社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

01<< 12345678910111213141516171819202122232425262728 >>03

主役の2人に訪れた急展開とその運命を超えられる可能性… 『実は私は』第15巻

実は私は15巻

実は私は 第15巻


チャンピオンの秘密系ラブコメです

実は前巻14巻のレビューしてなかったんですけど、忘れてたわけじゃあないんですよ

14巻のね
収録されてた中身がね

ちょっとどうしようかって思っちゃったからね

それでレビュー書けなかったんです

13巻の時も次の展開への仕込みというか繋ぎの内容なんだろうって思ってましたけど、
14巻も繋ぎだったんですね

正確には繋ぎというより、ちゃんと事態が進展してはいたんですけど
その進展の仕方が何だかどうしようもないなって感じでレビューできなかったんですよ

特に、あの最後の引きと言ったらね

このカップリングに伏線張るなんて今後どうしていくんだよ…とちょっと頭抱えてしまったんですよね

で、15巻を読んでみたらね


14巻で心配になった件のカップリングは、何か上手いこと伏線回収と言うか、片付けたなって印象で
そのこと自体はまあいいんですけど、それでも片付け方があまりにも綺麗すぎたことで
「本当にこの2人のカップリングが公式なのか」と思わされてしまって、「それはどうなのよ」と思ってしまいました

要するにこの娘とこいつくっつけてどうすんの、と

今まであんだけギャグキャラ扱いして、あんだけ頭が残念な人扱いしてたこいつと
メインヒロインのサポートを地味にしっかりこなしてきたこの娘を本当にくっつけんの?と

彼女が惹かれるような要素今まで1回でも出てきたことあったっけ?
と思えて、どうにも気分が乗りません

おそらくは増田先生もそれを想定していたのか、それが反論にならないような展開でもって
2人が接近していくことになる様子を描いてはいるんですけども

それでも違和感は拭えないよねやっぱり

14巻終盤の回、彼の逆無双っぷりがあまりにも凄まじくて
その回の女性キャラ達の黒目っぷりに全身全力で同意できてた身としては
この展開にはどうしてもモヤッと感が半端ない

まあこだわっても仕方ない部分なのかもしれませんけどねえ



で、15巻では「まあ色々思うことはあるかもしれないけど、そんなことよりもメインはこっちだよな」ってくらいに
主役2人の話が急展開を見せることになりました


とうとう一線を越えた朝陽と葉子

しかしそれによって起こったのは、吸血鬼という種族の持つ宿命に関わる問題でした
源二郎が危惧していたのはこのことだったんですね

いつか写真で見た若かりし頃の葉子の両親
現在の父親の姿とは明らかに異なっていたそれは、この先その変化が彼女にも起こり得ることを示していました

而して、起こるべくして起こったその変化
時を同じくして現れた「ヴァンパイア・ハンター」を名乗る男

「吸血鬼」とともに歩む朝陽の覚悟が問われる…!

というところで16巻へ続く、となっている15巻


14巻の時とはテンションが大違いですね


とは言っても、実はそんなに心配しないでも良いのかなというのが今の印象だたりします

葉子自身に起こる変化と、ヴァンパイアハンターの存在
不穏な予感をいだかせるものが複数ありますが、でもそれは増田先生が巧妙にごまかそうとしているものなのかなって


だって、同じ運命を乗り越えてきたであろう葉子の両親は、今幸せそうにしていますからね


すでに前例があるのです
それを乗り越えた先人がいるのです

むしろそのおかげで、今葉子という女性が存在しているのです

このことに気づかない朝陽ではないでしょう


ならば、自分たちもまた乗り越えられるはず

葉子の両親が超えられた宿命を自分たちが超えられないなんてことは
自分たちの絆が葉子の両親に劣るものとの印象すら生み出すものであり
そんなことで「お嬢さんを僕にください」なんて言えるわけがない

