社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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新キャラの美女がさわやかな風を呼びこむ… 傑作スーツマンガ第11巻テーマは「モノトーンの彩り」!

王様の仕立て屋第11巻

王様の仕立て屋~サルトリア・ナポレターナ~ 第11巻

紳士服をテーマとする人気異色作第11巻です


第1部がどれだけ面白さを持った作品であったかは、この記事で散々語りましたけれども
新しいスーツが欲しくなる そんなマンガがあります

第2部として仕切り直された今でも、充分な面白さを維持しているのは素直にスゴイと思いますね


ただ気になることがあるとすれば、1巻に1つのシリーズの形で読みやすさや取っ掛かりやすさを重視して構成されている今の本作が
第1部からの読者にとっては少し物足りない感じがあるということでしょうか

かくいう俺もその1人なんですけども、主人公オリベがとうとう構えたお店の様子であるとか
セルジュやマルコの修行の具合だとか、ジラソーレ社の経営状況だとか

そういう第1部を構成してきた部分に対する描写や言及がほとんどないんですよね

シリーズの構成は基本的に何やら悩みを抱えた新キャラが登場してきて、一筋縄ではいかないその問題の解決を
オリベが仕立ての実力でもって段階的にこなしていく…というもの

話はその新キャラと周辺の掘り下げに終始することになり、既存キャラたちの掘り下げは全然描かれてこないんですよね

ついに店を構えるに至ったオリベの実力の進化具合だとか、セルジュやマルコの修行の様子だとか
ラウラの成長具合だとか、男爵さんとイザベッラ嬢の進展具合だとか

第2部がコミックスで二桁にも達したのに、こんなに描かれてこないようでは
「もうその辺のキャラの掘り下げは第1部で充分したから、1部では基本的に新キャラばかりでいくよ」と
作者が思っているのかとまで考えてしまいそうです

…なんていう話を前巻の時もしたので、そればっか言っててもつまんないんですけどね


11巻の話に戻すと、今回のテーマは「モノトーン」でした

黒やグレー基調の服装を上手に着こなすコツやテクニックが惜しげも無く盛り込まれています

黒基調の服というと、俺が得意としてる服装ですね

これは俺にうってつけのシリーズじゃないですか

作中の展開では何だか「黒基調の服ばかり好んで着るのは未熟の証」みたいな感じだったのが気になりますけど
いやいや、そんなわけはないでしょう

ガイアが囁いていたどっかの雑誌も言ってましたからね


男は黒に染まれ

って


え?だめ?



それ以外の今巻の見所といえば、間違いなく彼女でしょう




サブリナ嬢1


サブリナ嬢2


サブリナ嬢かわいいよサブリナ嬢


本作のシリーズの中で、こういう美人キャラは出てきてないですね
せいぜい、9巻のホテルスタッフ嬢くらいでしょうか

あ、でも9巻には第1部で少しだけ登場していた巨乳バーテンダーが再登場してくれていましたね
あれはなかなかに眼福だった…

でもサブリナ嬢も結構な可愛さを持っていますね

フリーアナウンサーで、ファッションリーダー的な立場にもあるなんて
どんだけのアイドル的立ち位置なんでしょうか

そんな美人が、オリベの手による仕立てを好印象に受け止めて、話の解決に協力してくれるという…
良い役どころを持って行きますねえ

内助の功というわけでもありませんが、彼女がこうして協力してくれる理由は…
という想像まで掻き立てられて、読んでてとっても気持ちが良いです

今回のシリーズが抱える問題の根っこには、年寄りの妄信的な価値観がありましたからねえ
そのウザさを中和して余りあるスッキリした風をサブリナ嬢はもたらしてくれていると思います


どうせこういう1巻ごとのシリーズで行くというのなら、こんな風にいい感じの美女も一緒に登場させてくれたら
もっと気持ちよく読んでいけると思うんですけど、どうでしょう大河原先生





[タグ] 大河原遁




構成は見事ながら気になるところも…傑作スーツマンガ第10巻テーマは「デニムとのマリアージュ」!

