社会の毒 ―少年漫画症候群(ジャンプシンドローム)―

読んだらもう1回作品を見返したくなる、そういうレビューを私は書きたい

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ワールドトリガーにおける戦いはジャンプのバトルマンガとして新鮮だと思う

トリガー起動


長く続いた大規模侵攻編がとうとう今週終わりを迎えました

本作においては初の長編となったわけですが、本日は、その中で度々描かれたバトルの様相に
大いに注目してみたいなと思います

なぜかといえば、従来のジャンプマンガにおけるバトルとは少々趣を異にしているんじゃないかと思うのですよ

そしてそれによって、ジャンプにおけるバトルマンガの新たな一面を見せてくれたような、そんな気がするのです







特徴的なことは全部で3つあります
1つずつ見て行きましょう



トリオン体による戦闘


普通のバトルマンガとの違いとしてまず挙げることが出来るのは、トリオン体による戦闘という仕様ですね

これが意味するところは、つまり生身ではないということであり、それはすなわち斬られても痛くはないし
真っ二つになっても即死したりもしないということです

これだけでも大きな違いです

トリオンというエネルギーを元にしたり応用したりする戦闘というのは
オーラだとかチャクラだとかいわゆる生体エネルギーを使ったバトルと同質なものですが

そのエネルギーによって体そのものを作り上げ、それを戦闘時に使用するというのは
従来のジャンプバトルにはなかった仕様でした

生身での戦闘と違って、トリオン体での戦いでは負傷が実際の負傷ではありませんし
トリオン体の崩壊がすなわち死を意味するものではありません(敵の真っ只中で生身を晒すことは9割がた死を意味するでしょうけども)

それゆえ、連載が続けば続くほどにバトルの際の緊張感が漸減していくのではないかと当初思ったりもしたんですが


大規模侵攻編における戦いを見る限り、そんなことは全くありませんでした

1つは、生身ではないために体へのダメージ描写が容赦無いこと

大規模侵攻編が始まる前の迅・嵐山隊VSA級合同部隊の戦闘時にもありましたが
首ちょんぱに始まって、顔を蹴り斬ったり足を斬ったり手を斬ったり

繰り返しますが生身じゃないからって、そこでの切り口における切り株描写が妙に生々しく
グロくないけどグロいという複雑な印象を生んでいました

さらにもう1つ、敵の力から逃れるために自ら手足を斬り落としたりしていたこと
それこそ生身じゃないからできることだろうと思われがちですが、それもむしろ
四肢を失ってでも勝つという気概と覚悟を示すものとして機能していました


そして葦原先生の巧いのが、キューブ化の現象ですよ

新型トリオン兵という未知の敵として現れてきた相手が持つキューブ化の能力
それもただキューブにされるのではなく、捕らえられて喰われたらそうなってしまうという衝撃

得体のしれない敵が大口を開けているところに喰われる描写は、いくら生身ではないと言っても
まるでジョーズのような恐怖感を煽るものがあり、その意味では生身じゃないことはむしろ安心感にさえ繋がっていました

喰われてショックを受けたところに、何とか助けだしたら正体不明のキューブになっていたという展開
未知の敵に喰われたら未知の状態になっていたという不穏さは、生身での戦闘ではないことを補って余りある緊張感を
作り出していたといえるでしょう


システムによる戦闘補佐


本作における従来のバトルマンガとの違い、2つ目にはシステムによる補佐があるでしょう

どういうことかといえば、これもトリオン体による戦闘仕様と関わるものですが、
戦闘における選択肢が非常にシステマチックなんですよ


各部隊、オペレーターを中心にしてそれぞれの状況に合わせた策を立てていましたが
それは例えば、別の場所での戦闘記録を参考データとして送ったら
前線の現場では何の機械も使うことなく内容を把握できてたり、
戦闘場所の地図を送ると言ったらどうやってか知りませんが、「マップ見ながら作戦考えようぜ」なんてやってみたり

近未来的なデータのやり取りをしていました

ほかにも

例えば、部隊メンバーの超聴覚を全員で共有してみんな超聴こえるなんていう感覚同期も行われていました
近未来的データのやり取りは他作品でも見たことがある気がしますが、五感の共有は(他でもやってそうですけど)
ジャンプではあんまり見たことがなかったように思います