葉子の両親という先人の存在が、朝陽の男のプライドを刺激する展開さえ予想できますね


…とまあ脳天気にばかり構えているのもアレなので、期待半分心配半分ということで次巻を待つことにしましょうか









[タグ] ラブコメ




この停滞感は次への仕込みのためか…? 『実は私は』第13巻

実は私は13巻

実は私は 第13巻

アニメも絶賛放送中のちょいアホヒロインラブコメ
第13巻です

前巻では、ラブコメの究極系のようなエピソードを前に萌えるのと絶望するのと
矛盾する気持ちを同時に体感してしまいましたが


この13巻ではまた違った感覚を抱くことになりました


今までで、一番ワケが分からなかったなーって思ったんですよね


言い方を変えると、今までで一番内容がとっ散らかってたというか、雑だったというか

読み終わった後、「ええー…?」とかリアルに呟いてしまいました


いや、何か今後に向けた伏線みたいなものはそれなりに散りばめられているんですよね

校長が人外ばかり集めている理由だとか
「緑苑坂」の名前の由来だとか
桃地のスパッツだとか
源二郎のかつての夢だとか
朝陽の首筋を見て吸血衝動を抱いたかのような白神だとか
ダンボールかぶった正体不明な箱女の衝撃発言とか

わかりやすいのもさりげないのも含めて、いくつかの伏線が張られてはいました


しかし、その伏線がもたらす先への期待感よりも、その回のメインエピソードの部分において
あまりにも「ワケわからなさ」を感じてしまったというか


普通に考えれば、単なるコメディの一環というか、このマンガが今までやってきたギャグ回の線上にあるものだとは思うんですよね
ですが、今巻に限ってはどうにもそれらのギャグ回が無駄に大騒ぎしているだけのように思ってしまったのです

余計な脱線というか不要な脇道というか


歯医者に行く行かないの騒動はただ勢いだけでごまかしているみたいでしたし
メガネの家出っつってメガネがバーだのキャバクラだの行ってるのはシュールを通り越して意味不明でスベってましたし
白神と勘違いバトルを勝手にやってたサキュバスは、新キャラのはずなのに全然新キャラらしくもなくて
源二郎とのゲームバトルも、前フリのテンションで引っ掛けた割には実際の中身は普通も普通でしたし
ロシアンシューの天丼は、ギャグとしてはすでに期限切れになっているのを繰り返す上に主役2人の顔がありえない崩れ方をしていることで
逆にイラッとしてしまったり


とにかく何というか、「何だかなー」という感じがひしひしとしてしまった巻でした


どうしてでしょうね

あるいは、すでに主役2人が一応くっついてしまっていることで、ラブコメとしては1つの到達点に届いてしまっているために
彼らの仲を進める話以外が「蛇足」になっている感を強めてしまっているんでしょうか

普通なら日常回の1つとして生暖かく見れたもののはずが、どういうわけか「そのエピソードには意味が無い」ように感じてしまって
ほとんど冷めた目で見てしまっていました

どうしてでしょうね



ひょっとしたら、今巻収録の回はまだまだ仕込みの段階のために、行く先が今ひとつ見えてこない構成になっているのかもしれませんが…


ともかく、本作のコミックスの中で一番「んん??」と思ってしまった巻でした









 




これが「主人公に彼女がいる」ラブコメか…! 『実は私は』第12巻

実は私は12巻

実は私は 第12巻

チャンピオンで連載中の秘密系ちょいアホヒロインラブコメの第12巻

主人公がヒロインに告白してカップルが成立したというラブコメの到達点まで辿り着いたというのに
まだまだ勢いが衰えないという少年誌ラブコメの王道を覆す作品です

いや、むしろ今巻ではラブコメの究極系を見せつけられた気さえします


今までのどのエピソードよりもラブに満ちててコメディがあふれてて、それでいて初々しくもあり微笑ましくもあるという
恋愛ものとしてすさまじい程の破壊力を持った回でした



八頭身_頭抱え

何だよあの弁当回はよ…

あんなの見せつけられた日にはもうどうしようもねえよ…


独身だった学生時代がフラッシュバックして胸に突き刺さる圧倒的絶望感

これはひどい


こんなラブラブで
こんなイチャイチャで
こんなドキドキなひとときが起こり得るのか?!


