させずに読ませることができるとなれば
「事実」の感情的側面にもより注目させることができるのではないかと思うのです





それにしても、マーニーの推理力には驚かされるばかりです


ありえないことではないだろうけど、普通ならそんな発想出てこないよということにも
しっかり気がつく彼女の思考力


女子高生なのに一体どんな人生経験をしてきたんだと言いたくなるような、そんな気づきの持ち主です

加えて、テグスを使った護身術の心得もあり、メカニックという正体不明のキャラに迫っていく緊張感の中にも
マーニーならきっと大丈夫という安心感も内在させています


これだけの要素構成とキャラたちを持っているとなれば、現時点での作品としての完成度は非常に高いといえるでしょう


分析的に1つの作品として見るのも、また何も考えずにただ楽しむために見るのも
どちらにも向いている良作です








 




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