王様の仕立て屋10巻

王様の仕立て屋 ~サルトリア・ナポレターナ~ 第10巻


とうとう2桁まで来てしまいましたよ

「紳士服」をテーマとする異色作品の第2部
第1部は32巻まで達する人気作でしたが、巻数をリセットして第2部として始まった物語の続きは
ついに10巻まで到達しました

人気は間違いないんですねえ

掲載誌の統廃合によって流浪の連載を繰り返している作品でもありますが、それだけ移り変わることは
逆に言えば終わらせる選択肢が無いほどに人気があることの証明なのでしょう


さて、1巻に1つのシリーズを展開しているパターンでの今巻のテーマは「デニム」

ジーンズがぱっと思い浮かぶことと思います
そのデニムです


ジラソーレ社がデニムのフェアを始めるのに、人気急上昇中のコンビ芸人をイメージキャラクターとしたところ
デニムを巡って2人が対立し始めた…というのが今回のシリーズの取っ掛かり

そこで問われるコーディネートにおけるデニムの存在感をめぐって、オリベが知恵を絞るという基本パターンが
踏襲されていくことになります

ジラソーレ社の面々が登場してくることはページが華やかになる意味でとってもありがたいんですけど
しかし彼女たちが中心ではなかったな…というのがちょっと残念でした

メインとなるのはあくまで対立するコンビ2人で、芸人さんという属性上、見目形の良い2人ではないんですね
要するにむさ苦しい2人がデニムを中心とした服装をして毎回ドヤ顔で現れる…という展開では
どうしても視覚的な楽しみが少ないのです

しかも今回のテーマは、どうしてもカジュアル寄りになるデニムをナポリ仕立てのエレガンテに合わせるには、という内容であり
デニムの主張を抑えたり流したりしたようなコーディネートが繰り返されることになることで、いつもの調和という点では
若干後退しているかのような印象も否めないんですね

デニムと言って、普通に想像されるジーンズだけにとどまらず、コーデュロイとかホワイトジーンズとかも取り入れていたのは
変化を付ける意味でもさすがという感じではありましたが

しかし、コンビ2人の母親が出てきたことでさらに「うへえ」感が倍増したというか

ともに揃ってナニワのオカンみたいなキャラだったことで、「うぜえ」感が満載になってしまって
「もうそろそろ…」という気すらしてしまいました


1巻に1シリーズで展開させていく構成力は相変わらず見事なんですが、今回はちょっと諸々の加減が気になってしまいましたね

というか、変わらずオリベの器用な職人ぶりばかり描かれているわけですが
店を構えたことで新たに見えてきた部分であるとか、セルジュたちの修業の様子だとか、
そういうところも見たい気がするのである


でもやたら気に入ったのがこれ




ジラソーレ社フィレンツェ支店店長のサンドラですよ



褐色下乳へそ出しミルク



褐色
下乳
ヘソ出し
ミルク


うむ、苦しゅうない

大河原先生これはなかなかのセンスですね

この感じからすると、雑誌掲載時はどうやらカラーだったように思いますが
これはコミックス収録による白黒の方が好みかもしれない…


そういえば、前にもカラーより白黒の方が好みかもしれないって思うことがありました
『黒子のバスケ』でのアレですよ

モノクロはカラーを超えたか…黒子のバスケ第22巻

モノクロはカラーを超えたか… 『黒子のバスケ』黄瀬の表情の演出


こうしてみると、一概にカラーのほうが視覚的に面白くなるとも言えないんですねえ

これもまた、「見た目が10割」というこのマンガが示す真理を表すものなんでしょうか











[タグ] 大河原遁




構成力が光る傑作スーツマンガ第9巻!テーマは「コートを巡る冒険!」

王様の仕立て屋9巻

王様の仕立て屋 ~サルトリア・ナポレターナ~ 第9巻

傑作スーツマンガその第9巻です

今巻もまた、コミックス1巻の収録で完結するシリーズが描かれており、それぞれの巻ごとに違った読み味となる構成に
新たなパターンを添えてくれております


今回のテーマは「コート」


スーツを着る上で必ずしも必要なものではありませんが、外を歩く際にはどうしても上に着ることになるコート
人と会うのがちょうどよく空調の効いた室内ばかりでないことを踏まえれば、コートを羽織った姿もまた
装いの調和として考えなければならない部分なのでしょう

コートをテーマに据えた今回のシリーズでは、その価値の証明に「父親から譲り受けた形見」としての存在感を付与していました
父の跡を継いで代表を務めることとなった会社で、その威を借りる効果もあった形見のコート

それを、ホテルに勤める表紙の新キャラ・ニナがクロークで安物と取り違えてしまったことが物語の発端となります
つまり、コートというものにはそうした価値や役割もあることが初手から示されて話が始まってくるわけですね