満ち満ちる微笑ましさの前に緩みそうになる頬と
襲い来る取り返しの付かない絶望感に苛まれる頭とが反目して、どうにもできない感情が渦巻いておりました


こんな、こんなにも「恋愛な一瞬」って今まで見たことがありませんでした

なぜなら、ジャンプ専門だった俺が知っているラブコメなんてのは
大体が付き合うまでの過程を時に真剣に時に面白おかしく描くものであり
主人公がカップルになってからの展開がこれほどまでにガチで描かれることなんかなかったからです


しかし、この12巻ではそれをまざまざと見せつけられました


「付き合っているからこそ描くことのできるイチャイチャ」がそこにはありました


もうね、はっきり言って盲点でしたよ


付き合うまでの過程で、どんなに両想いだと確信したとしても
どんなイベントで接近することになったとしても
実際に付き合ってる中でのイチャコラには全く及びもつかないこと


その原因が、あの弁当回は付き合う前の段階でエピソードとすることはまず不可能なこと

それは、ごはんの上に「大好きやで―」なんて海苔文字があることもそうですが、
2人の雰囲気の中に「好き合っている」オーラが出まくっていることなんですよ


好きな人が自分のことを好きで付き合うことが出来て、それだけでも嬉しいのに
さらに初めてまともにデートに行こうとしたら、弁当なんか作ってきてくれた

それだけでも嬉しいのに、ワクワクしながらフタを開けたら「大好きやで―」とか書いてある
こんなにグッと来る瞬間はそうはないでしょう



好きな人が自分のことを好きで付き合うことが出来て、それだけでも嬉しいのに
デートに行こうと誘ってくれて、よく見たら今日のために練りに練ったらしいメモまで握りしめていた

それだけでも嬉しいのに、ドキドキしながらお弁当を取り出して食べてもらったら
「世界一おいしい」なんて言ってくれた

こんなにもキュンキュンくる瞬間はそうはないでしょう


付き合っているからこそ描くことのできるラブラブさ
付き合うまでのラブコメでは敵うはずのないものを見せつけられたように思います


そもそもここまでの流れも非常に秀逸なものがあったんですよね

はじめてのまともなデートに意気込んでいる2人
お互いの距離をもっと近づけたくて、自然に手をつなげるタイミングをそわそわしながら探っているというラブな場面
それを、母親と校長がモニターで実況しているというコメディ

これは、実況という周囲の視点を取り入れることによって主役の2人に読者が入り込みすぎるのを抑制し、
この次にあった弁当回への仕込みとして機能していたのですね

ラブな場面をコメディよりに演出することでラブコメを成立させつつも、次の場面では
ドタバタの結果、一気に周囲の目がない状況が出来上がることになり
朝陽と葉子にとっても、また読者にとっても「2人きり」という状態が印象づけられることになっているのです

そこで繰り広げられるラブ全開のシーン
見事に演出が決まっていました


サブキャラ同士の恋愛模様とかも動かされ始めて、世界観がさらに深まったような気がするとか
18歳になったら何かあるらしい伏線とか
チャンピオン本誌掲載時巻頭カラーだったっぽい92話の扉の中に、今巻最後に登場してきた新キャラもいるっぽいとか
見どころはたくさんありましたが、一番見逃せなかったのはやはりあの凄まじいラブさでしたね




…で、このタイミングでまた新キャラとは何がどうなっていくことになるんでしょうか











[タグ] ラブコメ




ラブコメの常道を覆す展開の先にあるものは…? 『実は私は』第11巻

実は私は11巻

実は私は 第11巻

発売からはすっかり間が空いてしまいましたが、めげずに記事は書きましょう


チャンピオンで絶賛連載中、アニメ化も決定した秘密系ラブコメの最新巻です


ラブコメというジャンルにおいては、基本的に主人公と誰かがくっつくまでの障害やドタバタや騒ぎや苦悩を
時に面白おかしく、時に深刻に描いていくことで登場するキャラたちへの親近感を抱かせると同時に
彼らの感情の行き先を心配させることによって物語の深さを感じさせたりするものです