特別な信頼で結ばれている…とか、そういう特殊能力を持ってる…とかじゃなくて
やろうとすれば誰とでも可能なレベルでの感覚同期ってなかったんじゃないでしょうか

超聴覚を共有しなくても、何らかの理由で耳をやられたとかって人のために聴覚共有とか
はぐれた仲間の居場所を探るのに聞こえる音を共有するとか、そんなこともできそうです

感覚同期なんか生身でやられたらどんだけのハイテクな機械を体に装備しているのかと思ってしまいますが
トリオン体なら何かできそう、と感じてしまいます


それ以外にも、そもそも全部隊と作戦本部での一斉通信もシステマチックなものの1つと言っていいでしょう

自分らのオペレーターだけとか本部だけとか全体にとか、通信する相手はその都度切り替えられるんだろうと思いますけど
どこかで判明した事実がしっかり別の戦闘場所にも本部にも伝わっているというのは
通信システムがしっかりしているからこその結果でしょう



情報の伝達と共有の徹底


この3つ目が、おそらくは最大の違いかもしれません

通信システムがしっかりしていることに先ほど触れましたが、それを別の側面から見たものですね
しっかりしたその通信システムを十二分に使って、ちゃんと情報の伝達と共有が行われていること

従来のバトルマンガでは、通信システムの即時性・確実性がそれほど高くなかったり
あるいは気づいた情報を何故か誰にも言わなかったり、言いたくなかったりして結局不利を招いたりすることが
多々ありました

そうして劣勢になった状況を、何かリスク覚悟の大技とか仲間への情を元にした覚醒とかでひっくり返したりするんですが

本作の場合は違うんですね

通信システムがしっかりしていることで即時性も確実性も担保されており
また各隊員たちにも情報を共有する意思がしっかり見て取れる

新型の敵が現れればすぐさま本部にその事実と特徴を伝え
黒トリガーの能力と特性が判明すれば、その内容が全体に伝わり
どこかの地点で明らかになった情報は、しっかり既知のものとして対処策に組み込んで戦いが展開されていました

能力の詳細を自らベラベラ説明してその挙句不利に追い込まれるようなどっかのバトルマンガとは大違いです


従来のジャンプバトルマンガとのそんな違いを端的に示してくれたこんな呟きもありました


ただ重要なのは、これらの新鮮である種合理的な戦闘仕様がこれまでのバトルマンガのスタイルを否定するものではないことですね

情報の共有をしっかりしていたって、どうにもならない時はやってくるでしょうし
そんな時には覚悟と決意による大技や覚醒が危機を打破する鍵となるかもしれません

今回のシリーズ中においても、ヴィザと戦っていた空閑は
戦闘体を囮にする覚悟の突撃によって経験も実力もはるかに勝る相手に打ち勝ちました

そうしたシチュエーションが今後さらにハードルを上げて訪れることはありえないことではないはずで

そこにおいて、こうした仕様を踏まえた上でそれでもどうにもならない時の覚悟と覚醒こそは
従来のそれよりもさらに力強く感じられたりするのではないでしょうか


そんな可能性も秘めていると思われるワールドトリガーの戦闘仕様

描く作者にとっては大変な部分も多くあるでしょうが、変なトリガーを出したりせず、ぜひとも保持し続けて欲しいところです

COMMENT▼

No Subject

挙げられてた呟きが本当に的確ですな。リアル目線で考えたら部隊として至極真っ当な話。
ここだけ考えると私は好きなハズなんですけどね、この辺りがしっかりしてる作品は…
なぁんでなぁんだろうなぁ好きになれないのは…

No Subject

ツイッターでフイタ


まぁ僕は滾るんで好きですけどね(´ー`)y-~~

No Subject

ロボ戦を生身の体でやってるような迫力がありますよね(^^)

一番目立った特徴は1つ目だと思いますが、バトル描写の魅力への貢献は2つ目、3つ目の方が大きいかも知れません。
とにかくテンポがいいのと攻防に説得力があるのが『ワールドトリガー』のバトル描写の上手さだと思っています(^^)

Re: No Subject

皆様コメントありがとうございます。

あの呟きはホントに見事でしたね。
むしろ本記事はあの呟きを見たおかげで、何となく感じていたものを膨らませて書けたところがあります。

しっかりした戦闘描写は、それだけで緊迫感を醸しだしてくれます。
堅実というとちょっと違う気がしますが、いつまでもこの路線を貫いてほしいものです。

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