その上で、そもそもコートというもののスーツにおける意味や由来を説明してくれる

おそらく本来の順番としては逆なのだろうと思いますが、素人な読者にわかりやすくするための構成なんですね


こうした構成の巧みさが、本作品の魅力の1つでもあります

ただ装いにおけるそれぞれの要素をテーマとするのではなく、そこでシリーズを貫くことになる「軸」を用意してやること
それによって、その軸の変遷と結末を追いかけることを本線としつつ、「脇見」として装いや仕立ての話が出てくるわけです
だから薀蓄や雑学の類のような感じで読みやすく読んでいける

今巻においては、その取り違えによって紛失してしまったコートの持ち主が、長い付き合いのよしみで訴訟沙汰とするまで
1年の猶予をくれた、という出来事がその軸となっています

ミスを起こしてしまったニナ嬢が、何とかしてそのコートの行方を探していこうとする中で出会う色んな人のコートにまつわる事情をオリベが解決していく…というパターン


前巻では、ナポリの服飾教室に通う期待の若手ジョナタと、リッカルドの腕試しが軸として設定され、
その中でモードとクラシックの違いや価値が説明されていきました

シャツをテーマとしていた7巻では、ヨーロッパに進出してきたアメリカの社長が
ヨーロッパ流の着こなしをシャツを中心に学びつつ、彼が再会を企図していたかつての恋人に対して何をしようとしているのかというのが軸となっていました

さらにその前第6巻では、ウエストコートの名人パウエル親方に対して懸賞金をかけて強引に居場所を突き止め、自分の注文を再優先させようと意図する下品な成金との攻防に端を発して、親方の仕事を欲しがるイギリス中の着道楽の思惑が入り乱れていく様子がシリーズを通して緊迫感を醸し出していました


話の展開の中に確かに通底しているこうした要素があることで、その推移を見守りつつ服の話を娯楽的に楽しむことができるという構造に本作品はなっているんですね

それはひとえに、巧みな構成力を持った作者の実力によるものでしょう



それと今巻の見所はもう1つ








王様の仕立て屋9巻_1



これですよ


やっと何か華やかになった

男だらけで話が進んでいた前巻
描き下ろしでさえようやくラウラママが登場するだけだったことで、女っ気にかなり飢えていたんですが


期待通り華やかになってくれました

これ今巻収録の最初の扉絵なんですけどね

見た瞬間心躍りました

熱心な読者なら、この娘が誰であるかすぐにわかったことでしょう
そうです

スイカップのバーテンダーとして有名なイレーネですよ

ピンクレディばかり注文されるという悩みを抱えて、旧友であるクラリッサを頼ってジラソーレを訪れていたあの娘です
その時の縁でオリベとも知り合い、コートのことで悩む友人ニナ嬢をオリベの元へよこす…という役割を負ってくれていました

もちろん彼女の役割はそれだけではありません









王様の仕立て屋9巻_2

うむ


そうそう
そういうことですよ


やはり、優れた部分というものはアピールしてこそだと思いますよね


何の話かって?

大河原先生の画力に決まってるじゃないですか




でもこうなるとニナ嬢がちょっと目立ってないのがもったいない気がします
せっかく彼女もいいものを持ってるはずなのに、イレーネの添え物的な扱いになっているのは残念です


ここはニナ嬢ももうちょっと前に出てもらっても…









王様の仕立て屋9巻_3

うむ 苦しゅうない





やはり大河原先生はよくわかってらっしゃるわあ










[タグ] 大河原遁




2種類の仕立て方の求めた先は… 傑作スーツマンガ第8巻テーマは「モードとクラシック」!

王様の仕立て屋8巻

王様の仕立て屋 ~サルトリア・ナポレターナ~ 第8巻


傑作スーツマンガ第2部の8巻

1巻完結でシリーズを展開している読みやすい構成が今巻で送るのは、クラシック服とモード服の二元論でした
その2種類に対して、どちらが優れているとか上等かとか言うような話から、職人としての真理に迫っていく内容です


シャツという身近でイメージしやすいテーマだった前巻と打って変わって、少しとっつきにくい内容となりました
俺だけ?