そのため、作中において最大限の葛藤を経て主人公と誰かがくっついた…となった場合
それは物語の完結を意味するものであることが大体のパターンでした


で、このマンガも前巻とうとう主人公朝陽が告白するという一大イベントを決行し、
相手ヒロインとなる葉子がそれを受け入れたことで晴れて主人公がカップルとなる…という
ラブコメにおける決定的瞬間を迎えてしまいました


ラブコメの常識に照らせば、この後の展開は、2人のリア充な様子を描きつつ他ヒロインとの関係性を整理していくことで
物語は大団円に向かう…ということになるはずなのですが

このマンガにおいては全然全くさっぱりそんな気配がありません


大団円に向かおうとしているにしては、恋愛絡みの話とは殆ど関係のないようなコメディ回が何度も挟まれて
ただキャラたちのドタバタを楽しめる作りになっているんですね


前巻の引きの時点からそんな雰囲気のあったこの作品
がっつり9回分くらいの話が収録されている中で、話の本筋やラブコメの常道はどんなふうに描かれているだろうと
結構構えていたわけなんですが


意外といつも通りでした(;^ω^)


いや、委員長の葛藤と本音とか、主人公カップルの成立を受けての他ヒロインのリアクションも
しっかり描かれてはいるんですが、シリアスすぎることにならないようになのか、
ギャグシーンと隣合わせで描かれており、今までのアホっ娘ラブコメの延長という感じなのです

つまり、関係性を整理したりするような大げさなものでは全然ない


美尻からの携帯とか、ぷにっからのぐいっとか、実は私はからの知っとるわ!とか
コメディとラブのバランスというか、切り替えの上手さは相変わらずで、さすがと思えるんですけども


一応主人公カップルが出来上がった後の展開としては、やけにのんびりしているように感じるんですね


主人公がカップルになってもまだ普通に話が続いていくことについて一番最初に考えられるのは、
この後別の人とくっつく真のエンディングがある、というものですが、おそらくこの作品に限ってはそれはないでしょう

とすると、次に考えられるのは、まだやり残していることがある、ということ


そのヒントになるのが、源二郎の「娘に儂と同じ想いさせんため」という言葉でしょうか

正体バレたら退学という条件の裏にまだ何か隠されていることがあるのだとしたら、
朝陽と葉子がただくっついたことは確かにゴールというわけではないのかもしれません

その先にさらなる障害が待ち構えているのであれば、そこに向けてドタバタとともに話が普通に続いていくのは無理からぬことでしょう


「付き合い」のあるラブコメがどんなふうに展開していくのか、じっくり読ませてもらいたいと想います











[タグ] ラブコメ




ついにカップルが誕生したノンストップラブコメ! 『実は私は』第10巻

実は私は10巻

実は私は 第10巻

アホっ娘秘密系ラブコメの最新巻
とうとう二桁まで来ましたか

記念すべき二桁到達巻の表紙は、1巻と同じヒロイン
10巻到達の記念の意味ももちろんあるのでしょうが、しかし収録されている話もまた
彼女が表紙に登場していることを当然とする内容でした


奇しくも修学旅行にて急展開を見せるというどっかの当番ヒロイン制ラブコメと似た流れとなっている本作
いや、先に修学旅行行ったのはこっちなんですけど

その夜、ヒロインの1人から浜辺に呼び出されて告白をされるという衝撃の引きで前巻は終わっていました


ここから本当に告白しちゃうのがジャンプと明確に違うところなんですかね

告白に至る流れを、多少のギャグも交えつつ、しかしちゃんと緊張も動揺も葛藤もしっかり描いた上で見せることで
飽きさせないながらも、その心情を確かなものとして感じさせる作りになっています


ここからの怒涛の展開も実に見事

ラブとコメディのうち、「ラブ」の方における急展開に対して
「コメディ」の要素が緩急をつける役割を果たしており、先程と同様に高い読みやすさが確保されています

それだけでなく、「コメディ」の中身も「ラブ」の急展開に応じてぶっ飛んだ内容となっているために
通常ならばギャグの面白さを引き立てるドタバタ感が、「ラブ」に対しては焦燥感を生み出すことになっており
主人公朝陽の「何をどうしたらいいのか全然わからない感じ」が実によく感じられるのです


コメディにおけるドタバタ感を、ラブにおける焦燥感に昇華させるとはなかなかの演出と構成であるといえるでしょう


今作においては、増田先生の構成力の高さを感じることが度々ありましたが
今巻でもそれがしっかりと発揮されていることが、そうした演出を可能としているのでしょう


2度のセルフトレースにはなかなかに舌を巻きましたよ

1度目は、トレースしたシーンがその直前の回だったこともあってコメディ寄りになっていましたが
(むしろそのせいで、元になったそのシーンの本気度を作者自ら減じさせているor茶化していると感じた人もいるかもしれませんが)

2度目のほうは、第1巻からのトレースでした
コマ割りや構図は若干違っているようですが、セリフの流れは殆ど同じ

「あんがとな」の吹き出しに小さく「行ってくるわ」と書かれているところまで同じという確信犯(誤用


加えて、1人のヒロインの号泣と、そのセリフを彩った字体の変化

号泣する表情は、本当に胸に来るものがあって
泣きながらつぶやくセリフを表現した字体は、普段使われないものであることが「本音」を感じさせます

増田先生の表現力とともに、写植した担当編集の字体を選ぶセンスも窺えたこのシーンは
もう本当に見事という他ありませんでした



そんなすったもんだの結果、主人公にとうとう彼女ができたという展開になってしまいました
でもその次の回を見る限り話が終わりそうにないのが何か気になるといえば気になるんですが


1つの「決着」というか「区切り」というか、そういったものができてしまった物語において
さらにどんな話が紡がれていくことになるのか

次巻はそこに注目してみたいですね











[タグ] ラブコメ




本気のヒロインたちが繰り広げるノンストップラブコメと作者の苦心…? 『実は私は』第9巻

実は私は9巻

実は私は 第9巻

やっと届きました

チャンピオンで絶賛連載中の秘密系ラブコメ第9巻

前巻のレビュー時に気にしていた表紙は、委員長とみかんでした

単純に既存キャラの2人をフィーチャーしてきたものなのかと思ったんですが
中身を読んでみるとこの2人以外ありえないものでしたね

主人公が想いを寄せているメインヒロインをそっちのけにして2人で表紙を飾っちゃった彼女たち

主人公がそのメインヒロインと観覧車に載った結果、口と口をづけちゃった事件を契機として
物語は急激に動き始めました


まさかのヒロインたちそれぞれが互いに宣戦布告し合うという驚愕の展開

宣戦だけにとどまらず、アピールタイムを掛けて実際に競い合うというガチの展開


収録話の冒頭で仕込みを終えたのち、開幕した修学旅行編にてそれらの戦いが一気に激突することになりました

ヒロインたちが次から次にタイトルを口にする怒涛の展開
本作品を最初にレビューした時に想定していたとおり、作品タイトルの真の意味はそういうことなのでしょう


ただ、ともすれば陰鬱なことになりかねないそうした流れを見事にコメディとして仕上げている増田先生の手腕には目を見張るものがあります

同じ男に惚れてしまったヒロインズが、人知れず鎬を削り合うという普通なら修羅場必至の展開を
ラブコメの範疇を守りつつ、しかしヒロインたちの真剣さも同時に醸し出させることは、並大抵の描写力ではできないことでしょう


それを可能にしているのは、彼女たちが互いに敬意を持って接していることですね

自分の本心を包み隠さず相手に打ち明けて、お互いに気兼ねすることなく本懐を遂げることを合意していること
実際に2人きりになるチャンスを作るためには相手に遠慮することなく必死に戦いますが、その勝敗の決め方もゲームに頼ることで
コメディの枠をはみ出さずに楽しげな雰囲気を持って競わせることに成功しています