2巻と3巻で展開された業界の保守派と革新派の対立その後の続きでもあるこのシリーズ

主役となるのは、当時「あの作品」からのオマージュで登場させたなとちょっと話題になったジョジョジョジャです

若手のホープというジョナタ・ジャイオッティ

地味な修練を嫌がり、地道なクラシックよりも華やかなモード系に進むと行って聞かない若気の至りな彼が
実際にその考えの愚かさを実感していくまでがじっくりと描かれていきます


20代の人が読んだら、彼のこういうところには結構共感できたりしたんでしょうか
そんで、反省した彼を見て自分を振り返ったりしたでしょうか



今回のシリーズはおそらく普段の倍くらい描くのが大変だったんじゃないでしょうかね

ジョナタに自分の実力の程をわからせるために、あるお客さんを対象にした仕立ての勝負を行っていくという展開だったことで
ジョナタの服と、対戦相手の服と、対決の度に二着分のスーツ作画が必要になるわけです

その上、それぞれに勝つ理由・負ける理由を用意するデザインや仕上がりでなければならないとくれば
「これでどうですか」とお客に出来栄えのいいスーツを納めて物語を作っていたこれまでとは違って
従来以上に細部に拘らなければならなかったのではないかと

それでも従来通り1巻でまとめつつ、内容もしっかりしているんだから大したものです



しかし、今回のシリーズは女っ気のほぼない話でした

描き下ろしの数ページ部分でも作者自ら触れていますが、本当にページに華がありませんでした
出てくる人物が全部男ばっかり

スーツのマンガなんですから、ある意味当然っちゃ当然ですけど
それでも服飾業界の話として見れば、きれいなお姉さんが出てこないのはガッカリ感が否めませんね

途中に一箇所だけ、あらすじを説明する背景にコスプレしたラウラやヴィレッダが無意味に登場しているページもありましたが
そんなんじゃ全然足りません




次こそは、もうちょっと見目麗しい彼女たちが活躍するシリーズを…










[タグ] 大河原遁




絶妙に紡がれる物語性と実用性…傑作スーツマンガ第7巻のテーマは「魅惑のシャツ」!

王様の仕立て屋7巻

王様の仕立て屋 ~サルトリア・ナポレターナ~ 第7巻

傑作スーツマンガの第7巻


第2部が始まって以来、基本的に1巻完結の形で1つのテーマに沿ったシリーズを展開している本作

今回のテーマは「シャツ」でした


これまではスーツ上下の組み合わせであるとか、スリーピースからネクタイ、靴まで含めて
全体のコーディネートを云々してくれることが多かったわけですが
ようやくというかここに来てと言うか、インナーとしてのシャツがメインに据えられることとなりました


いや、実感としては遅いくらいなんじゃないかとも思うんですよね

スーツマンガでシャツがテーマに入ってこないというのは何とも違和感というか
シャツが鍵になった装いの話は何度かありましたが、ここまで中心的な話題として扱ったシリーズは
今までなかったんですよ

スーツを作品の軸としながら、シャツにはあまり触れられてこなかった事実
それは、日本人のシャツに対する関心が薄いことを見越してのことなのでしょうか

しかしシャツがないことにはスーツ姿が決まることはありえません
本来なら肌着としてのものであったシャツですが、夏にはクールビズなどと言われるようになった現代においては
シャツ自身の持つ存在感と魅力というのも充分にテーマとして扱うに耐えるものだったはずです

何より、スーツの作りをナポリ仕立てやミラノ仕立てやイギリス仕立てなどと言われて極上の仕上がりを強調されても
一般人読者にはなかなか想像も実感もできないところにあって
シャツとなればまだ身近な感じがするというか、取っ付き易いんですよね

それは、スーツ・ジャケットとの組合せ方からネクタイとの絡み、
さらには色使いに至るまでわかりやすいというより想像のつきやすい解説がすんなりと自分の中に入ってくるようで

その意味でも、この作品でシャツを正面から扱う今回のシリーズは相当に見応えのあるものでした



…ただ、読み終えた後になーんか今ひとつ、みたいな感覚を覚えてしまったのは
きっとお腹いっぱいになってしまったからでしょうか


シャツの説明だけでも「おお…」って感じに毎回なっていたのに
それだけにとどまらず、しっかりそうした依頼を受ける物語性までも取り入れつつシリーズを作り上げる手腕

それも、毎回違う依頼人がそれぞれの事情でやってくるというシンプルなパターンではなく
特定の依頼人が商売の事情でずっとオリベを頼りにして相談にやってくるという展開で

事情や展開に特段の不自然さはないんですが、それが逆にカッチリとしたものを感じさせてしまって
何だかお腹いっぱいな感覚になってしまったんですよね

多分俺だけな気がしますけども…



とにかく、「魅惑のシャツ編」と題してシャツがテーマとなった今巻は
スーツよりも軽く考えがちなだけに身近に思える「シャツ」の使い方や着方を知るのに非常に有意義なシリーズでした


これだからこのマンガはやめられないんだよなあ





[タグ] 大河原遁




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