そのおかげで、例えば女の子同士で取っ組み合って我を張り通すような下品なことは一切なく、一定の節度を伴った協定の上で
それぞれの本意を満たそうとする意図のぶつかり合いが面白おかしく描かれることになっています

普通なら修羅場となりそうな部分をここまで面白く読ませてくれる増田先生の実力には舌を巻きますが、
しかし、別の面では違和感を覚えたことも事実でした


特に、メイド喫茶と運航見合わせと南国をめぐる白神家実家の回
あと男湯の回を含めてもいいでしょう


面白いか面白く無いかといえば面白い回だったことは間違いないんですが
どうにも本筋からの脱線という感触を抱いてしまったのです

というのも、これらの回は別にないならないでも話を繋げることは出来るんですよね
あるいは何だか唐突な感じがしたというか

タメ回というか、おそらくは箸休め的なインターバル回というように捉えればいいものだろうとは思うのですが
朝陽をめぐるラブコメがどんどんどんどん盛り上げられようとしている時に挟まれる回としては
どうにもテンポを悪くしているように感じてしまったのです


裏表紙部分にいつも書かれている今巻のあらすじ
「ノンストップちょいアホヒロインラブコメ」とは全くその通りの表現で、
この怒涛の展開を見ていると、特に「ノンストップ」という部分には大いに同感だと思っていました

5巻で初めて使用され、8巻でも使われた「ノンストップ」という単語
今巻に限らず、出し惜しみのない展開は確かにノンストップといえるもので、
次の展開への期待感を否応なしに高めてくれる構成と描写でしたが

それだけに、ヒロインたちがそれぞれの気持ちを認識し合ったラブコメの最高潮とも言えるような状況で
それなりの面白さがあるとはいえ、ほとんど関係のないような部分のコメディだけの回が途中にあることは
どうにも違和感だったのです

あるいはコミックスで一気に読んだために感じたことなのかもしれませんが…

違和感の根本にあるのは、増田先生の必死さを感じてしまったことじゃないかと

修羅場必至の展開を、どうにかして面白く読ませようと苦心した「作者の気持ちと存在」を
何となく感じてしまったことが、物語への没入感を邪魔してしまったのではないか
そんな風にも思ったり



もちろん、作者のそうした意図は不要なものではありませんが
流れるように追っていきたい怒涛の展開の中にあっては、物語へ入り込むのを妨げることも起こってしまうのかなと




とは言え、ノンストップという言葉にふさわしく、彼ら彼女らの思いの丈はとどまることを知らないようです
最初に決意を固めたのは委員長でしたが、だからってここで脱落してしまうとも限らないのでしょう

朝陽からどんな答えが返ってくるかというのは、すでにわかりきっていることです
すなわち、朝陽の本心はとっくに決まっていること

それでもなお、けじめか、あるいはライバルへの敬意なのか、黙って身を引くことをやめた委員長
伝える前から返事を知っている告白の先にあるものは、彼女をどのように変えるのでしょうか


次巻もまた、衝撃に満ちた展開が待っていそうですね










[タグ] ラブコメ




ヒロインがアホでも時の針は進んでいくラブコメ… 『実は私は』第8巻

実は私は8巻

実は私は 第8巻


秘密系ラブコメ第8巻
またしても記事にするのが遅くなりました


今回の表紙は前巻ラストに登場してきた銀華恋

…なのはいいんですけど、登場したばかりのキャラが早速表紙というのは
わかりやすくていいと思うべきか、テンポ早くね?と思うべきか

いや、だってこうなってくると次巻の表紙は誰なんだというのが気になるわけですよ
ここまでは、主人公朝陽以外に「実は私は」という秘密を持ったキャラたちが
順番に表紙を飾ってきたわけなんですけど

キャラ紹介図を見てると、次巻の表紙になりそうな人っていなくね?と

今巻では新キャラは登場しませんでしたから、次巻収録部分に新キャラが出てくるのでない限りは
既存キャラで表紙を飾ることになるわけです

それだと、今までの流れで行こうとするなら候補として考えられるキャラがいないような…

…ハッ


もしや獅狼か








…はい


余計な心配というやつですね
大人しく待っておきましょう


さて、この8巻

新キャラは登場してもその面白さはもちろん、話のスタイルも変わることなく
従来通りのアホだらけな展開を見せてくれています


それでいてしっかりラブコメしてるんですから質が悪い(褒め言葉)

大きくなった委員長の回とか、勢いとテンションが大変なことになってましたよ
ラブコメにおけるヒロイン視点とはどうしてこうもグッと来てしまうのか…


しかし、今巻の肝は何と言ってもラストのアレでしょうね

こうしたラブコメでまさかこんな展開が早くもやってくるとは…


まさかでした

朝陽と白神さんが口と口をづけちゃうとはね



何が驚きだったって、このシーンのある遊園地デートの回

白神さんがちょっとイメチェンというか、気合入れたカッコをしてきてて
それが割とハマっていたんですよ










実わた8巻ベスト


何この普通に可愛い感じ…

今巻のベストショットを選ぶならこれでしょう
さりげない可愛さが普段とのギャップを確かに強調していて、見事なまでに「女の子」として仕上がっています

ロングヘアーに一部を少し巻いてみたり
長めのスカートに小さなバッグを身体の前で持ってみたり
「かよわい女の子」みたいなイメージの姿を全面に押し出しているようなこの姿

だからこそ、ラストの見開きシーンが映えるんですね
女の子らしい女の子との口づけだから


この手のラブコメでこんな明確な「関係の進展」を象徴するシーンを持ってくるとは意外でした
ジャンプマンガに慣れてると、余計にそれを感じるんですよねえ

古味先生ェ…



この流れを委員長会の後に持ってきたということもまた、意味があるものといえるでしょう

さらに、意外と最近作中では強調されていない朝陽のアナザルぶり
これほどの衝撃的出来事を周囲に隠し通せるとはとても思えません
「あいつら」は色んな感情を込めて笑ったりイジったりしてくれるでしょう
対して、他の女の子たちは…というところが最大の焦点になるわけですが


次巻は表紙ともども、気になることが満載の話になりそうです








[タグ] ラブコメ




 | ホーム |  »

カレンダー+最終更新日

01 | 2017/02 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 - - - -

新着記事+関連エントリー

人気&オススメ記事1

タグクラウドとサーチ

プロフィール

rexel

Author:rexel
ジャンプ歴20年。ジャンプ最新号を読んでる時は、ゾーンに入ってると思う。

ジャンプヒロインズは俺の心のオアシスです。
中でも小野寺さん照橋さんを応援しています。そして邑楽派。



コメント返信の方針を考え直し中。



ついったー。

RSS リーダー

月別記事アーカイブ

マンガ・アニメ系サイトリンク集

以下のリンクから他にもマンガやアニメについて記事のあるサイトをご覧頂けます。

○ブログランキング集

FC2Blog Ranking

にほんブログ村 漫画ブログ 週刊少年ジャンプへ

○姉妹サイト
ジャンプマンガの描き方教えます
○アンテナサイト
ジャンプ感想サイト更新チェック

○マンガが読めるサイト
ジャンプトレジャー新人漫画賞受賞作品一覧
絶版マンガ図書館

○マンガ・アニメ感想考察系サイト
(更新停止)
たらさいと
アスまんが
アニメな日々、漫画な月日
台風ゆめかたつ
つながりこそがせかいをつくる
現実逃避
 ┗サイト紹介
あまぐりころころ

○毎週ジャンプ感想を読ませてもらっているサイト
決闘王F.Kのブログ
君と僕の歌う詩
楽しければよかろうのブログ
The 男爵ディーノ
北区の帰宅部
 ┗サイト紹介

○マンガ作者サイト
内水庵
おさむ日誌(休止中)

最新画像一覧

カウンター